これまで「なぜソリオのライバルが登場しないのか」不思議でした。
考えられるところとしては、
・他メーカーがソリオの人気は一過性で終わると油断していた?
・
良いとこ取りのコンセプトは自社のヒエラルキーを乱す可能性があり、手を出したくても出せなかった?
てなところでしょうか。
ところがここにきてついに投入された、そんな印象がある、トール/ルーミー/タンク/ジャスティ。
ソリオにない、
リア中央席のヘッドレスト、6エアバッグのオプションもあり、それだけでも選ぶ価値あり、ですが、
さらに
ダウンサイジングターボ搭載、という想定外のスペックも嬉しい誤算でした。
でもそうなると、走行フィールは、ヒエラルキーに配慮されて、上位車種を超えない程度のクオリティにとどめられているのでは?
・・・そんな先入観は、今回、良い意味で裏切られました。
■良いところ
・足回りはしっかり硬めで、剛性感の高いボディとともに安心感が高いです。パッソ・ブーンを開発した同じメーカーと思えない豹変ぶり。
・シートはクッション圧は柔らかめですが、アップライトな着座姿勢はやはり腰に負担が少なく、座っていて疲れにくそう。長距離もいける!という気にさせてくれます。ぺらぺらと思われたリアシートも結構しっかり作ってあり(ムーヴのフレームを流用?)適正な姿勢が取れます。
・1Lターボ+CVTのパワートレインは1tの車重に対して余裕たっぷり。力強い加速に加えて空走距離が長く、加速が得られればあとはアクセルペダルから足を離してもどんどん走っていきます。よほどの長距離を除いて日常生活ではクルコンを活用できる機会は少ないかもしれません。
・
静粛性もこのクラスとしては高く、個人的には問題ありませんでした。
・今回2つのフロントデザインがあり、販路によってノーマル・カスタムのバリエーションも豊かで
ユーザにとっては選択肢が増えて面白い試みと思いました。個人的にはタンク(ジャスティ)のカスタムが好みですが、ルーミー(トール)のカスタムモデルのスクエアなデザインも捨て難いですね。いずれも、シエンタ的な「奇抜で理解に時間のかかる文脈のデザイン」を狙わず、クリーンなデザインなのもよいと思いました。
全体のデザイン、質感、パッケージ、走行フィールは「まさにこの一台で十分」と思わせる説得力がありました。普通車でこういうクルマを待ってました! という高い満足感を得られる一台と思います。
■残念なところ
・がさつな音のエンジンノイズ
ダイハツからようやく登場したダウンサイジングターボ、パワフルなのは良いのですが、質感は・・・低速からの加速でビックリするほどノイジーで、むしろ軽自動車の0.66Lターボを拡張したような感覚です。
・もう少ししっかり感の欲しいステアリングフィール
パッソ・ブーン同様、女性を意識したかステアリングの操舵に遊びが大きめで心もとないと感じる人もいるかもしれません。あとちょっとだけ操舵感を重めに、そして遊びを少なめにしてダイレクト感を強めにするだけでもかなり印象が良くなりそうです。
・ライバルに見劣りする床下収納

床下収納が殆どありません。タント・ムーヴ・ブーン(パッソ)などの深く掘られた収納スペースを
確保できなかったのは残念ですね。
・ややゴツゴツする足回り
足回りはしっかりしていますが、カスタムG-Tのタイヤは15インチのためか、ややゴツゴツ感が強いです。スプラッシュに慣れている自分はあまり気にならないですがそれでも強めに感じましたので、国産車から乗り換えを考えている方は試乗で確認された方がよいかと思います。
特にリアシートに座って体感されることをお勧めします。
・好みの分かれそうな不思議な?内装の表現
ダッシュボードは一見、革張りのような質感ですが、ステッチはモールドで触ってみるとカチカチの樹脂パーツ。ぱっと見のフェイクぶりは見事ですが、そのセンスから敬遠されるケースも出てくるかも。
■ベストグレードはアレ?
今回試乗したのはトップグレードのカスタムG-Tですがホイールは15インチ。そこへいくと同じターボでもG-Tグレードは14インチです。セールス氏もG-Tの方が乗り味は柔らかいと言っていました。
なので、ベストチョイスはノーマルグレードのターボ搭載車、となるかもしれません。機会を見つけて、G-Tグレードを試乗してきたいと思います。
いずれにしても、我が家的にはまさに理想の一台。現行ソリオが軽量化した車重に対して足回りが跳ね気味で、セッティングが煮詰め切れていない印象だったのに対して、逆の重厚感漂う走行フィールだったのも好印象。
ネット上では「軽自動車の上級版」的感想も多いですが、「コンパクトカー以上、ミニバン未満」、を考えている方には決定版となる可能性も高いクルマ、ぜひ試乗してみてください。
Posted at 2016/12/03 12:39:24 | |
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