
自転車という新しい世界に足を踏み入れたことは先日のブログで書いた通り。
しかし自転車の世界もクルマ同様、実に深く面白い。
そうなるとさらに深みにハマるわけで、当初は、いや、つい数か月前には考えもしなかったことを考え始めることに。
ビアンキのクロスバイク(ROMA3)での往復80㎞は、ビギナーの自分にとってなかなかハードなものではあったけれど、その面白さや充実感はやはり素晴らしいものだった。
ただ、ペダルを漕ぎながらふと思った。
「これがクロスじゃなくてロードだったら、どんな感じなんだろう・・・」
あとで分かったが、理論的に長距離はクロスのほうがネガな面がある。
(自転車の達人である知人は「まあ~クロスでも100㎞くらいは普通に走ってきますけどね~」とサラッと言っていたが)
前傾姿勢が緩い分、普段乗りではラクだが風を受ける長距離ではけっこうな負担になる。
タイヤもワンサイズ太いものになるせいか、5㎞ほどの直線を延々と走っていると、
そのタイヤの太ささえも抵抗になる感じがした。
ロードバイクなどという、本格モデルには乗るつもりなどまったくなかったが、
沸々と「乗ってみたいな~」という思いが沸いてきてしまった。
そんなとき、背中を押してくれたのは家内だった。
実は私がこうなることを予測していたらしく、ROMA3を購入したときも
内心「あ~早まっちゃったのね~!」と思っていたらしい。
そして清水の舞台よろしく、意を決して手に入れたのがこちら。
デローザ、コルナゴと並び「イタリアビッグ3」の呼び声高いピナレロ。
若葉マークがフェラーリに乗るようなものである。
しかしこのデザイン、スタイル、佇まいにすっかりヤラレテしまった。
今ではカーボンフレームが主流の中、
アルミフレームというのも自分としてはツボだった。
よし!これで再び同じルートを走ってみよう!
そう思い立って走り出した7月下旬。
今度は余裕を持って午前中にスタート。
やはり走りが軽いというか、スムーズな感じがする。
「やっぱりロードは違うんだな・・・」などと思いながら順調に距離を伸ばした。
片道の途中までは・・・・
ただ、スタート直後のスムーズな印象の割には
自分自身としてはちょっとキツイ感じもしていた。
「あれ?こんなにキツかったかな?」と思いながら、
もっともアップダウンが激しい山道を走った。
途中何度か休憩をしながらゴール地点である霊園に着き、そこで昼食を摂った。
日陰で腰を下ろし、1時間ほど身体を休めた。
隣の墓地ではおばあちゃんが一人、手を合わせている。
「さて、戻るか・・・」と腰を上げると、そのおばあちゃんが近くまで来ていて
「暑いですね~」と声をかけてくれた。
「そうですね。今日は特に暑いですね。」と応えると
「氷、いるかい?」
思わず遠慮もせずに「イイですね~!」とご厚意に甘えることに。
するとおばあちゃんは持っていたバッグの中から
凍ったアクエリアスを差し出した。
「え?いいんですか?」と戸惑う私に
「まだあるよ(^^)」とコーヒーまで出したので、さすがにそれは遠慮させていただいた。
あのおばあちゃん、晩年の母のようだったな・・・などと思いながら来たルートを戻ることに。
しかしこの凍ったアクエリアスに、自分が救われることになるとは・・・。
十分に休憩をとり、昼食もそれなりに食べたのだが、どうもペースが上がらない。
どんどん「キツイな・・・」という思いが強くなっていく。
往路よりも頻繁に休憩をする。
しかし、市街地ではない場所で休憩を取ろうにも、日陰が見つけられない。
立ち止まって休んでいても、容赦なく真夏の日差しを浴びることに。
復路のほうがラクなルートではあるけれど、それでも上り坂もある。
急な登りをクリアしたあと「そうだ、冷えたアクエリアスがあった」と思い出した。
飲む前に首や頭、そして顔を冷やす。
休んでいる間に氷も溶け、水分補給と少しだけ身体も冷やすことができた。
そこから頑張ってようやく市内までたどり着いた。
そうなるとコンビニに入ることができる。
水分補給と店内のエアコンで身体を冷やすこともできる。
しかし、このあたりで自分自身の異変に気付く。
「おかしいな」から「やっぱりおかしい」という感じである。
休憩をとると、再び走り出す際には身体全体が軽くなった感じがするのだが、
それがまったくない。
それどころかかえって苦しい。
さらになんとも言いようのない「気持ち悪さ」を覚えた。
そのとき始めた気づいた。
「ひょっとして・・・これって今ウワサの熱中症?」(遅いって)
こうなるともう、ただただ無事に自宅に戻ることが最優先。
ちょっと走っては休み、を繰り返し、ヘロヘロになりながらなんとか自宅のドアを開けた。
今思えばかなりの「やってはいけないこと」をやっていた。
まず、いくら北海道とはいえ、この日の最高気温は34℃まで上がったらしい。
天気に無頓着だった。
そして装備というものを甘く見ていた。
グローブこそしていたものの、スウェットパンツにTシャツ、サングラスにキャップと、
あの天気では不適当極まりない装備だった。
スウェットパンツは体温を上げ、
キャップはツバがあるため視界を確保するには首を上げなくてはならず、
これが思いのほか体力を奪った。
「サーキットでの安全装備にオーバークオリティはない」と言っていたにもかかわらず
自転車ではこの始末・・・恥ずかしいことこの上ない。
食事や水分補給もテキトーだった。
後で色々調べたけれど、「ノドが渇いた」「腹が減った」と感じてからでは遅いらしい。
どちらも思い切りやってしまっていた。
そんなわけでロードバイク初の長距離走行は、なんとも手痛いしっぺ返しを喰らった。
帰って来て水風呂に浸かりながらホッと胸を撫でおろした。
しかし、これで終わるのもなんだか悔しい。
このまま引き下がるわけにはいかない。
ようやく体調が戻り、PC画面に向かう。
「まずはヘルメットだな・・・」
続く~~~~~~