むかしむかし,ある王国でのこと。
一部の家臣たちが,国民から集めたお金を,黙って懐に入れていたことが見つかり,国民の怒りを買っていました。
そこで,地味だが正直な大臣シバルは,不正をした家臣を追放するなど,王国の信頼回復に取り組みます。
しかし,それでも「手ぬるい」と国民の怒りは収まりません。
それに乗じて,虎視眈々(こしたんたん)と次の大臣の座を狙うイチエは,ネコババ家臣たちと陰で策略を巡らせます。
やがて,シバルはおとしいれられ,イチエが新たな大臣になりました。
もちろんイチエは,自分を支えた長老アサナマやその側近,そして,お金を誤魔化していた腹黒いハギクロなど,ネコババ家臣らを次々と政治の中心に呼び戻しました。
これに反発したのが,今まで我慢して協力してきた一派。
話し合いもまとまらぬまま,彼らは静かに宮殿を後にするのです。
国民の不信は依然として消えず,城下には不満の声が渦巻きます。
宮殿内でも,粛清されていた家臣たちが権力を取り戻し,互いに駆け引きを繰り返す醜態と陰謀の応酬が続きます。
それでもイチエは,かつてアサナマが歴史的大敗を喫しても,なお君臨し続けているように…
すぐに大臣を辞めるかもしれないことを承知の上で,自らの地位と権力掌握に固執するでしょう。
王国の未来や国民の信頼よりも,「自分が政治の中枢から外れない」という現状こそが,最優先課題なのです。
こうして政権は表面上の安定を保ちながらも,内実は利己的な権力構造に支えられ,旧態依然の数の力学に支配された民主主義の形骸を露呈するのでした。
この話が寓話なら「めでたし,めでたし」と終わりたいところですが―――
もしかすると,これは,私たちの周りで,いま起こりつつある現実なのかもしれません。
多くの女性は,オープンカーに興味を示さない。
だが,中には奇特なご婦人もいる。
絶叫マシンをこよなく愛する,ある女性は私のセブンを見るなり,「何これ,乗せて!」と目を輝かせた。
クルマのない彼女に,サボテンの買物に付き合って欲しいと頼まれたときのことだ。
「他のクルマじゃなくて,セブンで来て」と言うので,荷物は載らないと伝えると,「大丈夫!抱えるから!」と即答。
(サボテンを?)
チケットがいらない,乗り放題のジェットコースターだと思っている節がある。
以来,彼女は何かしら理由をつけて,セブンに乗りたがった。
ところがある日,セブンがまさかのエンジントラブルで沈黙。
彼女の用事は中止して,ローダー車に同乗してもらい,ディーラーに付き合わせる羽目になった。
後日,あいにくセブンが入院中なので,代わりにエリーゼで迎えに行くと―――
走り出して間もなく,またもやエンジン警告灯が点いた。
「えーまたなの?もう外車卒業!」
「卒業証書なんて出ないから,学歴詐称になっちゃうよ」
ご機嫌ななめの彼女を横目に,私は心の中でつぶやいた。
―――こんな悦びは,セブンやエリーゼならではなのに。
それをディーラーで愚痴ると,スタッフは笑いながら言った。
「ありますねぇ,理解してもらえない苦労って。あるお客さんなんか,セブンからまたセブンに乗り換えて頂いたときに,ナンバーを一緒にされました。で,奥さんには,塗り替えただけって言ったら,バレなかったそうです」
また別の人はさらに巧妙で,カラーリングやラインも同じにして納車する猛者もいるらしい。
まぁ,妻のネイルが変わっても気づかない夫と,どっこいどっこいか?
マニアの世界は,愛の深さより,あざむく苦労のほうが,よっぽど深いようだ。
セブンに乗り始め,気づけば3000キロ。
にもかかわらず,いまだに他のセブンと出会わない。
明け方も,夜も,高速も,峠も… セブンの影ひとつ見ない。
みんカラの中では,セブンオーナーとの交流もあるが,あれは生成AI?夢なのか?
