車瘋老頭のブログ一覧

６月末フライング梅雨明けの頃，かねてから一度行ってみたいと思っていた

大阪府堺市の「シマノ自転車博物館」を

「旧・堺燈台」とセットで訪問しました。
https://minkara.carview.co.jp/userid/2825170/blog/46207887/



その所蔵展示物の一台がこの「ドライジーネ」という自転車の原型です（レプリカ）。

1817年，ナポレオンのロシア遠征から５年後，ロシア革命の年，

日本では文化１４年，初めて英国の船が浦賀にやってきた年のこと，

ドイツ人発明家ドライス男爵が馬に依らない移動手段としてこれを発明。

それより数年前インドネシアの火山噴火が原因で天候不順となり

飼料用干し草不作のため馬車を曳く馬の食糧不足で頭数を確保できなくなった

という環境由来問題が生じたのがドライジーネ発明のきっかけだったのだとか。

２つの車輪を前後に並べジャイロ効果によって倒れずに走行できる乗り物

という点で自転車の原型と目されます。

それにしても「風が吹けば桶屋が儲かる」的遠因が自転車誕生の原点だったとは，いやはや。

ただこの時点ではサドルに跨がった運転者は

ペダルを漕ぐのではなく

地面を左右の足で交互に蹴って進む構造でした。

ダンロップが空気入りタイヤを発明する（1889年）７２年も前のこと。

石畳の道をリジッド車輪で駆け抜けるとは

ドライス男爵の「アッ，アッ，アッ，アッー！」という悲鳴が

現代にまで聞こえてきそうな痛い乗り物です！（笑）



一方こちらは（↑）1895年，フランス陸軍歩兵ジェラール大尉が発明，

プジョー社（創業時から自転車も製造！）が量産した

「世界初の折畳み自転車（オリジナル量産車の１台）」。

前後とも２２インチ車輪とチェーン駆動を採用，

展開時の前後長は 148cm，折畳み時の前後長は 78cm，重量 16kg，

現代の折畳み自転車と比較しても遜色ない出来です！

後輪荷重の比率が高いのは不整路斥候の経験が反映されているのでしょうか。

ちなみに「旧・堺燈台」を背景に写真撮影した私のブロンプトン号は

イギリスのブロンプトン社が 1975年以降製造する折畳み自転車で（１６インチ車輪）

展開時の前後長は 146cm, 折畳み時の前後長は 61cm, 重量 11kg。

折畳み自転車の中では折畳み時の小ささと走行性能を両立させた機種として

高い評価を得ているブロンプトンですが，それと比べても全く遜色のない出来映え。

世界初の折畳み自転車量産モデルがこれほどまでに高い完成度だったとは

正直ビックリしました！

ジェラール大尉もプジョーもＧ．Ｊ．です！

他にも非常に興味深い自転車の展示物が目白押し。


シマノ自転車博物館は南海高野線「堺東」駅から徒歩５分，

毎週月曜／祝日の翌日／年末年始が休館で 10h00～16h30 の営業，

入館料は大人５００円，駐輪場はありますが駐車場はないので

近隣のコインパーキングを利用する必要があります。

武士の世が終わり鉄砲鍛冶職人たちが新時代の生きる糧として注目したのが

新しい世の乗り物「自転車」でした。

シマノ創業者で鉄工職人だった島野庄三郎は２８歳で（大正１０＝1921年）

高品質フリーホイール製造により起業，

堺が日本の自転車産業の中心となる礎を築きました。