順調に開幕戦を迎えるはずだった。
特に大きな問題はなく、
昨シーズン終盤に症状が出始めたブレーキの不具合だけを対処すればよかった。
ところが・・・
ブレーキのシール交換をお願いしたプロテックの二代目から電話が。
「点検のためにリアも診てみたんですが、
キャリパーが固着してますね・・・」
なんと!
ブレーキの不具合はてっきりヒビが入ったフロントのシールが原因と思っていたが
実はリアだったとは。
しかもほとんど「後臨終」とのこと。
その電話が先週月曜、その時点で開幕戦は諦めたが「ちょっと待てよ」と考えた。
リアのキャリパーさえ手に入ればなんとかなる。
今度はイタリア車乗りの駆け込み寺、ガレージファンへ。
「156のリアキャリパー2個お願いします!」
部品取り車から翌日には取り外してくれていた。
そんなこんなでドタバタしながらクルマを受け取ったのが前前日の2日土曜日。
しかし、本当の問題はここからだった。
クルマを受け取る際、プロテックの二代目から
「点検で走ってみたんですけど、ときどきアクセルがマイルドになっちゃうんですよね。
エンジンOFFにして再始動すると大丈夫なんですが・・・」
実際に私が受け取ってからの帰り道でもその症状は出た。
まったくアクセルに反応しないわけではないが、
極めてレスポンスが悪い。
特に3,000以下で顕著。
しかし再始動すればそこからは何も問題ナシ。
ただ、今までもこの症状はあったが少々違う感じがする。
昨年と変わったことは何か?
ひょっとしてコイツが悪さをしたか?

昨年、シーズン終了後に製作したサクションパイプ。
これまでの仕様と異なり、整流の格子やパイプ内の段差をすべて無くしたもの。
確かに理論的にはこちらのほうが吸気としてはイイのかも知れないが
コンピュータが「想定外」と判断したのではないか。
そしてそれは昨日のレースでも頻繁に出てしまった。
【フリー走行~予選】
フリー走行1本目は1周もできない有り様
コースに出ても4コーナーあたりですぐにチェックランプ点灯。
ピットに戻って再始動するものの、また同じことに。
考えられる箇所をひと通りあたってみるが改善されず。
そうしているうちにフリーの2本目の時間。
ここでは2周だけなんとか走ることができた。
しかし、そこでひとつわかったことが。
チェックランプが点いていない、つまり正常な状態であるはずなのに
明らかにパワーが出ていない。
いつもとシフトアップポイントが全然違う。
ホームストレートがもっとも顕著で
5速に入るポイントが30mくらい遅れてしまっている。
しかも中低速のトルクも細くなっているのでコーナーもふらつく。
今まで自信を持って回っていたコーナーでもフラフラと頼りない。
3本目の予選では症状もなんとか治まり3周ほど連続でアタック。
とはいえエンジンがそんな状態なのでタイムはまったくヒドイものだったが
とりあえず走れるだけ走って原因を探ることに。
【 決 勝 】
こういうときに限って接近戦になる。
グリッド上にはエンジンパワーもタイムもそれほど違わない人達と並ぶ。
久々にロケットスタートが決まり、
すぐ前にいたセリカの前で1コーナーを抜けることに成功。
しかしこっちはエンジンだけではなく、ブレーキもまだ「点検中」の身。
2周目の1コーナーでは勝負をせずセリカが前に出る。
では今度はセリカの後ろで「いざ勝負!」と思いきや、
ここでチェックランプ点灯。
リタイアも頭をよぎったが、まだ2周目。
なんだか勿体ない気がしてバックストレート脇に一瞬だけクルマを停め、
エンジン再始動。
次にダメになったらリタイアすればいい、そんな気持ちで再スタート。
走り出してから気がついたが、これでブレーキになんの問題も出ないで8周完走できたら
まずはブレーキは大丈夫ということになる。
エンジンばかりに気を取られていたが
ブレーキにも意識を集中する。
するとまたひとつ分かったこと。
ブレーキが効く。
もちろんテストの意味合いがあるので、かなり慎重にブレ-キングしていたが
最後の2周は今までと同じブレーキングポイントで踏んだ。
ところがホームストレートエンドなど、いつもと同じポイントだと「お釣り」が来る。
確かにパワーが出ていない分の「お釣り」と思えなくもないが
今後に向けて明るい材料であることには違いない。
しかも、今回まったくブレーキに不安なく8周のレースを終えることができた。
エンジンもその後は症状が出ることなく無事にレースを終えることができたが
原因についてはいくつか考えられる。
第2戦まであまり時間はないが、
もし私の予測が正しければそれほど手間はかからない。
最悪、元に戻せばいいのだからまったく悲観的には考えていない。
例えて言えば・・・
『過ぎたるは及ばざるが如し』
⇒吸気が良くなりすぎたか。
『転ばぬ先の杖』
⇒が足りなかったか。(各種センサーの老朽化)
・・・のどちらかではないかと思っている。
結果も内容も散々だった開幕戦。
ちょっと前なら大いに落胆し、自虐的になったであろうレースだった。
でも今はそんな心境とは無縁。
確かにベストの4.5秒落ちという、145時代よりも悪いタイムだったが、
昨日の条件の中でやり切ったという充実感があるし、
今後の見通しも既に立てている。
もしそれでもダメならまた原因を探ればいい。
実のところ、今回のレースほど気持ちが盛り上がらないレースもなかった。
十勝に行くまでは。
それはEUROクラスの停滞によるところが大きい。
新しいクラス分けもとても歓迎できるものではないが
EUROクラス設立の経緯を知らないTS側の判断なのだから仕方がない。
でもやっぱり走ってよかった。
「面白い」でも「楽しい」でもない。
そんな陳腐な言葉では表現できない喜びを感じることができた。
走行会では味わえない「痺れるような時間」がレースにはある。
昨シーズンの開幕はウォーターポンプ破損で初のDNSだった。
どうも自分は開幕はあまりイイ思い出がない。
そう考えれば昨日はまだマシなほう。
とりあえず完走できて今後のデータを残すことができたのだから。
さて、第2戦に向けてどこから手を付けようか・・・。