2019年07月17日
英Top GearのサイトにTrophy-Rの詳細についての記事がアップされていました。
https://www.topgear.com/car-news/hot-hatch/heres-why-new-renault-megane-trophy-r-costs-70-grand#1
タイトルにあるように世界限定500台のリリースと言われているTrophy-Rはイギリスでの価格がオプション込みで70,000ポンド(現在のレートだと950万円くらい)と言われているようで、この記事は「なぜこんな値段なのか?」ということを説明するものになっています。
ルノーのチーフエンジニアが今回の仕様についていろいろと説明をしてくれたとありますが、その内容を抜粋してまとめてみます。
・F1の技術を応用したカーボン製のリア・ディフューザー
ニュルブルクリンクに特化するという点ではエアロパーツの仕様やセッティングを詰めるということにおいてF1でおこなって来た対応と同様で、エギゾーストパイプも空力的な流れを考えた上での設計としている。ただ、ニュルだけに向けたセッティングというよりは、このサーキットが様々な要素を含んでいるのでもう少し幅広く対応できるものとなっている。大きなリアスポイラーは空気抵抗を大きくしてしまうので全く考えていなかった。
・ボンネットに大きなNACAダクト
ボンネットのダクトはエンジンのためではなく、エンジンルーム、ボディー下の空気の流れをコントロールするという、空力の効果を考えて設置。
※NACAとはNASAの前身の名称で、空力の研究をおこなった成果が現在でもダクトや翼型などで活用されている。
・バンパー内補助等の廃止
チェッカーフラッグ形状のライトは廃止され、その開口部はエンジンの冷却空気の取入れ口として機能させる。
・タッチパネル小型化
少しでも軽量化を図りつつ、利便性も確保するということを考え標準の8.7インチから7インチのパネルに変更して250gの軽量化。パネルなしだとモード切り替えやR.S.モニターの活用等などにも影響が出るので廃止することは検討していなかった。
・軽量ホイール
Trophy-R標準のホイールは一部カーボンを使って軽量化を図っている。ただし、オプションのカーボンホイールにするとさらに一つあたり2kgの軽量化が可能となる。
・リアシートの撤去
軽量化のためリアシートは取り除いており、それで25.3kg軽くしている。そのスペースで大切なカーボンホイールを積載できるのでサーキットでのみカーボンホイールと使い、何があるかわからない往復の公道走行は標準ホイールを使うことができるようになるだろう。
・軽量シート
サベルト製の軽量シートの採用。ルノーが設定した16kgという目標に対してサベルトはさらに400g削って来た。ベースはA110のものと同様でセッティングはTrophy-R用としている。カーボンではなくFRPとしたのは、費用対効果(軽量化)面で寄与が少ないと判断したため。
・オーリンズ製可変ダンパー
20段階の可変ダンパーを採用することで幅広い足回りのセッティングが可能。もちろんセッティングに悩む人たちにはロラン・ウルゴン推奨セッティングが公開されているのでそれを試してみることができる。
・2021年エミッション対応
2021年に欧州で採用されるエミッション規制への対応にも適合するようにしている。
・カーボンセラミックブレーキディスク
オプションでの設定があるが世界限定30台。したがって70,000ポンドのフルオプション仕様が世の中に出回るのはごくわずか。
・4コントロールの廃止
40kgの軽量化という面もあるが、Trophy-Rのターゲットユーザーとして想定しているのは45-50歳の男性で、モータースポーツの愛好家で車への情熱が強い者、サーキットを走り、車の運転に長けていて性能を何よりも優先している車を求めている者、ということ。したがって、こういったエキスパートのドライバーにとってMTであることは当然の上、機械的な補助なしにFF車を操ることを求めているという点から4コントロールは(こういった限定的なドライバーに対しては)不要と判断。
4コントロールはメガーヌ4の一番の目玉だけに、日本のTrophy-R紹介のサイトなどをみても「廃止している」とはっきりうたっている記事はなかなか見つからなかったのですが、どうやら今回のこの記事がその本意を伝えているように感じます。あくまでも一般ユーザーに対しては4コントロールが有効という前提は変わらず、サーキットを中心に車を限界まで自らの力でコントロールしたい限られたユーザーにとってはなくてもいいということでしょうね。
Posted at 2019/07/17 08:32:40 | |
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