プジョーのダットサントラック…というタイトルではありますが、その通りでありまして、、
実は、フランスの自動車メーカー、プジョーにおいて日本では懐かしのダットサントラックが販売されているんです!!!
え?あんた何言ってんの?
プジョーで日産車を売ってる訳ないだろ?
だいたい日産はライバルのルノー傘下だし有り得ない!
…と、ほとんどの人は思うことでしょう。
最初知った時は流石に自分も疑いました()
いやいや、それが本当にあるんですよ………これから紹介していきます…
フランスの大手老舗自動車メーカー、プジョー…
日本でも最も売れているフランス車でもあり、
過去には206が大ヒットしたこともありますし、今でも2008・3008・5008といったSUVを中心に再び好調なセールスを記録しています。スペルがPEUGEOTになる訳ですが、中の人はこれをペウゲオットと幼い頃は読んでましたよ……(だってそう読めるじゃん…フランス語むずい…)
中の人的には607という高級セダンやRCZってクーペ、あたりは結構好きですね~あと今の508も中々カッコ良くていいんじゃないかと思います。
ただし、もちろん日本に入ってきているプジョー車は本国のごく一部に過ぎません(それでも同じフランスのルノーに比べたら結構色々入ってきてはいますが…)、また他の自動車メーカー同様、新興国など地域限定の車種も当然ながら存在します。
今回の主役であり、これから紹介するのは、、
このプジョー・ピックアップという車種です。
ピックアップというのが車名なんですよこれ…そのまんまじゃん……
2017年に登場し、フランス本国を始めとしたヨーロッパでは販売されておらず、主にアフリカなどの新興国向けに販売されているピックアップです。
外装はピックアップらしい角ばった力強い見た目ではあります。しかし
2017年登場にしては何かちょっと古臭い…おまけに見た目がどこか武骨でプジョーらしくない…

内装はこんなです。何か外装に比べると古臭く、90年代みたいな感じです…それでもエンブレムにはお馴染みのライオンマークがあります。
でもあれ………何かこれどっかで見たことある………
最終型ダットサンであるD22ダットサンの内装ですが……
ほとんど同じじゃねーか!
そう、本当にプジョーでダットラが販売されているんです…!!
ここから詳しい解説に入ります。
このプジョー・ピックアップ、
自社生産ではありません。提携している
中国の東風汽車からのOEM車にあたります。
実際に傘下のシトロエンと一緒に、
東風プジョーシトロエンという合弁会社を設立し、現地生産を行っています。中国ではどの自動車メーカーでもこのような形態で合弁企業を立ち上げて現地生産する例がほとんどです。
じゃあ何でダットラと内装が同じなんだ?
というのもこの
東風汽車は日産とも提携しています。PSAの場合と同じように日産とも
東風日産汽車という合弁会社を設立し、現地生産を行っています。
さらに自社ブランドでも東風や風神といったブランド名で展開しております。おまけに、ルノー・ホンダ・ボルボ・UDトラックスなどとも同じような合弁会社を設立しています。
非常に複雑ではありますが中国ではこのような複数のメーカーと合弁会社立ち上げたり、ブランドを多数抱えたりと、多種多様な展開を行う例は珍しくありません。
そもそも中国では海外メーカーが進出するにあたって現地企業と合弁会社を立ち上げないといけないというルールがありますからね…

D22ダットサンは1997年に登場し、HOTDATというアメリカンなイメージのキャッチコピーだったものの、結果的に日本では最終型となってしまったダットサントラックですが…

その東風汽車では2年後の1999年よりD22ダットサンを東風・リッチという名称でライセンス生産しました。
当初はこのように元になったダットラの面影を残した見た目でした。それでも横一直線のグリルと異型ライトになるとだいぶ印象は変わりますね。

その後、フェイスリフトを行うものの、細かいリファイン程度に過ぎず、元のダットラから大きく変わることはありませんでした。
内装に関してもそれまでの日本における商用モデルと共通のものから乗用モデルと共通のものに変更した程度です。
この東風・リッチは2014年に15年ぶりのモデルチェンジを行い、下の画像の2代目に進化…したのですが、、

