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2010年07月25日

インホイールモーターがおもしろい

インホイールモーターがおもしろい 先週、パシフィコ横浜で開かれた電気自動車開発技術展を見に行ってきた。
その中に、電動スクーターの試乗ができるブースがあったので、早速乗ってみることにした。
とはいえ、屋内の会場に設けられた特設コースを数分間だけ往復できるという程度のものなので、物足りなさは残った。

出展していたのは東京にある輸入バイクの販売店で、試乗用に用意されていたのは中国製で原付クラスの電動スクーターだった。
スイッチを入れる前に、まずは取り回しを確認してみる。
コンパニオンのおねーちゃんによると、重さは80kg前後で、ホンダ・ディオやらヤマハ・ジョグといった、国内ではスタンダードな原付スクーターとほぼ同じ。
わたしが所有しているジャズもそのぐらい。
リヤキャリアをつかんで持ち上げてみたり、車体を押してぐるぐる歩いてみても内燃エンジン車との違いはない。
またがってアクセルをひねると、かすかにピュィーンと音を立てて滑り出す。
音で感じる効果も加わって、とてもなめらかに加速するように感じる。
そしてやはり電気モーターの特性で、出足の加速力は気持ちいい。
それこそ10km/hぐらいまでの、ほんの走り出しの領域なのだけど、車輪がジャイロ効果を発生して車体が安定するまでの時間が短いというのは安心感が高い。
ジャズだともっさりしていて、気を抜くとふらつくことがあるからね。
このほかに出展されていた電動スクーターはフォトギャラリーをご参照。

さて、今回ちょっと注目したいのはインホイールモーター。

電動スクーターでは定石の、ホイールの中にモーターを組み込むというレイアウト。
だけど、今のところこのレイアウトで市販されている4輪EVはないようだ。
三菱のi-MiEVも、もともとはi-MIEVと綴って、大文字のIはインホイールモーターを意味していたらしい。
ところが、諸般の事情で最初の市販モデルにはインホイールモーターは採用されなかった。
バネ下重量が重くなるというのは今や学者筋の間ではデメリットとは考えられていなくて、むしろ、水やら泥やらジャブジャブかかるところにモーターを配置するとか、高電圧の電源ケーブルが車体下にぶら下がることになる、という構造のリスクがまだ不透明という理由で見送られたのだそうな。

一方、インホイールモーターが持つ利点というのはなかなか興味深い。
件の技術展では東大の准教授が来て、インホイールモーターで実現する車両安全技術の話を講演していた。
過去にNHKの「サイエンスゼロ」という番組でも取り上げられたことがあるそうだから、ご存じの諸兄もいるかもしれない。
その安全技術というのは、トラクションコントロールとかヴィークルスタビリティコントロールという分野。
内燃機関では物理的な限界で、どうがんばっても300ミリ秒単位でしか制御できないのに対し、モーターならば1ミリ秒単位という、非常に細かい制御が可能になる、というのが第一点。
そして、インホイールモーターならば、駆動輪を独立してトルク制御できるというのが二点目。
今のエンジン車のスタビリティコントロールはブレーキに頼っていて、トルクを抑えたい車輪にブレーキをかけるという、ABSの延長にある技術がほとんど。
モーターのトルクをダイレクトにコントロールできるなら、ブレーキを使ってわざわざエネルギーを殺さなくてもできるというわけ。

さらに、コーナリングの駆動効率も改善できるそうな。
曲がるときは、車体にヨーモーメントを与えるために、曲率半径に沿わせる以上の舵角を与えなくては曲がってくれない。
そのときフロントタイヤにはわずかに横滑りが発生して、エネルギーをロスすることになる。
しかし左右のトルクのバランスを変えることで能動的にヨーモーメントを与えれば、フロントタイヤは曲率半径似合わせた舵角で済んで、横滑りが発生しないという理屈なのだそうな。

