2011年10月24日
2011 NEW HOKKAIDO GT SERIES FINAL
今年から運営が十勝スピードウェイ(以下TS)に変わった北海道GTシリーズ。
早いもので昨日がその最終戦がだった。
今回はいつものレースと目的が違う。
昨年から悩まされ続けているエンジン不調の原因を探るための走行。
普段の走行では滅多に出ないが、サーキットでは確実に出る症状。
これをまず発生させて、テスターにかけてみるという見通しで走った。
0541RACINGのチーフメカであるnaoさんがお世話になっている
イチカワオートワークス(IAW)のイチカワさんが応援にいらして下さった。
今回はnaoさんもIAWでデルタを作って来たのでHGTSのデビュー戦でもある。
私のほうはイチカワさんにクルマの状態をひと通りお話し、
症状が出たらすぐピットインするという約束でコースに出る。
【フリー走行&予選】
天気は生憎の雨。
本当はしっかりとクルマにGをかけて走ったほうが症状が出る気がするので、
ドライで走りたかったが天気ばかりは仕方がない。
フリー走行は1本だけ。
久しぶりの雨のクラブマンコースは、まるで初めて走るような印象。
とにかくすべての動作がぎこちなく、さらにクルマの挙動もつかめない。
雨はずいぶんと小降りになってはいるが路面は完全にウエット。
無理はできない。
肝心のエンジンはというと、これが好調。
レッドまでしっかり回るし、これといった不調もない。
自作エアクリーナーパイプが抜けるという「間抜けな」トラブルがあった程度で
今までのようなスロットルにまったく反応しない症状は出ない。
次の予選では減衰をさらにソフトにする。
先日の白老テストのときに既に5段階ソフトにしたが
そこからさらに4段階ソフトにした。
走ってみると少し路面は乾いてきている。
けっこうイイ感じで回っていた3周目、4コーナーでスピンしてしまう。
やはりまだまだ156が自分のモノになっていない。
考えればクラブマンで156を全開走行させたのは今年の6月が最後。
そのときだってエンジン不調の症状が出て満足な走行とは言えない。
続くチャオペペやHGTS第3戦にいたってはまったく全力疾走できなかった。
昨年8月に156がレース用として完成してからというもの
自分のモノにするだけ走り込みができていない。
自分がクルマからの情報を処理できていない感じ。
雨のレースは嫌いではないのだが、今回はさすがに怖いと感じる。
しかし予選であることに変わりはない。
出来る限りプッシュし続ける。
相変わらずエンジンは好調、なんの不具合もなく予選終了。
今の自分の状態ではタイムは望めない。
順位もまた然り。
1グループ最後尾スタートとなる。
【決 勝】
エンジンは好調とはいえ、いつまた以前の症状が出るとも限らない。
そうなると突然アクセルにまったく反応しなくなるので
すぐ後ろに他車がいる状況は好ましくない。
さらにこのウエット路面、おっかなびっくりで走ってる今の状態ではレースにならない。
ローリングスタートで始まる1ヒート目はずっと最後尾を走り続けた。
路面はなんとも微妙な状態だ。
アクセルやブレーキにもそこそこタイヤが「喰う」印象はあるが
ところどころハッキリと濡れているのが分かる。
相変わらずぎこちないドライブではあるがEGシビックのすぐ後ろでフィニッシュ。
今思えば残り3周ほどをこのEGシビックの後方で走れたのは幸運だったかも知れない。
昨年の最終戦もこのシビックの後ろを走った。
そのときと今回のストレートでの速度差は、今思い出せばヒントがあった。
しかしまたしてもエンジン不調の症状は発生せず
実に久々に7周回のレースを走った。
結局症状は陰を潜めたのか?
あるいはなんらかの偶然で直ったのか?
