車高調ダンパーの減衰力調整、ほんとに意味あるの?
と思って試してみました。
うちの子に着いている車高調はodula 蹴脚で、車高を工場出荷時から10mmずつ上げた以外は吊るしで乗っています。
その車高調の性格を理解するには、まず距離を乗ってみないと分かりませんから。
調整はその後。
減衰はフロントが6段戻し、リアが18段戻しです。
半年乗ってみて思ったことは、やはり街乗りでは硬いということ。
スムーズな国道なんかはいいんですが、市街地のパッチだらけの道や大型車による轍が深い道ではかなり不愉快です。
北陸道は凍結防止剤の塩分のせいか、大型車による轍がかなり深いです。車高調の硬い足でこれに乗ると乗り心地が悪いを通り越して事故るんじゃないかという気さえするくらいがたがたと揺れるし跳ねる。
サーキットもある程度走行したので、街乗りを快適にするために(そして本当に効果があるのか検証するために)ダンパーの減衰力を変更してみることにしました。
この車高調は30段調整出来て、購入時に付いてきた説明書によるとストリートは15~25段戻しが最適とのことでした。
「セッティングの初期は大きく動かせ」の原則に則り、前後とも25段戻しとしてみました。
結果・・・
かなり変わったと思います。
正直バネが一緒なんだからダンパーだけでそんなに変わらんやろと思っていたけど、結構変わりますね。
ただ謎のおじさんが一人で変わった変わったと騒いだところで誰も信用しないので、データを出してみます。
これはドラレコのGセンサー(鉛直方向)の比較です。
通勤で利用しているとあるICにある段差を通過した時のものです。
上が調製前の高減衰力、下が調製後の低減衰力です。
横線は0.5G刻み、全体で3秒程度です。
これを見ると、高減衰力は1Gを越えるGが鉛直方向にかかっていますが、低減衰力では最大でも0.5G程度です。
減衰力を弱めることで、瞬間的な最大入力がかなり小さくなったのが分かります。
一方で高減衰力の時には鉛直方向の振動が素早く収束しているのに対し、低減衰力では小さな波が長時間続いているのが分かります。
減衰力を弱めたことで、文字通りバネの振動を減衰させる力が弱くなり、バネの振動が長時間残っていることが分かります。
ダンパーの減衰力はサスペンションの動きを減衰(弱める)する力を調整する項目なので、まさにその通りの結果になったと言えます。
ただ、これにはネガティブな面もあります。
同じく鉛直方向のグラフですが、これは高速道路を巡航している時のものです。
この地点は川の上にかかっている高架橋の区間で、ジョイント(繋ぎ目)が存在する区間です。
画像全体で10秒です。
見て分かるとおり、車両が規則的に振動してしまっています。
画面に物差しを当てるという原始的な方法で計算したところ、だいたい1.85Hzで振動しています。
以前車高調を検討する時に計算しましたが、この車高調の固有振動数はフロント1.92Hz、リア2.12Hzです。固有振動数とは、摩擦や空気抵抗のない空間でそのバネを放置したら何Hzで振動し続けるかという数字です。
この数値に近い数値で振動し続けているということは、路面の凹凸を拾っているのでは無く、バネそのものが10秒間振動し続けていることを示しています。
ダンパーが振動を減衰させる役割を十分に果たしていれば、上に示したIC通過時の高減衰力のグラフのように徐々にでも振動は収まるはずです。
でも10秒間も振動が続いているということは、振動が減衰していない、つまりダンパーがほとんど役に立っていないことになります。
もちろん、ジョイントの通過が振幅が最大値になるポイントと一致したために(赤矢印)加振されてしまったという背景はあるでしょう。実際ジョイントによる加振がバネの振動とズレると(緑矢印)すぐに収束しています。
しかしこの場所以外にも乗っていて体感できるレベルで収まりが悪いなと感じていたので、もう少し減衰が強い方が安定して走れるかもしれません。
今の状態だと、たぶん車酔いしやすい人は酔います。
街乗りに関しては、乗り心地と収まりの良さの妥協点を見つけるまで少しずつ調整が必要かもしれません。
サーキットに行かずとも、街乗り最適セットを見つける遊びが出来る車高調は楽しいですね。
そして何より、何も考えなくても公道を快適に走れてサーキットまでカバーできる純正サスペンションの優秀さを改めて痛感しました。
Posted at 2023/05/20 15:20:29 | |
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