前回も書きましたが、いよいよコロナ流行で、春先に続いてクルマの試乗も(大事をとって)しばらくお休みだなぁ、と。少し早めですが「今年の試乗納め」と銘打ち、せっかくだからマニュアル車、ということで下記2台試乗させて頂きました。(いずれも、先週、先々週ですが)
とはいえ、ここにきて、新車ラッシュの様相ですね。各メーカーとも駆け込み的な意味あいもあるのでしょうか。まぁ、それらの試乗はまた新型コロナの流行が収まったら、そして運よく自分が生き残っていたら、の楽しみにしようと思います。
我ながら「縁起でもない」けど、我が身としてそのくらいの気持ちは重要と思ってます。
さて、今回試乗した一台目はこちら
■ルノー トゥインゴ S
現行トゥインゴはデビュー時に試乗したことはありますが、マニュアルは初めてでした。過去の試乗と一部重複しますが感想は・・・
・ガッチリしたボディ
・乗り込むと床が意外に高く「低床」が普通になっている国産車に慣れている身には
違和感あるポジションです。かつてのメルセデス2代目Aクラスのような感じ、といえばわかりますでしょうか。
・シートは小ぶりながらアンコがケチられておらず腰部をはじめ、支えるべきところをしっかり支える一言でいって良いシート。
いざ乗り出すと・・・
・ノンターボながらパワフルなエンジン。エキゾースト音の演出も野太く、かといって大きすぎず程よくドライブフィールを高めてくれるセッティングで思わずニヤケてしまいます。
・足回りはこのクラスとしてはランク外の懐の深さで、ガッチリしながらも快適。
・シフトストロークは決して「コクコク」という短さはないですが、日常使いにはむしろ適度。そして若干重いかな、くらいの絶妙な手ごたえです。クラッチ操作に対して繋がりもスムーズで、ブリッピングしてくれているのか正直わかりませんでしたが、おそらくドライバをサポートする制御はされているんじゃないでしょうか。一言でいって扱いやすいフィールでした。
・トゥインゴはどちらかといえばローギアードで、初速からあっという間に高回転に回るので、スタートとともに1→2→3 とシフトチェンジして加速させます。20年以上前乗ってたマニュアル車を思い出す、懐かしいシフトフィール(もちろん、当時よりも低速トルクに振った、実用的な設定ですが)
・そして街中だとギリギリ4速には入れられず、3速で十分。おおお、バスみたい(^_^)
・でもそのギア比を含めて、ドライブがなんとも楽しい!
・一方で、同乗した営業氏曰くやはりノンターボだと高速域での加速力に欠け、ややパワー不足を感じる場合もあるかもしれない、とのこと。上記の通り、街中では4,5速が殆ど使えない状態なので、そんなものかなぁ、と思いました。今回は街中のみだったので正直わかりませんでした。
・NAはパワーの出方がリニアで、なるほど、昨今のターボが「ドッカンターボ」ではないにしても、NAの出力特性の気持ちよさも良いものだなぁ、と痛感しつつ、こうなると、営業氏の言うマイナー前の1LターボのMTも乗ってみたくなるのも人情ですね。このクルマの購入後に「やっぱりターボ付いてれば・・・」と思わないか心配になります。ちなみにこの営業氏はその1LターボMTトゥインゴを愛車にしているそうです(^^)
(webCGより)
・トゥインゴ購入の判断を左右するのはやっぱり後席の使用頻度ですよね。普段二人乗りオンリーなら迷いなく購入!となりますが、3~4人家族となると話しは別。身長175cmの自分が座っても、ヘッド・膝前のクリアランスは意外にも十分なんですが(シートのクッション圧も十分)、シートバックが立ち気味なのが惜しい。短時間使用を強要されているかのよう。後ろにエンジンがあるとはいえ、シートバックがせめてあと3度ほど寝ているだけでも相当に快適度が変わる筈。そうなるとルーテシアの売上に影響が出る?いやいや、トゥインゴを検討するユーザは、ここがネックなら、別のメーカーに行くのではないでしょうか。
・あとは個人的には相変わらずカーテンエアバッグ非装備も気になります。
ということで、トゥインゴを所有できる人が羨ましいかぎりです。
