その1その3その4
前回、車高調を導入するにあたってスプリングレートのあたりをつけました。
F 10.8k/R 5.4k
この数値は前後とも固有振動数が2.0Hzとなる数字です。
サスペンションセッティングは単純な硬さだけでなく、前後バランスが重要です。スプリングレートはロール剛性にも関わってくることになり、ロール剛性の前後バランスはサーキット的な言い方をすればオーバーステアやアンダーステアといったステアリング特性に影響します。
また前後バランスはピッチングの抑制という点でも重要な役割を果たします。
純正の前後バランスはメーカーが多額の予算を組んで長い時間をかけて考え抜いた前後バランスです。
これを安易に崩すようなことはしない方が良いはずです。
個人的に純正のステア特性に不満があるわけではないので(まぁ本音を言うともう少しフロントが入って欲しいというのはあるけど)、基本的には純正のバランスを踏襲します。
あえて前後バランスを弄って楽しむ遊び方もありますが、最初の車高調の吊しスペックでやることではないでしょう。
あとシミュレーターでの経験上、これやり始めると終わりのない沼に嵌まることが目に見えているので絶対にやりたくない。
というわけで純正サスペンションの固有振動数とその比率を確認します。
・・・・純正のスプリングレートってどのくらいなのさ。
通常、メーカーはこれを公表しません。
しかしマツダ車に限って言えば、純正のレートを確認する方法があります。
マツダ車のチューニングショップ、Autoexeのローダウンスプリングのページです。
ここにローダウンスプリングのスプリングレートの横に、括弧書きで純正のレートが書いてあるのです。単位はN/mmなのでkgf/mmにするには9.8で除す必要があります。
この数値がどこまで正しいかは分かりませんが、他に情報がないのでこれを正しいということにしておきます。
RX-8はF 2.8k/R 2.0kのようです。
このスプリングレートから固有振動数を計算します。
Excel先生が。
はい出ました。
F 1.02/R 1.22
・・・・低すぎない?
前後比がどうとか以前に柔らかすぎませんか。
詳しくは知りませんが、もしかしたら純正のバネは不等長ピッチなのかもしれません。
まぁ今の目的は固有振動数の前後比を取ることです。少なくとも前後比の目安にはなるでしょう。
フロント 1.00とすると、リアは1.20。
つまり純正の前後バランスを維持するなら、リアの固有振動数をフロントの1.20倍とすればよいという話になります。
これは非常に理にかなった前後比で、リアの固有振動数はフロントより少し高めに設定するのがセオリーです。
それはピッチングの抑制が目的で、車が前に進んでいる時の路面からの入力は原則フロント→リアの順に起こります。
前後の固有振動数が同じだとその時間差を吸収できず、そのままバタバタとピッチング運動をしてしまいます。
ですがリアの方が少し振動数が高い=動きが速いとフロントの動きにリアが追いつくことが出来、ピッチングを前後揃った上下運動に変換することが出来るのです。
そうすると乗り心地がよくなり、また安定した走行が可能になります。
さて、前回固有振動数2.00HzとするとF 10.8k/R 5.6kになることが分かりました。そして前後比もわかりました。
swiftなどのバネ屋さんのカタログを見ると、基本的に1kgf/mm刻みで売ってます。ワンオフすればもっと細かい数字が設定できるのでしょうけど。
なのでフロント10kか11k、あるいはリア5kか6kを基準にしてそれぞれ固有振動数を計算し、前後比が1.20となる組み合わせを出します。
Excel先生が。
その組み合わせが以下の通り。
F 10k/R7k
F 11k/R 8k(7.7k)
F 7 k/R 5k
F 8k(8.4k)/R 6k
それっぽい数字になりました。
ということで吊しがこの辺の車高調キットの中から選んでいくことになります。
あとは実際にどのような数字の車高調キットがあるのか、それぞれの特徴は何かというところで判断していくことになります。
Posted at 2022/03/17 19:22:50 | |
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