「いかに強力なエンジンを持っていても、それはブレーキがレースが終わるまで摩耗に対して充分信頼できるものであるという条件つきであり、いかに完全なサスペンションを持っていても、空力特性が悪ければそれはパアであり、いかにすぐれた全体設計であっても、重量過大ではないという条件つきである。」 ニキ ラウダ
シーズンが開幕した。
NEW HOKKAIDO GT SERIES 第1戦。
つい先日まで雪が降っていたはずの北海道だが、既にニュース等で報じられているように、昨日から北海道地方は全国的に見ても気温が高く、ほとんど真夏のような天候の中レースは行われた。
今回はオフの間に色々と手を入れたこともあり、いつもと同じように臨むのではなく、
自分の中ではシェイクダウン、テスト走行という位置づけで考えていた。
クルマはもとよりHANSの導入、その他のレーシングギアも新調したとあって
ほとんどニューマシンに乗るような心境である。
慣れない手つきでHANSを取り付けるの図。
最初はクリップの付け方が分からず難儀したが、慣れてしまえば簡単だった。
それよりスーツを「カッコイイですね」と多くの方に声をかけていただいた。
感激である。
【フリー走行&予選】
何はともあれ、まずは感触を確かめるべく、いつも以上に慎重に走る。
エンジンは特に変わった様子はなく、レッドまで問題なく回る。
驚いたのがロールケージを入れた効果で、フロントの入りがこれまでとまったく違う。
上々の滑り出しでついついペースを上げる。
ピットに戻ってタイムを見るとベストの2.5秒落ち。
まあ最初はこんなものだろう。
その後のフリー2本目からは手探りながらもアタックを続ける。
ただ、このあたりから最初の問題が浮き彫りになってくる。
5速に入らない。
入り難いというレベルではなく、入らないと言うべきか。
ホームストレートのコントロールライン手前で5速に入れるのだが、
あとは真っすぐシフトレバーを前に押し出すだけというところで
まるでレバーがロックされたかのように前に進まない。
当然ここで失速。
タイムは1本目よりも1秒削ったが、なんともはや・・・である。
予選でも5速の症状は変わらなかった。
入ったり入らなかったり。
それでもなんとかベストの1秒以内に漕ぎつけることができた。
今回はベストタイムでベストの1.5秒以内になれば、と思っていただけに
まずまずの結果である。
シーズン最初、シェイクダウンということを思えば
一応今回の目標を達成したと言える。
ところが・・・・
こういうときに限って、微妙なグリッドポジションになるもの。
Aグループ18台中、予選8位という中団に位置してしまう。
7番手は私の目標タイムをあっさり叩き出したどぅーさん、
6番手はインプレッサからBRZにスイッチしたドラゴン走法のくらちゃんという顔ぶれ。
後ろを見ても歴戦の猛者たちがゴロゴロいる。
シェイクダウンだのテスト走行だの、呑気なことは言ってられない空気。
【決 勝】
真夏のような陽射しの中、決勝は行われた。
ある意味こっちはもう目標達成の感がある。
四の五の面倒なことは考えず、ひたすら走るのみ。
しかし・・・
やはりこういうときは微妙な展開になるもの。
スタートはいつも通り、しかし前のくらちゃんが若干出遅れた感じで
1コーナーを抜けたところで、私が前に出てしまった。
ここからくらちゃんの情け容赦ないドラゴン走法によるプレッシャーを覚悟するが、
そこは人柄が出るというもの。
終始ジェントルなプレッシャーを受けることに。
「このままくらちゃんの前でフィニッシュできれば」と欲も出るというもの。
しかしミラーを見ると自分を先頭に数珠つなぎになっている。
なんだか自分がペースを落としているようで、あまりカッコ良くはない。
そうなるとさらに頑張るしかないわけで、必死に逃げる。
しかしやはりホームストレートで5速が入らない症状は
早くも2周目から出始め、逃げるどころではない。
そして迎えた4周目、今度は1コーナー進入で5→4→3と入れるはずが
5→4→5と痛恨のシフトミス。
それをくらちゃんが見逃すはずもなく、あっさりとパスされる。
さらにミス連発で、2コーナー進入で目測を誤ってコースアウト。
さらにpuriさん、インテのMさんにも抜かれ10番手に後退。
それでもコースに復帰し、最後までレースをやったという充実感はあった。
結果はAグループ9位。(クラス2位)
いつもは接近戦のどぅーさんには完敗だった。
今回のレースを終えて、真っ先に浮かんだのは冒頭のラウダ氏の言葉だった。
もちろん世界最高峰の舞台とサンデーレースを一緒にしてはいけないが、
ほんの少しだけ通じる部分はあるだろう。
実は今回、いろんな部分で「試験的に」使ったモノがある。
それらを判定するとすれば完全に「✖」である。
5速に入らないのも、間違いなくそれが原因だ。
さらにエンジンがレッド手前の1,000回転の伸びがなかったのも。
この辺は以前まで使っていたものに戻せばいいだけの話。
そしてもうひとつ、大きな不具合があった。
本来なら数値にして分かるものだけれど、これはもうそれをしなくても分かる。
アライメントが適正値でなかった。
これではタイムは望むべくもない。
つまり、冒頭のラウダ氏に倣って言うなら、
いくら吸気系をスムーズにし、燃料噴射を適正にしたとしても、
高回転まで淀みなく回るエンジンオイルが必要であり、
いくらボディ剛性を上げても、サスペンションのアライメントが狂っていては
その恩恵は半減する。
次は来週のEURO&WORLDを考えているのだが、
予定しているメニューを消化できるかなんとも微妙なところである。
できることなら早いうちに手を打って、
2017仕様の充分な状態で走ってみたい。
さあ、ようやく今シーズンが始まった!