
十勝スピードウェイクラブマンコースで行われた北海道GTシリーズ最終戦。
なんとも今シーズンの自分を象徴するようなレースになった。
前日から十勝入りをし、0541RACINGのどぅーさんやgood-eyeさんと共に楽しい夜を過ごす。深夜になってGTVcupのシンシンさんも合流。翌朝、今回は10時受付開始なので早めに宿を出る。
天候はこれ以上望めないほどの好天。暖かく風もない。
【フリー走行&予選】
まずは様子見で走る。
しかし先日の第3戦以降まったくサーキットを走っていないため、
走りがギクシャクしてしまう。
ブレーキは早すぎたり遅すぎたり、しかもレブに2回も当ててしまう始末。
そして迎えた3周目、最終コーナー手前でイエローフラッグが見える。
どうやらコースアウトしてグラベルにはまったクルマが出たようだ。
始まったばかりだし、ここはペースダウンをと思いシフトダウン。
次の瞬間、異変に気付いた。
エンジンが吹けない。
アクセルを踏んでもまったく反応がない。
ピットロード入り口がすぐだったので惰性でピットインをすることに。
途中何度かアクセルを踏むが辛うじてタコメーターの針が上下する程度。
ピットでチーフメカのnaoさんに診てもらうことに。
エアフロが逝ったような感じだが、エンジンをかけ直すと
何事もなかったかのようにエンジンはレッドまで吹け上がる。
多分レブに当ててしまったため、ECUが誤作動をしたのではないか。
再びコースに出ようとしたが、車両回収のためレッドフラッグが出たとのこと。
この時点でフリー走行は終了。
そういうわけだから予選はタイム云々よりも
まずクルマが普通に走ることが先決になってしまう。
恐る恐るアクセルを踏む。
しかしダメだった。
やはりエンジンは吹けない。
さらにエンジンの異常を知らせる警告灯点灯。
ピットに戻り出走を断念した。
レースはおろか、帰れるかどうかすら分からない。
完走さえすれば、というレースでまさかのDNS(Did Not Start)だ。
ピットの椅子に座り呆然としていると、予選を終えたgood-eyeさんが戻ってきたので事情を話す。
しかしgood-eyeさんの言葉で微かな望みが。
1ヒート目をキャンセルして2ヒート目だけを完走狙いで走る。
事務局に問い合わせたところ許可が出た。
さらにリタイアしてもいいから1ヒート目も様子見で走ったらどうかとも。
なんともありがたい配慮をいただき、決勝も走ることに決めた。
そんな中、naoさんは必死でクルマを診てくれていた。
エアフロ付近がやはり怪しいので、ソケットを抜きCRCでクリーニングをするなど
できる限りの手を尽くしてくれた。
私も何かせずにはいられず、スロットルボディのモーターあたりを
ドライバーのグリップでコンコンと叩いたりした。
GTVビアンコのどぅーさんも心配してくれてメーターあたりを覗き込んでいる。
Hata:「スピードメーターに警告灯が点いてるでしょ・・・」
どぅーさん:「ん?」(再度覗き込む)
Hata:「右側のメーターに警告灯が・・・」
どぅーさん:「・・・点いてないっすよ」
なんと!
警告灯は消えていた。
アクセルを何度か踏んでみたが異常なし。
試しにパドック内を走ってもみたがこちらも異常なし。
【決勝】
1ヒート目、当然グリッドは最後尾。
こういう位置に並ぶのは実に久しぶり。
などと懐かしんでいる場合ではない。
まずはクルマに異常が再び発生しないか、それだけに集中する。
グリーンライトになってもゆっくりとスタートする。
1台ストレートでパスし、その後は知床シビックさんの後方を走ることに。
クルマは特に異常ナシ。
あのトラブルは一体・・・などと思いながらもペースを抑えて周回を重ねる。
結果的に、このレース中に若干ペースを抑えて走るということが
とても貴重な経験になることに気付いた。
クルマの挙動がよく分かる。
「ほうほう、なるほど・・・」などと一人納得しながら走る。
そして迎えた5周目、1コーナーで知床シビックさんの前に出る。
前方のクルマはもう見えない。
残り2周、全開で攻めてみた。
あとで分かったのだが、最終ラップでベスト更新。
まだまだ156を自分のモノにできていないが、出走を諦めた数十分前を思えば上出来だ。
ならば2ヒート目は完全にレースモード、といきたいところだが
トラブルの原因は依然として不明なのであくまで完走第一に。
スタート直後の渋滞でモタモタしていると、2コーナー手前で知床シビックさんに刺されてしまう。
ルーキーらしいイキのいい走りだ。
しかしちょっとだけ先輩としてはこのまま引き下がるわけにはいかない。
3周目の1コーナーでポジションを取り返す。
今度は前にいるのはCR-Xのぐっちーさんだ。
EGシビックとテールトゥノーズになっている。
クラス違いのクルマと無用なバトルをするつもりはないのでそのまま走る。
やがてぐっちーさんがEGシビックをパスし、その前を走るGTVビアンコのどぅーさんにも迫る勢い。
久々の参戦だというのに、ぐっちーさんはやはりベテランである。
そうこうしているうちにEGシビックの後方に。
最終コーナーからストレートではパスするチャンスはあるが
やはりクルマの状態は心配。
パスした瞬間エンジンが吹けなくなったら事故にも繋がる。
そして迎えたファイナルラップ。
6コーナー進入でEGシビックが若干アンダー気味に進入したのが分かる。
そのスキを付いて並び、7コーナーで前に出る。
しかし迎える8コーナーで向こうがインになる。
ミラーを見ながらブロックラインを走り最終コーナーへ。
そのまま0.4秒差で逃げ切った。
知床シビックさんやEGシビックのドライバーさんと抜きつ抜かれつをやらせてもらったおかげで
実に走り甲斐のあるレースになった。
完走できたということより、普通にレースができた喜びが大きかった。
ピットに戻るとnaoさんとgood-eyeさんがしきりに人差し指を立てて「1!」「1!」と言っている。
なんのことか分からなかったが、私が1位になったという。
mininoriさんがブレーキトラブルでリタイアしたため、私がEURO200クラス優勝となった。
mininoriさんがリタイアしたのは6周目。
あの人の技術ならばペースダウンしても完走できただろう。
それでも私はMINIに追い付けなかったに違いない。
そんな状況でも色々なことを総合的に考えてリタイアという判断をしたmininoriさんに
頭が下がる思いだ。
これでシーズンが終わった。
最終戦に優勝でき、シリーズタイトルも手にすることができた。
今シーズンはクルマが不動になるという最悪の状況から始まったので
まさかこんな結果になるとは夢にも思わなかった。
多くの人達に支えていただいた。
もっとも身近にいる家内、チームスタッフはもちろん
クルマに関わってくれたショップのスタッフやHGTSのエントラー、
そしてHGTS主催スタッフのみなさん・・・・。
よい結果になったからではなく、こんな素晴らしい環境で走れることに
心から感謝したい。
しかし既に気持ちは来シーズンに向っている。
今年は圧倒的に走り込みが足りなかった。
クルマもまだまだ改善の余地がおおいに残っている。
このオフはじっくりと来年の楽しみを考えようか。