いつまでも自分が若いとは思っていないが,いつの間にか,老体への階段を上り始める年齢になった。
階段の段数は数えたくないが,目,肩,膝はもとより,あちこちの関節も悲鳴を上げている。
それにも関わらず,私はピュアスポーツ,セブンに乗る。
以前は神経からくる痺(しび)れも治まらず,身体への負担を考えて二の足を踏んでいたが…
人間いつか死ぬなら,死ぬ前に好きなことを楽しんでから死のうと,歳を重ねて,ついに腹をくくったのかもしれない。
ついでに言うと,ある統計で,セブンオーナーの年齢層を目にしたことがある。
最も多かったのが50代。
これは何となく想像できるが,次に多いのが60代で,継いで40代。
驚くべきことに,その次が30代かと思いきや,70代であった。
おいおいジイさん大丈夫かよ!と思いつつも,これには驚きを通り越して感動を覚えた。
車好きの中には,セブンを棺桶に選ぶ人が,なんと多いことかと!
いや,霊柩車のほうが,エアコン完備で快適かもしれないな。
ところで,セブンには応急的なルーフやドアはオプションで用意されるものの,一般的に装着しない。
だから,夏は灼熱地獄,冬は極寒地獄。(かろうじてヒーターはあるが,用を成さない)
同じオープンカーでも,ポルシェ・ボクスターやマツダ・ロードスターのようなラグジュアリーなクルマを想像してはならない。
風の巻き込みが激しく,帽子を被るならアゴひも付き,サングラスはゴーグルのほうがよろしい。
また,高速道路では息ができなくなるので,酸欠で意識を失わないように,ヨガに通って呼吸法を会得しなければならない。
小径ステアリングにはパワステなし,スロットルは電子制御なし,もちろんブレーキもサーボなしだ。
すなわち快適装備ゼロで,コックピットも荷室も狭く,移動手段としてもお買い物車としても役立たずなのだ。
こう書くと,セブンは道具としての役目を果たさないように聞こえる。
しかし,私に取ってセブンは紛れもなく道具なのだ。
なぜ人は,登山をしたり,マラソンをするのか?
限界に挑戦する高揚感であったり,それを超えたときの達成感や,登頂や完走した後の爽快感といった非日常への憧れであろう。
すなわち私に取ってセブンは,これらを満たしてくれる究極の道具なのだ。
もちろん,そんなクルマを乗りこなすにはそれなりの準備がいる。
ステアリングをねじ伏せる腕,ブレーキを踏む足,すべてがダイレクトにクルマの挙動に影響するのだから,身体の衰えはそのまま走りの衰えに直結する。
セブンが走る限り,私も走り続けよう。
息を切らしながらも,ステアリングを握る腕に力を込め,アクセルを踏む足に確かな感触を取り戻す。そう決めたのだ。
まずはジムのマシーンを使ったトレーニングからだが…「お手伝いましょうか?」とトレーナーに言われないか心配だ。
何より大事なのは,爆走中にふくらはぎが攣ったり,シフトチェンジのたびに膝が悲鳴を上げたりしない体づくりから。
ついでに言うと,脂肪を燃焼し少しでも軽くなれば,それだけセブンの軽量化にも貢献できるはずだ。
Tシャツの似合う筋肉ムキムキになって,モテようなんて下心はちびっとしかない。
ただ,セブンを乗りこなすために必要なだけの筋力を維持するのが目的だ。
こうして私は,歳を重ねながらも身体を鍛え続けることになるだろう。
セブンに乗る限り,私は老いに抗い続ける。
駆け上る階段は,老体へのものでなく,己を高めるためのものなのだ。
イイね!0件
岡谷のうなぎとニッコウキスゲ (後編) カテゴリ:その他(カテゴリ未設定) 2025/07/12 06:11:10 |
![]() |
スイッチラベルの自作 カテゴリ:その他(カテゴリ未設定) 2025/05/26 09:25:32 |
![]() |
スーパーセブンとエリーゼ カテゴリ:その他(カテゴリ未設定) 2025/04/13 10:54:56 |
![]() |
![]() |
ヴァイパーブルー (ケータハム セブン480) 480R(LHD 5MT)に乗っています。 ★Open top ☆Wheelbase- ... |
![]() |
ファイアーレッド (ロータス エリーゼ) ELISE 220Ⅱ(LHD 6MT)に乗っています。 ★Targa top ★Whe ... |
![]() |
ブルーラリー (アバルト 695 (ハッチバック)) 695 TRIBUTO 131 RALLY(LHD 5MT)に乗っています。 Hat ... |
![]() |
ブルーアルピーヌメタリック (アルピーヌ A110) A110 PREMIERE EDITION(LHD 7DCT)に乗っています。 Co ... |
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!