船舶用の時計。
盤面の直径は12.5cm以上、3針式で秒針が中央にあり、15分から18分までと、45分から48分までの沈黙時間を赤で表示してある。
沈黙時間中は500kHz±15kHzの電波の発射が禁止されており、その時間中、遭難通信の聴取が義務付けられている。
この時に電波が発射される場合は遭難信号(S・O・S)のみで、それを聞きやすくするために船舶が沈黙する「無言時間」であった。
500kHz(キロ・ヘルツ)は平常時には呼出、応答に使用するが遭難通信(SOS)や緊急通信などに使用される周波数です。
船舶や海岸局の時計の文字盤にはこの3分間が赤く塗られていました。
時計はGMT(世界標準時)にセットされていて この毎時の15分から三分間、45分からの三分間を「沈黙時間」とか「第一沈黙時間」といっていました。
旧電波法の定めでは、
第六十四条
1.海岸局及び船舶局は、中央標準時による毎時の十五分過ぎから十八分過ぎまで 及び四十五分過ぎから四十八分過ぎまで(「第一沈黙時間」という。以下同じ。)は、四百八十五キロサイクルから五百十五キロサイクルまでの周波数の電波を発射してはならない。(文字盤は赤く塗られていました)
但し、遭難通信若しくは緊急通信を行う場合 又は第一沈黙時間の最後の二十秒間に安全信号を送信する場合は、この限りでない。
2.海岸局及び船舶局は、毎時六分をこえない範囲内で電波監理委員会規則で定める時間(「第二沈黙時間」という。以下同じ。)は、前項の周波数以外の電波であつて電波監理委員会規則で定めるものを発射してはならない。と定められていました。
(文字盤は緑色に塗られていました)
大海原をゆく船にとって、大切なものの一つに、無線による通信があります。
ところが、その大切な無線を 一時間に2回、3分間ずつ、すべての船が一斉に中断する。
その理由は、小さな船が遭難して発信しているかもしれない「SOS」つまり、「助けて下さい!」という電波を聞き漏らさないため。
今、出力の小さい電波で、必死に助けを求めている船があるかもしれない…。
だから、世界中の大きな船も小さな船も、みんながピタッと通信を止めて耳を傾けている…。
いまふと 現実に目を向ければ、朝から晩まで自分の想いを発信するばかりの自分があったりします。
周りの人の意見に耳を貸さないで、やたら大きな声を出して、自分の思いを押し付けているような時代。
朝起きてから寝るまで 一日中スマホを使いインターネットで世界と繋がり 情報はいくらでも入手出来る環境です。
1日の中でちょっとの時間 世の中と自分を切り離して 自分と向き合う時間も必要な気がします。
Posted at 2023/07/23 13:04:53 | |
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