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イイね!
2016年12月08日

Racing on ウイングカーの時代

Racing on ウイングカーの時代  先日『Racing on DTM/ITC BTCC』を購入した際に、「実はもう1冊・・・」と書いた。
そのもう1冊がコレ、同じく『Racing on ウイングカーの時代』である。
書店で見つけたとき「おお~っ!コレだ!」と感激していると、それが思い切り顔に出ていたらしく、家内が「いいよ、それも」と買ってくれた。

 まさしく私にとって「どストライク!」、もうツボの中のツボである。
これは語ってしまう!語ってしまうぞ~!

 とは言うものの、私はこの時代のF-1に詳しいフリをしているだけで、分からないことが実はたくさんある。そんな疑問の数々を、確かめもしないまま大人になったので、こんなにもメカに詳しくないクルマ好きになってしまった。

 しかし何かを知ったり学んだりすることに遅すぎることはないと、何か本で読んだことがあるので、今後もこういった文献を読んで「ほほ~」「なるほど!」と理解を深めていこうという意欲はある。

 そして本書で、実に数十年ぶりに解決した疑問がいくつもあった。

 なぜ79年に無敵を誇ったロータスはわずか1年で陥落したのか?
究極のウイングカーであったはずのロータス80は何故たった3戦で消えていったのか?
そもそもウイングカーはどういう経緯で誕生したのか?
全車ウイングカーになった1979年、なぜもっとも「ウイングカーに不向き」と言われたフェラーリがタイトルを獲ったのか?
リジェとウイリアムズはなぜ一夜にしてトップに躍り出るような躍進を見せたのか?

 こういった疑問の数々が、本書を読み進めていくうちに次々と解消されていった。

 まず、この時代を語る上で絶対に外せないのはこのチーム。
John Player Team LOTUSである。
 今見てもため息が出るほど美しいマシン、ロータス79。
JPSカラーをまとったロータス79は史上もっとも美しいF-1マシンだ。
この79の前に、F-1史上初のウイングカーである78があった。

 その78が誕生する経緯が詳しく書かれているが、
その詳細はライターの腕もあるのだろうが、
まるで小説を読んでいるかのようなドラマチックなものだった。
ラウダVSハントのような映画になるようなストーリーではないが、
小説ならば十分にアリだ。

 そしてこの、ピーター‐ライトが発見した「車体の下面を流れる空気に着目する」
という視点は今なお継続されているものだ。
それが風洞設備すら満足になかった時代に世に登場した。
それもたった一人のデザイナーによって。
これがドラマチックと言わずになんと言うか、である。

 もちろんロータスだけではない。
ロータスとは違った視点で、鬼才ゴードン‐マレーが送り出したのが
かの有名なファンカー、ブラバムBT‐46Bである。(写真はBT46)
こちらに関しては、以前入院したときにEVO黄色さんが差し入れして下さった本のほうが
そのメカニズムに関しては詳しく書かれていた。


 ただ、この本の価値は認めた上で書くのだが、
ここまで詳細にこの時代を解説したものであっても
それでも語りつくせないほど、この時代は混沌そのものだった。

 ウイングカーは危険極まりないものだった。
偶然にも同時代に起こったターボの台頭も相まって
F-1はさらに「どこへ向かっているのか分からない」ものになった。
ラウダも著書の中で、この時代のことを次のように語っている。

『グランプリレースはギアを上げた。
突然により速く、より危険に、より気狂いじみたものになってきた。
~中略~ごく最近まで、出来上がったものはいささか不自然であり、
悪魔のマシンであった。』

 そして当時はまだ現在のようにFIAという組織がなかったがために、
今では信じられないほど、その運営もずさんだったと言わざるを得ない。
もちろんそんな時代だったからこそ生まれたものもあるのだが、
同時に失われたものもある。
そんな時代背景も本書には書かれており、メカだけでなく
今とは違ったF-1というものも知ることができる。


