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平昌冬季五輪男子フィギュアスケート個人戦が始まり、第１弾ショートプログラムで
羽生弓弦選手が期待を裏切らない異次元の演技で高得点を叩き出しました。

彼の演技に使われている音楽は、１９世紀ポーランド出身で仏パリで活躍した
作曲家ショパン （1810～1849） が２５歳の時 （1835） に作曲した

「バラード第１番ト短調 （作品６５）」

という演奏時間９分あまりのピアノ独奏曲を部分的にカットし繋いだものです。

クラシック音楽では作曲家とは別に 「誰が演奏しているか」 によって
楽曲の印象が大きく変わりますが、

羽生弓弦選手の演技に使われている演奏は、ショパンと同じポーランド出身の
ピアニスト ： ツィマーマン （1956～） のものが使われています。
上のリンクで紹介する動画はまさにツィマーマンによるショパンの 「バラード第１番ト短調」
のライブ演奏です （演奏時間 ： 9'10''）。

羽生選手の音源はツィマーマンのスタジオ録音が使われているものと思われます。

競技で使用される音楽は全体の中から演技に相応しい場面を抜き出して繋いだもの
なので、こうして楽曲全体を通して聴くと違った印象を覚えるかもしれません。

ショパンは病弱だったため３９歳という若さで早世してしまいましたが、特にピアノ音楽の
作曲で並ぶものがない才能を発揮し、もし彼がいなかったなら今日ピアノ音楽という
ジャンルがこれほど人気を博すこともなかっただろうと言われるエポックメイキングな
作曲家でした。

ポーランド （欧州の田舎） から芸術の都パリに上ってきたショパンがまだ無名だった頃、
多数の新人を世に紹介し自身も優れた音楽家だったシューマンは、
新人ショパンのことを新聞で次のように紹介しました。

「諸君、脱帽したまえ、天才だ！」

本当にそんな感じです。 斬新さと安定感が同居し、情熱的なのに品があるという
アンビバレンツ！ 本当に素晴らしい。 ツィマーマンの演奏も最高です。
羽生弓弦選手の鳥肌の立つようなスケーティングに通じるものを感じます。