

先日,高市首相は記者会見を開き,衆院解散を表明した。
会見中,自ら「高市早苗」の名を繰り返す姿は,かつてAKB48の総選挙で,涙ながらに支持を訴えていたアイドルと重なる。
感情に訴える演出は,見せ方を心得たタレントのようだ。
高市政権は発足以来,高い支持率を保っている。
しかし,その正体は実績ではない。
中身のない「期待」と,計算された「演出」が作り出したイメージだ。
現に,支持者から聞こえてくる多くは…
「やる気がみなぎっている」,「決死の覚悟が見える」,「日本を背負う気概がある」などの声。
どれも政策や実績ではなく,生保会社が実施する「理想の上司」アンケートに近い。
ここまでの主な政策を並べてみる。
・ガソリン暫定税率撤廃
・103万円の壁→178万円まで引き上げ
・衆議院議員の定数削減
・自賠責保険の国庫返済
どれも「やる」と言ったが,「やった」のは前内閣からの引継ぎであるガソリン税だけ。
あとは実施時期はおろか,方法さえ決まっていない。
しかも多くは,総理の椅子と引き換えに差し出された交換条件ばかり。
椅子に座ったとたん,約束は反故にしつつある。
協力した日本維新や国民民主とは,互助会のような合意書を交わした。
だが,結果として,自民のほうが一枚上手だったと言うほかない。
同じ狢(むじな)の政治家をあざむくぐらいだから,国民の期待を操るなど朝飯前。
政調会長時代の原発に関する命の軽視発言,総務大臣時代の行政文書ねつ造国会答弁,統一教会との関与,裏金議員の登用───
どれも時間が経てば忘れられることを,本人は熟知しているのだ。
だからこそ,強い口調でナショナリズムをあおり,リーダーシップを演出する。
中身よりパフォーマンス。
国民が喜びそうな言葉を一つ投げれば,支持率は1%上がる。
権力志向と選挙の戦い方は,師匠譲り。
そして,打たれた次の一手が,国政を置き去りにした「衆院解散」だった。
自民の支持率は沈んだままだ。
それに反し,自らが率いる内閣の支持率は,好調を維持。
この状況での解散は,高い支持率に酔った党利党略解散と見るのが自然である。
その代償は決して小さくない。
国会日程は分断され,新年度予算案の年度内成立は絶望的な状況。
政策遂行よりも選挙を優先した結果が,行政の停滞として国民に跳ね返る。
私は昨年の総裁選の時点で,今後誕生する高市政権は国の将来を見据えたものではないと書いた。
短命政権の弊害など顧みず「首相をやりたいだけ」だと。
いみじくも,その予言は,就任3ヶ月を待たずして当たった。
記者会見で掲げられた解散の大義は曖昧で,信任を問うには,あまりに時期尚早だ。
就任から日も浅く,多くの政策が着手段階にすら至っていない現状で,国民が審判を下すのは無理がある。
根拠に乏しい大義をいくら並べようと,そこには本音が透けて見える。
それは政策への信任ではなく,力の象徴である自民単独過半数だ。
そして,もうひとつ言及しておく。
この政権は成果を残す前に時間を使い切る。
「やった」ことより,「やる」と言ったことの数だけが記憶され…
終わる頃には,誰も責任の所在を語らない。

