この家に生まれた宿命というべきか....GWに出かけることはほとんどありません。昔は、GWに出かけられる人を羨んでいましたが、今はそんなことも感じないようになりました。高速道路の渋滞でイライラすることもないですしね。
さて、GWに突入する前の週。毎年決まって4月20日に用水路に水が入ってきます。大地を潤す恵みの水です。この日の夕方からは田んぼに水を引き入れ、数日かけて田んぼに水を入れます。この週の前半である23日から27日あたりまでは急ぎの仕事や会議がない時は無理をしてでも休みを取って田んぼの代を掻きます。代掻きのコツは、苗を植えたときにサッと周りの土が苗の根元を覆うがごとくトロトロになるように掻くのです。硬めに代掻きを仕上げると植えたところが穴になってしまって風が吹くと苗が抜けてしまうからです。写真がないと分かりにくいですが、撮っている暇もないので省略です。興味のある人は今度注意して見てみてください。代掻きの上手な人の田んぼとそうでない人の田んぼが分かります。
代掻きが終わったら、できれば1日~2日ほど間を空けます。これは、稲刈りをした後の藁(
農家は「よた」といっています)が浮いてしまって、これを田んぼから救い上げないと、風で漂う切藁が苗を倒してしまうからです。
この作業が終わってやっと田植えです。田植えをするときは、水を落とし、田面にわずかに水がある程度まで落とします。これは、田植機がまっすぐ線を引いたように進むには、田んぼに機械が目印をつけながら植えていくため、水を落とさないと目印が見えないからです。また、水が多いと苗が揺られて浮いて行ってしまうということもあります。そのため、自分の田んぼは何時間で水が満水になったり、逆に何時間で水を落とせるかを頭に入れておかなければなりません。全ては段取りが重要なのです。いずれの仕事もそうですけどね。
そんなことを毎年注意して田植えをするわけですが、うちの場合は4月29日に1日で家族総動員で田植をしました。参加人員6.5人(弟+娘夫婦+娘2人+自分)。毎年、これらの人員をいかに効率的に動いてもらうかを考え、仕事の采配をしなければなりません。短時間で効率よく仕事を終わらせるには大切なことです。
次の写真は、そんなこんなで無事田植えが終わった我が家の田んぼの写真です。写っている写真は、1枚の田んぼの面積が8反。ピンとこない人は、縦100m×横80mと言えば分かりやすいでしょう。この他にもあと2枚の田んぼがあり、1日で1.36haの田植えです。今の機械は高性能なので、時間的には楽勝で終わってしまいます。おそらく、段取りよくやれば1日2ha(5条植)はいけると思います。米の産地では機械も大型なので、もっと多くの面積を植えられると思います。
あと10年もしないうちに、うちの周りの農家は後継者もいないので、リタイヤが続出すると思います。私も多少なら規模拡大は可能ですが、稲作は水路の関係があるので、集落単位で行う作物なんです。そのため、みんなができなくなれば、うちも止めなくてはなりません。
【No1】 私の田んぼ
まあ、大体まっすぐ植わっているでしょ。もっと上手な人はたくさんいますが、田舎では、いかに速く、まっすぐ植えられるかがこの時期は静かなる品評会のようになっています。曲がって植えても、曲がったコメにはならないですけどね。
【No2】 つつじ咲く
仕事の合間に、我が家の庭の一部を撮ったものです。そういえばつつじがあったんだっけ? 毎日見ていると当たり前すぎてその存在をスルーしてしまうものです。
【No3】 育苗の後は...次の戦いの準備
このハウスは今まで稲苗を育苗していたハウスなんです。米つくり専門農家は育苗の後は下が不均衡になってしまうため、何も作らない人がいますが、折角のビニールハウスなので、何も作らないのは資材の有効活用にならないので、私はここに野菜を作ります。写真ではごみのように見えるかもしれませんが、この写真は、これから野菜を作るために肥料を入れた写真です。内容は、アヒルの堆肥+もみ殻(団粒構造を作るため)+化成肥料+苦土石灰(堆肥は酸性なのでPHを中和させるため)です。この一連の作業で約半日の時間を費やします。
ちなみに、早く田植をしないと、次の作業ができないので、4月に田植えをするということもあります。
【No4】 耕運作業
肥料を散布した後は、小型トラクターで土を細かく耕運します。
【No5】 ベット作業
耕運したのちは、畝立て機という機械を使ってベット(畝)を立てます。この日は、この後、各畝に灌水チューフ゛をセッティングし、明日の仕事の準備をして終わりです。灌水チューブは、家庭菜園とは違うので、地下水をホースでつないで、一気に野菜に水を散布するためにセッティングするものです。
【No6】 定植
写真は、グリーンマルチをした後に定植をしたものです。マルチは、色が濃いほど草が生えなくて済みますが、地温も上がりにくくなります。地温を上げたければ透明なマルチを使用します。また、アブラムシ対策などとしてシルバーマルチを使用する場合もあります。
写真に写っている上から吊り下げられている黄色の紙は虫取り紙です。通称「ペッタンコ」です。この資材を使用すると、農薬の使用回数を大幅に低減できます。できるだけ農薬を使いたくないので、こうした措置もしています。
苗は、左手から「バジル」「エゴマ」中央が「大葉」、右手がアイコの接木苗、最右翼の奥が、以前種の状況を説明した「ピンキー」と「キラーズ」です。
【No7】 ピンキーとキラーズ
拡大写真がこれですが、以前の種の段階から、ここまで大きくなりました。先日試食したところですが、来週あたりから出荷です。このミニトマトは薄皮トマトで完熟させれば、甘さと酸っぱさの具合がちょうどいいと思います。
【No8】 バジルの苗
私の家では、このバジルで作ったペーストでスパゲッティを作って楽しんでいます。
【No9】 エゴマ
健康志向で食べる人が増えています。葉は、肉料理に使ったりします。
【No10】 アスター
これは、お盆に出荷する予定のアスターです。昨年は試験的に1000粒を撒きましたが、今年は少しコツを掴んだので、一気に4000粒に増産です。できるかどうか不安ですが...。
【No11】 アイコ
今年は、もう一度だけアイコを作ります。来年は、違う品種を作る予定です。アイコもおいしいのですが、口の中に皮が残るのが好き嫌いがある人もいると思います。
【No12】 モロヘイヤ
これは、うちの妻が作る予定のモロヘイヤです。
といったところです。この他に、今年は新たにジャガイモに挑戦。あと10日ほどで新じゃがが収穫できると思います。
定年になったら、煩わしい定年延長などせずに本格的に農業をやろうと思っています。体はきついですが、土いじりは嫌いではありません。今のうちに父を師と仰ぎ、技術を受け継いでいきたいと思っています。生きているうちでないと教えてもらえないですからね。こればっかりは、マニュアルを作っても、実際にやってみないとうまくいかないものです。
今回は、農業のお話でした。車と写真の話でなくてあしからずです。
Posted at 2018/05/07 23:06:02 | |
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稲作 | 日記