1ヒート目でもけっこう路面は乾いてきていたので
2ヒート目はひょっとしてかなりドライな路面で走れるのではないかと思っていた矢先、
ちょうど3グループの1ヒート目途中くらいだったろうか、雨が落ちてきた。
我々1グループの2ヒート目は、その日いちばんのウエット路面となってしまった。
一旦はドライ用に戻したショックの減衰も再びウエット用にセットしスタート。
2ヒート目はグリッドスタート。
いつもならジャンプアップを狙うところだがやめておく。
「今日は無事に帰ることが最優先だ」と自分に言い聞かせる。
レースはすぐに一人旅となった。
淡々とラップを消化していく。
「なんだかスッキリしない終わり方だな」などと考えながら走る。
それでも少しは頑張ってみようとアクセルやブレーキをあれこれやってみる。
しかし何かおかしい。
自分が「乗れていない」というのは分かるがそれでもおかしい。
すると残り3周ほどになった頃だろうか、明らかにエンジンに力がない。
今までの症状とは少し違うので「またエアクリが外れたか・・・」と思っていた。
とにかく吹け上がりが遅い。
ウエットでもコントロールラインを通過したあたりで5速に入るはずだが
1コーナー手前のブレーキングポイントが迫っても4速6500回転ほど。
しかしチェックランプは点灯していないし、チェッカーまで走り切ることに。
これがエアクリーナーのトラブルだったらなんとも間抜けな終わり方だ。
ピットに戻るとイチカワさんが駆け寄ってきてくれた。
ボンネットを開けて確かめるとエアクリーナーはしっかり付いている。
ということはエアクリのトラブルではない。
事情を話すと「やっぱりそうですか、音が1ヒート目までのカン高い音じゃなく、なにかおかしい感じです。」と、早速テスターを繋ぐ。
ようやくエンジン不調という妖怪が、最後の最後に姿を現した。
ならばその尻尾を捕まえなくてはらならい。
千載一遇のチャンスとはこのことである。
テスターを凝視するイチカワさんの声が弾んだ。
「ひとつ出ています!O2センサーです!」
妖怪の尻尾を捕まえた瞬間である。
ただ、イチカワさんの説明によると「O2センサー異常」と診断されたが
それが単純にO2センサーの異常によるものか、
あるいは他の原因からくる空燃比などの異常によるものかは断定できないとのこと。
そのあとショップギブリの方にも診ていただいたが、同じ見解だった。
振り返ると今回のレースは結果もタイムもレース内容もひどいものだった。
しかしそのどれも今回の目的の前では意味を持たない。
そう言い切れるほど、エンジン不調の原因が見えてきたのは大きい。
実はO2センサーと言われれば思い当たるところがいくつかある。
症状がまったく出ず、エンジンが好調と思われた予選や1ヒート目で
かすかに疑問、違和感を感じていた。
ほとんど気のせいか?くらいにしか思わなかったが、それは間違っていなかった。
その違和感というのは高回転域でのパンチ力不足だ。
6,000回転から上、特に6,500~7,000までの間がどうも力がない印象だった。
さらにクルマが止まった状態でアクセルを開けていくと
6,800回転あたりでエンジンがバラつく音になる。
そして前述のEGシビックとのストレート比較。
もちろんEGシビックが昨年と同じスペックかは確認していないのでなんとも言えないが
昨年とは明らかに違いがあった。
クラブマンのストレートで、4速まではほとんど同じ加速なのだが
5速に入った瞬間から排気量が多い分だけ一気に差が詰まる。
これが昨年の最終戦での話。
しかし今回は最後までまったくと言っていいほど同じ加速、速度だった。
最終コーナーでの距離はストレートエンドまで詰まることはなかった。
残念ながら今年はもう走る予定がないけれど、
来年に向けて明るい材料を見つけて最終戦を終えることができた。
そして今回のレースが、その内容やタイムなど実に小さなことに思えたのは他にも理由がある。
多くの人達が我々0541RACINGのピットに集まってくれた。
チーム結成の06年から09年まで1戦も欠かさずに写真撮影をしてくれた
カメラスタッフだったサトちゃんも久しぶりに姿を見せてくれた。
気が付けば結成当時のメンバーが久しぶりに顔を揃えた恰好になった。
これでずっとメカをやってくれていたMURAさんも来てくれたら全員揃ったのに。
MURAさん見てるかな・・・。
HGTSに出場経験のあるデルタのIMAさんご夫婦に会うのも久々だったな。
さらにtifosiさん、こじかさん、k@meさん、hiro-fさん、テンコモリさんまでも駆けつけてくれた。
この人達があの場にいてくれたことがシンプルに嬉しかった。
気が付けば多くの人達との「輪」が広がった。
イタリア車がキーワードで集まった仲間ではあるけれど
HGTSには国産車に乗る素晴らしいドライバーもたくさんいる。
レース前、GON!番長と久しぶりに顔を合わせ、
気が付けばお互いの無事を確認していた。
ブレーキトラブルからフロント部をヒットさせても決勝を走ったKちゃんのガッツに感動し
わざわざピットまで挨拶にきてくれた知床ちびっくさんの律儀さにも頭が下がる思いだった。
みんな仲間なんだ。
昨日クラブマンコースにいなかった人だって仲間はたくさんいる。
「オレ達は戦争しに来てるわけじゃないんだから」
1980年代、初めてヨーロッパF2選手権に参戦したブリヂストンのスタッフが
敵対するチームのスタッフに言われた言葉。
初めてヨーロッパのレースに本格参戦するにあたって
相当厳しい戦いになると予想していたそうだが、
実際の現場はそんな殺伐としたものではなかったという。
「オマエのところが優勝したんだから今夜はシャンパンおごってくれよ!」
そんな言葉が普通に飛び交っていたという。
順位でもなければタイムでもない。
純粋にクルマを愛しレースを愛する人間が集まっているなら、
我々サンデーレーサーは順位でもなければタイムでもない。
矛盾しているように思われかも知れないが、
私はこれからも順位にこだわりタイムを削るべく走り続ける。
しかし走り続けた末に何が残っているか。
何を残すべきか。
それは順位でもなければタイムでもない。
それが自分の周りにいる人、
いてくれる人達なんだということを改めて教えられたHGTS最終戦だった。
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11 NEW HGTS | 日記
Posted at
2011/10/24 19:05:23
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