伊勢神宮に行く理由は,願い事をするためではない。
無事に来られたことを報告するためだ。
主な7ヶ所を巡るのも,スタンプラリーではなく,ちゃんと意味があると聞く。
1ヶ所で済ませず,歩き,移動し,時間を使う。
その手間暇を含めての参拝なのだ。
───とはいえ,7ヶ所すべてを徒歩では効率が悪いと判断し,愛車A110で回ることにした。
いま思えば,この判断を神様はせせら笑っていたと思う。
ところが,最寄りインターは封鎖。
なぜか次も封鎖。
掲示板に「1月1日~4日及び11日は出口規制」。
私はこの一文に固まり,あやうく前のクルマに初詣するところだった。
二礼・二拍・一追突。
その後,流れ作業のように,仮設駐車場へ誘導され…
半強制的にシャトルバスで30分揺られ,やっと①豊受大神宮(外宮正宮)へ。
参拝後,次の②月夜見宮(外宮別宮)まで,徒歩10分。
このあたりまでは,まだ余裕があった。
「冷気の中を歩くのは,実に清々しい」などと,その後の苦行を知る由もなく。
次の内宮まで徒歩だと1時間以上。
そこで,タクシー乗場に並ぶものの,30分経っても列が短くならず,タクシーは断念。
またシャトルバスで仮設駐車場へ戻り,今度こそクルマで内宮へ。
もちろん大渋滞。
なるべく③皇大神宮(内宮正宮)に近い駐車場に向かうも,まったく入れず,Uターンして最も遠い駐車場へ。
結果,また歩く。
この頃になると,疲れているのは筋肉ではない。
ヒザだ。
ヒザが,はっきりと抗議してくる。
ほんのわずかな登り坂でも,自分は箱根駅伝の山の神だと念じる。
標高差は,せいぜい10メートル。
参道の人混みをかき分け,参拝を済まし,御朱印をもらって宇治橋鳥居に戻って来たのは,2時間後。
かなりの体力と時間の消耗だ。
④月讀宮(内宮別宮)へは,また駐車場に並ぶのを避けるため,あえてクルマには戻らず徒歩を敢行。
冷気の中を,さらに30分以上歩き続けた。
意識が朦朧(もうろう)としかけたころ,深夜のテレビ通販が頭の中に流れる。
「今から30分以内のご注文なら,ヒザ関節に効くグルコサミン配合の───」という,あのフレーズだ。
このときなら,迷いなく注文していた。
神様ではなく,サプリにすがりかけていたら,到着。
専用駐車場はガラガラだった。
もう,笑うしかない。
参拝後,なんとかクルマに戻って足を伸ばし,ヒーターで暖を取りながら思うのだった。
セブンで来なくて良かったと。
次の⑤倭姫宮(内宮別宮)に着いた時分には,薄暗く足元も覚束ない。
長い参道を,左右のヒザを押しながら一歩ずつ進む姿は…
駆動部は壊れているのに,神様が操縦席でレバーを握りしめているロボットのよう。
クルマというワープ航法を得た私は,二足歩行をやめた。
そこから⑥伊雑宮(内宮別宮・志摩)までは,30分の距離。
参拝終了の10分前。ギリセーフ。
残る⑦瀧原宮(内宮別宮・大紀)だけは,急きょホテルを取って翌日に持ち越した。
後で知った。
この日は「一月十一日御饌」。
125社の神様が一堂に会する,新年会みたいな日だったらしい。
なるほど。
神様は集合,私はずっと移動。
お伊勢参りとは,祈ることではなく駅伝だ。
最後は襷が繋がらず,無念の繰り上げスタート。
そして神様にヒザを屈する前に,交通規制と運動不足にヒザが屈した。
だが,「歩き,移動し,時間を使う」という話は,ホントだった。

玄関を開けたら,若いころの自分に瓜二つの青年が「お父さん。母は元気です」と涙ながらに頭を下げていた。
そんな,人生を縦に裂くような衝撃の事実を,今日初めて知った。
…と言えば,読者の心拍数は一瞬で上がる。
だが,そこまでの大事件ではないが,今日の今日まで知らなかった,さざ波程度の事実を告白しよう。
水を沸かして飲む湯を「さゆ」という。
そんなことくらい知らない歳ではない。
しかし,その漢字については…
もう完全に,かつ自信満々に間違えていた。
私は今日まで「さゆ」を「茶湯」と書くものだと信じて疑わなかったのだ。
なぜならば───
喫茶店は「きっちゃてん」ではなく「きっさてん」。
茶飯事なら「ちゃはんじ」ではなく「さはんじ」である。
ときに「茶」を「さ」と読むのは,私の中では完全に既定路線だったのだ。
それに,茶といえば茶道。
歌舞伎や相撲に語源を持つ言葉は多く,「茶湯」もまた茶道用語としてすんなり入ってきた。
まだお茶になってもいないスタンバった湯を「茶湯」と呼ぶなんて,これぞ侘び寂びの世界だと勝手に思っていた。
結構なお点前(おてまえ)でした…と静かに湯呑み茶碗を置き,辞書を引くと…
私の長年の確信は,一瞬で木っぱみじんに!
さゆ【白湯】───
白,来たわ!
まさかの白。
どう考えても「白」から「さ」を抽出するのは,思考が追いつかない。
それなのに「さゆ」は「白湯」なのである。
日本語のルールは,時として旧約聖書より不可解だ。
今日,私は悟る。
確かに突然現れた青年の「お父さん」発言は,人生をひっくり返すほどのマグニチュードがある。
しかし───
何十年も信じてきた言葉が,この世には存在しなかった。
この事実は,白い牛乳を茶色のコーヒー牛乳だと思って飲んでいたぐらい,衝撃だったのだ。