そうそう、店舗には新型ルーテシアも展示・試乗車がありました。
非公式ながら、こちらにもマニュアルは導入されるのではないか、とのことでした(ただし、1年後とかしばらく時間を要するだろうとのこと)
はてさて、もう一台 マニュアルを乗ってきました。それが、こちら。
■ホンダ N-ONE RS
・「どこが変わったの?」と思わせますが、直に見ると、フロントフェイスは造形が整理されてスッキリした印象。特に上側のグリルを六角形にして、上下を完全に分けたのは良いと感じました。先代の上下グリルをガーニッシュで緩やかに連続性をもたせたデザインがレトロモダンを表現しつつも中途半端な印象もあったので、個人的には先代より断然好みです。よくホンダは「先代を全否定するモデルチェンジ」「モデルチェンジが下手」と言われますが、今回の手法は、(N-ONEをブランドとして育てる意図なら)大正解だったと思います。
・実際に乗り込むと、シートは柔らかめながらしっかり支えるクッション圧。形状もこのクラスとしては絶品とまでいかないにしても良好な部類ではないでしょうか。ドライビングポジションはこちらもスッと決まり、「良いクルマ」を予感させました。
・実際に走りだすと、エンジンはターボの太いトルクで、N-BOXでさえ苦も無く走らせる特性、当然ながらまったく問題ありません。
・MTのギア比はRSとはいえ、実用性重視でハイギアード。峠を攻める走り屋にはツマラナイでしょうが、日常的にはこのくらいで十分。
・足回りもゴツゴツ感は想像以上になく、むしろしなやか。実用性も少なからず重視されるこのクルマとしては快適性が高いです。路面の凹凸をもう少し抑えるくらいでも良いのですが、量産品のコストとのせめぎ合いではここが限界か。あるいは走行距離が伸びてくるともう少しカドが取れてくるのか。
・シフトフィールはギアがこのクラスとしてはソリッドで硬め、かつ重め。スポーツ系が好みであれば楽しく、歓迎でしょう。
・後席の膝前空間は先代と同等で広さ十分。シートも良いですね。
・荷室も広い!特にN-WGNなどと同様、床下収納が広く、それも使えば、ちょっとした旅行にも十分な空間が用意されています。
ということで、実用性も高いN-ONEですが、残念なところといえば、
・左足がクラッチ操作の際にインパネの下に微妙に触って気になります。マニュアル車ならではの残念点?
・N-WGNには装備されていたテレスコが非装備。RSにこそ必要なのでは?
・ギアがソリッドといえば聞こえはいいですが硬すぎとも思えます。グリス切れかと思わせるガチガチな硬さ。例えば一家に一台だけで日常使いする(クルマに興味のない)奥様、などにはツライかもしれません。足回りのジェントルさを考えるともう少し柔らかめでもいいかと思いました。一方のクラッチはそれほど重めでないのは良かったです。
・後席はもう少し前に配置してほしい。先代より下げられた全高で、ヘッドクリアランスはかなりぎりぎり。なので、せめて後席を5cm前にずらせれば、下がってくる天井との干渉を避けられ、快適性がかなりUPするのでは、と思いました。
・ボディ剛性は現行N-BOX世代になったことで大幅に向上しているのでしょうけれど、こと「剛性感」という意味でいうと先代よりも線が細くなった印象がありました。何がそう感じさせるのか、自分には特定しきれませんが、足回り、特にダンパーがコストカットされているのか、ボディとの接続マウントあたりがケチられているのか・・・。
まぁ今や日本では趣味車であるマニュアルを新車で買う、しかも維持費を安く、3人以上乗車の実用性も捨てず・・・という条件を考えていくと、N-ONEは1つの選択肢として貴重な存在でしょうね。
個人的には、黒いルーフライニング(とピラー)が大減点。
スポーティグレード=真っ黒ライニング は世界的な流行ですが、文字通り、真っ暗な穴倉に潜り込んでいる陰鬱なキブンになり、クルマの性能がどんなに魅力的でも絶対購入したくないです。せめてメーカーオプションで標準車の明るい内張を選択できるようにしてくれないでしょうかねぇ。