何とこれ、完全なモデルチェンジでは無く、
D22ベースの先代モデルを元に外観を面影無いレベルに魔改造したものなんです……なので基本設計は共通なんですよ…

よく見ると、ボディの側面の段差にダットラの面影を感じます。

しかし大きく変わった外観とは異なり、内装に関してはセンターパネルの形状を変更したぐらいで、元のダットラのままほとんど変わっていません……

そして、見ての通りこの2代目の東風・リッチをプジョーにOEM供給したのが、先程紹介したプジョー・ピックアップなんですよ…
両方と提携している東風経由で日産車がプジョーに流されていた訳なのです……要するにたらい回しです()
日産とプジョーは提携していないし、ましてや日産はライバルのルノー傘下なのに大丈夫?とは思いますが、外観を面影ないレベルで魔改造したから大丈夫と考えたのでしょうか…
ちなみにエンジンも日産製でZD25TCI型という2.5Lのディーゼルエンジンを搭載しています…wikiにすら情報が無いエンジンですが、恐らくアトラスやキャラバンなどに搭載されたZD30をベースに中国向けに2.5Lにしたものでしょう…
考えられるのは、新興国でピックアップトラックの需要は高いから、新興国に力を入れたいプジョーとしては喉から手が出る程欲しい…(301とか408という新興国専用車もあるぐらいですから)
しかしプジョーはこういった類のピックアップを長らく作っていない…(昔は504ピックアップとかあったんですけどね…)
自社の車は乗用車・商用車問わず全てFFだからピックアップに使えるFRのシャシーも無い…わざわざ1から自社開発する程の余裕も無い…
そこで提携先の東風汽車に頼んで、ピックアップを供給してもらった……ということだと思われます。
これが2017年のことになる訳ですが、この時点で元になったD22ダットサンの登場から20年経過している訳です…まさか20年の時を超えて、提携先の東風で面影ないレベルに魔改造された挙句、日産と縁もゆかりも無かったプジョーにOEMされているとは…

よく見ると、ステアリングもエンブレムは勿論違いますが、ゴーンが来たばかりの時期の日産車共通のものです…右の参考例はB15サニーのものですが、他にもC24セレナなどでも使われていました。
日本ではダットラではこのタイプのステアリングにはならなかったものの、海外では装備されていました。この辺の部品供給とかどうなっているんでしょうね……

ちなみにプジョーにはもう一つピックアップトラックが存在し、ランドトレックというのですが、これは昨年に登場したばかりです。アフリカにおいても先程のプジョー・ピックアップより格上の扱いになっています。
こちらはプジョーらしいオシャレなデザインになっていますし、内装も近年のプジョー車らしく上質な雰囲気…いよいよピックアップを自社開発したのか……?
残念!長安汽車の長安・F70のOEM車でした!

これが本家の長安・F70です。それにしてもいかついデザインなこと……
プジョーは東風汽車のみならず長安汽車とも長安PSAという合弁会社を立ち上げているので、その繋がりで自社で作れないピックアップを供給してもらったのでしょう…
しかし
中国車って安全面や品質面で問題あるイメージしかないですし、いくらピックアップを自社で作れないとは言え中国車のOEMに頼るプジョーは大丈夫か……?とは思いますけどね……
ましてやトヨタと提携していてお互いにコンパクトカーのアイゴやら商用車やらをOEMし合っているのですから、中国車なんかに頼らず
トヨタからハイラックスでもOEMしてもらえばいいのに…とも思います…

そして実はこれらよりも以前に206ベースのホッガーというピックアップならありました。クラスが異なりますがやはり新興国で人気のピックアップ市場への参入は以前から考えられていたと考えられます。
本国では1968年から1994年まで、さらに一部地域では2006年までと日本のサニトラ並みに長期生産された504ピックアップ以来となる、久々に登場したプジョーのピックアップとなります。
ブラジル法人が独自開発した車種のようで、顔を207風にした206のフェイスリフトモデルをベースにピックアップにしています。ライバルはルノー傘下のダチアが生産するロガンピックアップあたりと思われ、日本で言うならやはりサニトラとかと同じクラスと言えます。
ただし販売は振るわなかったようで2010年に登場してから僅か4年で生産中止となりました。
最後に、プジョー・ピックアップのPVです。
案の定?日産車そのままの内装についてはあまり映しだされていないという………