 コーリン‐チャップマンをして
「79(78年のチャンピオンマシン)なんて、80に比べたら戦車みたいなものだ」(戦車のように遅い)
と言わしめたロータス80。
しかしその致命的な欠点は、当時のF-1雑誌ではあまり紹介されていなかった気がする。
詳細は本書をお読みいただくとして、
恐らくロータス80並みに革新的だったブラバムBT‐48も
同様の理由で初期のコンセプトを大幅に変更せざるを得なかったのかも知れない。

 今に比べると、驚くほどに技術が未熟だった時代。
しかしそこから感じられる熱さは今と何も変わらない。
いや、ほとんどすべてがシミュレーションできてしまう現代にはないものが
間違いなくあの時代にはあった。
そこに人々は感動し、少なくとも自分はあの時代に熱狂した。
しかも本書ではあくまでマシンにスポットを当てているため、
ほとんど触れられていないが、ドライバーの顔ぶれも豪華絢爛だった。
ニキ‐ラウダを筆頭にロニー‐ピーターソン、ジェームズ‐ハント、マリオ‐アンドレッティ、
ジョディー‐シェクター、ネルソン‐ピケ、ケケ‐ロズベルグ、アラン‐プロスト、パトリック‐デパイエ、
アラン‐ジョーンズ、カルロス‐ロイテマン、そしてジル‐ヴィルヌーヴにディディエ‐ピローニなどなど。

 技術革新の時代などとも言われていたが、
実はまだまだ手探りの時代でもあった。
未完成だからこその美しさ、
未熟だからこその感動。
そんなものが凝縮されていた「ウイングカーの時代」だったのではないだろうか。
ああ~やっぱりこの時代のF-1が好きだな~。
 
ブログ一覧 | 70~80年代F-1 | 日記
Posted at 2016/12/08 21:32:14

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この記事へのコメント

2016年12月8日 22:52
あれぇ~~っ!?
最近出た本ですか?リアルタイムではないですが自分もこの時代、大好きですぅ~!!暫く忙しくて本屋行ってませんが、行きますっ!
コメントへの返答
2016年12月8日 22:59
けっこう前に出た本みたいです。
最新刊が並んでいる棚にはなくて、バックナンバーなどが置いてあるところに1冊だけあったものなんです。
この時代がお好きなら、間違いなく楽しめる1冊であることを保証しますよ~!
是非、手にしてみて下さい(^^)
2016年12月8日 23:04
そうですよねぇ~
さっき見つけました…(;´Д`)
ブログにもありました…。
半年前に買ってましたねぇ…(-_-;)
しかもHataさんコメントしてました…(;^_^A
酒飲みながらネットサーフィンするもんじゃないです…
コメントへの返答
2016年12月8日 23:09
あらら・・・すでにお持ちでしたか!
私も気付いてませんでしたね(^^;
しかもコメントまでしていたとは!
歳は取りたくないものです・・・。
dai像さんのブログももう一回読み直してみることにします(^^)。
2016年12月9日 0:49
初コメント失礼いたします 、 自分もこの時代にF1 を知り夢中になったことから発売時には楽しみながら興味深く読みました 。

グラウンドエフェクト と言えば Lotus がすぐ思い浮かびますがこの本にはあまり書かれていないのですけれども既に 60年代末 には BRMチーム で トニー ・ ラッド 、 ピーター ・ ライト達がこのタイプ 80 的な全翼形のデザインを F1 カーに取り入れようとしていたのも面白いところでした 。 又 ブラバムのファンカー が認められた場合に備え タイプ 79 にもツインファン が追加されるプラン等も計画されていましたね 。

この当時はアイデア を実際に形にして走らせてみないと アイデア通り うまくいくのか分からないことも多く 、 時に予想以上の効果も見せながら 全く逆の結果になってしまう場合も有る 。 ご指摘のドライバー達の個性と併せ悲劇も数多く有りましたが見ていて楽しく F1 に夢中になれた時代でも有った気がしますね 。
コメントへの返答
2016年12月9日 18:47
いらっしゃいませ。同じような思い出をお持ちの方においでいただき感激です。今だからこそ、分かる点も多々ありますね。

60年代末のBRMが全翼形のデザインを取り入れようとしたことは知りませんでした。ピーターソンがドライブしたマーチがサイドウイング形状だったのは知っているのですが、BRMはその前にやっていたのですね。ロータス79のツインファン計画なんて!そんなプランがあったとは!こちらも初耳です!知らないことってたくさんあるものです・・・。