もうひとつ、ブレーキ時には回生ブレーキの減速力を細かく制御して、へたくそでも乗り心地のいいブレーキを実現できるという研究もやっているらしい。
乗り心地が悪いブレーキというのはいわゆるカックンブレーキ。
慣れれば停止直前にペダルの踏力を少し緩めて、カックンとならずに停められるけど、初心者やペーパードライバーはその加減がわからない。
そこを回生ブレーキでアシストしながら、自動的に熟練ドライバーのブレーキングをしてくれるという制御らしい。
ただまあ、これは技術としてはおもしろいけど、クルマとしてはおもしろくないね。
それに、「オート」にばっかり頼っていたらドライバーはどんどんバカになるってもんだ。
状況を判断して足の踏み加減、手の力加減を調節する機会がなくなると、人間の脳活性はどんどん落ちるという学説もあるぐらいだしね。

期待できるところも心配なところもあるけれど、早くEVを所有車として試してみたい今日この頃のおはなし。
ブログ一覧 | 日記
Posted at 2010/07/25 00:12:11

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この記事へのコメント

2010年7月25日 17:00
インホイールモーターって、
ちょっと前に三菱のランサーエボリューションmievで
聞いたことがあります。

>それに、「オート」にばっかり頼っていたら......
最近の自動車で電子制御(DSCとかABSとか)に頼らない車ほとんど見なくなりましたよね(^^;

こういう電子制御とかコンピューター技術っていうのは、カーナビとかの例で
今まで地図が読めなかった人が読めるようになったり、地図が読めた人が読めなくなっていくんですよね・・・。
平等になっていった?というかなんというか。
コメントへの返答
2010年7月26日 12:38
>DSCとかABSとか

これのうちDSCは、ユーロNCAPの影響で標準化しているようです。
ユーロNCAPではESCと呼んでいますが、これが標準装備されている車は3点獲得できます。
で、どうせ欧州向けに付けざるを得ないなら、国内向けにもオプションなり標準装備なりで用意した方が飯の種になるというわけです。
2010年7月25日 17:46
>「オート」にばっかり頼っていたらドライバーはどんどんバカになるってもんだ。

おなじMT車だけど、C4にばかり乗った後、急にロドに乗りかえると、変速時にギクシャクしてしまいます。
C4はスロットル・バイ・ワイヤ(?)なので、微妙なアクセルの踏み加減の調節を勝手にやってくれるので、ドリバーがあまりする必要ない…というか、やっても意味が無いので。
便利機能といえばそうだけど、ありがた迷惑なことが多いなぁ

でも、妻の運転する車に同乗した時のカックンブレーキを指導する時は、なめらかなブレーキのアシスト機能は欲しくなりますw


余談ですが、インホイールモーターの4輪EVは、岡崎某所に絶賛(?)展示中みたいなので、平日なら誰でもじっくり舐めまわすように見れるハズですよ(爆)
コメントへの返答
2010年7月26日 22:23
>ロドに乗りかえると、変速時にギクシャク

それほどまで電子制御でアシストされているのですか。
いつぞやはけっこう長い距離を試乗させてもらったのに、気がつきませんでした。
エリーゼのスロットルバイワイヤはダイレクト感があると思っているけど、やはりわたしが気がつかない制御がされているのかなぁ。

>岡崎某所

見てみたいなぁ。
外観上ですぐにわかるものなのでしょうか。

余談ついでに、「インホイールモーター」+「「みやたけさん」というキーワードがそろうと、あのマンガを連想させられます。
モーターをジャンク屋から買ってきて発電機を作る女の子が主人公のあのマンガ。

プロフィール

「ボンクラメカ部員の必修夏期講習に来ています。」
何シテル?   08/02 14:36
ボンサイスト 心得の条 我が車 我が単車 我が躯と思ひ 盆栽の儀 あくまで自己満足にて 己の技量無く 凡才いかにても覆らず なお 死して屍拾う者なし...

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