初夢で縁起が良いとされるのが,一富士・二鷹・三茄子。
幸いなことに,私の部屋からは富士山が見える。
しかし,だいぶ遠い。
「富士山」というより,「富士山の方角」といった距離感である。
せっかくの正月。
縁起物は拝めるときに,なるべく近くで,なるべく大きく拝んでおきたい。
───というわけで,富士山を見に行くことにした。
もっとも,車好きが富士山を目指すとなると行き先はほぼ自動的に決まる。
五合目?いいや。神社仏閣?いえいえ。
答えはもちろん「富士スピードウェイ」である。
これはもう信仰心ではなく,刷り込みだと思う。
富士山を真正面に見ながらのドライブは,実に気持ちがいい。
この景色だけで,初夢の「富士」ノルマは十分達成した気になる。
あとは「鷹」と「茄子」だが,まあそのへんは適当でいいだろう。
正月の縁起物に,そこまで厳密さを求めると人生が疲れてしまう。

Caprese, Nanatomi Mozzarella Cheese, Amela Tomato, Basil, Shizuoka Olive Oil

Grilled Snapper, Garlic Spinach, Salsa Verde

Spinach Roll Cake, Black Sesame Cream
ランチは,併設する富士スピードウェイホテルのイタリアン「TROFEO」。
レース場のゴハンというと,どうしても揚げ物多め,量で勝負,胃袋がピットイン不可…といった偏見を持ちがちだが,ここは違う。
ちゃんとハイアットホテル系列の顔をした料理が揃っている。
但しその分,減るのはタイヤではなく財布の残量だ。
ホテルには,モータースポーツミュージアムもある。
もっとも,オープンまもない頃に入館したことがあるので,今回はスルー。
じっくり見学して,Uターンの渋滞に巻き込まれでもしたら,エンジンブローより恐ろしい。
───の筈だったが。
廊下の突き当り。
トイレの前。
壁際の「誰も見ないっしょ?」という顔をした場所。
ミュージアムに入らなくても,エンジンやエキゾースト,プラモデルなどのオブジェがさり気なく置いてある。
これがいけない。本当にいけない。
気づけば…足が止まり,視線が釘付け,脳内で勝手にスペック考察が始まっている。
トイレに行く途中で,膀胱よりエンジンが気になり…
用を足したあとで,また戻ってプラモデルを眺める。
もはやこれらは展示ではなく,待ち伏せである。
富士山を拝みに来たのに…
結局拝んでいたのは排気管と金属の塊。
一富士・二鷹・三茄子。
この日の私に当てはめるなら…
一富士・二排気・三エンジン。
縁起が良いのか,悪いのかは分からないが…
少なくとも「今年もクルマから逃れられない一年」になりそうな,初詣ドライブだった。

高速道路を走っていると,デカいキャリアを背負ったレクサスを見掛けた。
この大きさなら,1ヶ月分のキャンプ用品は積めそうだ。
いや,もはやキャンプというより引越しである。
転入届は,このクルマで役所に行くのだろうか?
ボディを覆いつくして鎮座するその鉄パイプは,実用性の匂いを一切発していない。
テントも薪も積まれていないのに「積めますよ」という圧だけがある。
いったい,何を運ぶつもりなのか?
あるいは単に積めることを見せたいだけなのか?
もしかすると,これは軍の特殊車両なのではないか?
レクサスという擬態をまとい,民間人の流れに溶け込みながら,極秘任務を遂行中かも。
前後の巨大キャリアには,通信機器か?無人ドローンか?あるいは,人類存続に関わる何かを格納するに違いない。
そう思わせるのはあの塗装だ。
艶消しのマッドブラック。
洗車という概念を拒否し,光の反射を裏切る色。
平和な高速道路の中で,そこだけ妙に終末感がある。
───が,たぶんこれは,実験車両だ。
最近のクルマには,「ADAS(先進運転支援システム)」というものがある。
衝突被害軽減ブレーキや追従走行といった,クルマが周囲を「見て」「考える」ための仕組みだ。
その実験のために,こうした治具を付けたクルマが,ごく普通の顔をして高速道路を走ることがある。
おそらく,このレクサスもその一台なのだろう。
今日も行く。
未来の安全を,静かに試しながら───
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