おっしゃるとおり、熱く、夢中になれた時代でもありましたね。マシンの開発にしても、一応「机上の計算」はありましたが、実際に形にしてみると不測の事態が起きる・・・なんてことがよくありましたからね。弱小チームがある日突然フロントローなんていうのは、もう今では有り得ないですね。

それにしてもsulusumi-jpsさんのエキシージ!感激しました!「誰かブラックのエリーゼかエキシージでJPSカラーにする人はいないのかな・・・」と思っておりましたが、まさしくそのカラーリング!素晴らしいです!当方の156と並べて78年のF-1インスパイアツーショットをお願いしたいくらいです(^^)
2016年12月9日 21:05
おっ、これは買わねば! 私はロータスの78が大好き、インパクトがデカかったですもんね~(^^ゞ
コメントへの返答
2016年12月9日 21:26
そうでしたか!?スカイドッグさんは78がお好みですか!それは楽しめますよ~!現存している車体の写真なんかもあります!間違いなくおススメです!
2016年12月10日 2:01
ありがとうございます 、 自分も JPS カラー のLotus F1 特にタイプ 78 ・ 79 に魅せられてのめり込んだ一人なのですが 中でも別格なのが 1977年 12 月 ポールリカールテスト でのみ走った " タイプ 79 1 号車 最初期型 " で 自分のカラーリング はこのイメージ をなるべく活かす形になるよう自分が考えたものになります 。

いただいた イイね ! が 156 個目 ! だったのもなにか不思議な御縁 ? なのかもしれませんね 。

元々マーチ のサイドポッドのウイング形状もピーター ・ ライト 達がBRM時代に全翼形の前にデザインしたものをベースにライトがマーチに移った後再度デザインしたもので 、 BRM のウイングカー ・ 最初期型のタイプ 79 と 79 のツインファン化 ・ 80年代半ばトヨタ が Lotus からの依頼を受け試作していた 1.5 L ターボ + SC というトンデモエンジン 等 これまでのブログ カテゴリー ロータスフォーミュラ ・ Book に引用して掲載させてもらっており 、 カラーリング については ロータスダイアリー の初めのほうに当時の状況等を書いて有りますのでお時間の有る時にお読みいただくと 「 へぇ ~ こんなことが有ったのか 」 なんて内容も見ていただけるかもしれませんね 。

まだ書いておりませんが 「 ピーター ・ ウォー によれば本来 アイルトン ・ セナ は 1984 年に トールマンからでは無く チームロータス からデビュー する筈だった 」 なんて話題も有りまして 。
コメントへの返答
2016年12月10日 8:04
JPSカラーのエキシージ!最高です!当時はマシンのカラーリングも良かったですよね。私にとってJPSは古き良きF-1の象徴みたいなものです。初期型は若干カラーリングもフォルムも実戦型とは違っていたようですね。いずれにせよ、フォーミュラのカラーリングをハコ車に応用するのはけっこう難しいのですが、素晴らしい仕上がりです!
私も156個目というのは驚きでした(^^)

なるほど!ピーター‐ライトがマーチでデザインしたものは、それ以前にBRMでやっていたものなんですね。それにしてもスゴイ情報をお持ちですね!やっぱりロータスとトヨタの話はまったくのガセネタじゃなかったのですね!当時の専門誌ではロータス‐トヨタの噂が・・・なんてありましたが、その後パッタリとその話は立ち消えでしたから。
それではこれからsulusumi-jpsさんのページに飛んでじっくり拝見させていただきます!最近また、自分の中でこの時代のブームが起きておりますので、これは楽しませていだけそうです!ありがとうございます!

セナがもしロータスで84年にデビューしていたら、そしてヴィルヌーヴが事故に遭っていなかったら・・・そんなことを考えたらあっという間に時間が過ぎてしまいそうです。

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「@ぼうんのう さん、バッテリーとエアコンまでやれば、走り出してすぐに効果を体感できますよ(^^)」
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アルファ156 2.5V6で走ってます。 家内用にGTV3.0V6。
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