ディーラーに集うあの人たちは,もしかしてサクラ?それともエキストラ?
だったらミーティングや走行会に参加し,この目で確かめるしかない。
とりあえず,日本中のセブン乗りが集結するという「全国オフ」へでも行くか。
様々なセブンやオーナーたちに出会えると想像するだけで,ワクワクする。
だが,「行くか」などと余裕をかましたものの,変な妄想が爆走する。
南太平洋の部族では,成人の儀式としてバンジージャンプをやらされるが…
初参加の儀式が,壁の手前の停止線まで全開のゼロヨンだったり…
マフラーを素手で掴めだとか,忠誠の証に「7」のタトゥーを強要されたらどうしよう(涙)
胸の中は,期待と不安がせめぎ合うチキンレースなのだ。
また,そこに持ってきて,さらにイヤな予感が頭をもたげる。
そう,私は雨男。
皆さんが,1年待ちに待った最大のイベントを台無しにしてしまわないか?
もし雨が降り出したら,頭をテルテル坊主にされて,セブンで引き回されかねない!
そんな妄想に悩まされていると,雨が静かに落ちてきた。
ワイパーをひと振り。
まるで,悪夢まで拭き取られていくようだ。
ほどなく,一粒の雫がフロントガラスをそっと流れていった。
ちいさな「7」の字を描きながら…
ひと‐ばしら【人柱】
架橋・築堤・築城などの難工事の時,神の心を和らげ完成を期するための犠牲(いけにえ)として,生きた人を水底・土中に埋めたこと。また,その人。転じて,ある目的のために犠牲となった人。(広辞苑より)
私のセブン480は,登場から既に10年以上を誇るロングセラーだ。
しかし,同じ姿に見えても中身は少しづつ進化を続けている。
エンジン特性の調整,補器類の見直し,ほんの数ミリの変更にさえ,技術者の執念が込められている。
オーナーとしては,「最新こそ最良」と拍手したいところだ。
しかしながら,小さな改良の積み重ねは「ありがたいアップデート」であると同時に,「未知のリスク」も抱えているのだ。
私の個体は,いわゆる大幅な改良後の最初のロット。
つまり,最新仕様を試す実験台とも言える。
ディーラーからは「いやぁ,いろいろ試してもらいますよ」と笑顔で言われた。
笑えない。いつモニター募集に応募したと言うのだ?
「そうは問屋が卸さねぇぞ!」と心に誓い,大きなトラブルもなく走り続けてきた。
目的地に近づくと,クールな笑みを浮かべ親指を立てて勝利宣言。
―――だが次の瞬間,なぜか横断歩道のOLが,悲鳴を上げて逃げていく(汗)
ところがそんな私にも,先日とうとうレッカー(厳密には積載車)の世話になる日がやってきたのだ。
夕闇迫る明治通り,怪しい光に見送られながら,私は抗う術(すべ)もなく埋められた。
文明が進化しても,命の尊さ重みが変わっても,人柱はなくならない。
セブンの歴史の1ページに,また,新たに名もなき名が,小さく刻まれた…
秋の長雨──
この言葉には不思議な気配がある。
梅雨の雨が,芽吹きの匂いを放つなら…
秋の長雨は,旅立ちと到来の匂いを含んでいる。
夏の名残を纏(まと)った空気と,北から忍び寄る秋の冷気。
その二つが出会い,やわらかく身を横たえるのが秋雨前線だ。
不快に思える雨も,四季の芸術家のように音や色彩を連れてくる。
傘を叩く雨音は懐かしい調べ。
街路樹の水滴は,さながら小さな宝石に変わる。
渡り鳥が空を塗り替え,しとしとと降る雨粒が時の足音を刻むあいだ,私はその景色を楽しんでいる。
夏と秋を繋ぐこの一筋の境界線は,季節の気配を告げる手紙。
頬をかすめる風の冷たさも,その手紙の余白に書かれたメッセージなのかもしれないな…
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