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2025年05月01日

旬の便り

旬の便り

初めて先輩からタケノコをいただいたのは,少々気まずい事情の後だった。
私のわがままで,ご面倒をお掛けし,謝罪に参じた春の日の午後。
竹林の奥から,長靴に鍬を携えた先輩が,ゆっくりと姿を現した。
応接間に通され,言葉に詰まる私に,先輩は何も言わずにうなづいた。
それが,赦(ゆる)しのしるしだった。

帰り際,駐車場で差し出された包みは,掘りたてのタケノコ。
無骨で泥だらけのこの春の恵みに,なぜか心が和らいだ。
あれから,春が来るたびに,先輩は欠かさずタケノコを送ってくれる。
それは,単なる季節の贈り物ではない。
あの日,無言の赦しをいただいた静かな続きなのだ。

竹に旬と書いて,筍。
十日で竹になる。
土の中から顔を出し,陽の光を浴びて一気に伸びる。
若いころの私のようでもあり,あの時の関係も,もしかしたらそうして再び芽吹いたのかもしれない。

水煮パックでは味わえない,土の匂いと時間の重み。
アクを抜き,丁寧に炊いたタケノコの味は,どこか懐かしい。
先輩の手と季節の恩恵が合わさって,ようやくたどり着く滋味がある。
旬を食べるとは,こういうことなのだと,つくづく思う。

あの竹林があるかぎり,この季節は続いていくのだろう。
だが,その時間もまた限られていると,どこかで知っている。
だからこそ,毎年届くそのタケノコに,私は変わらぬ想いと静かな絆を感じている。

春はめぐる。
タケノコもまた,春の味わいを運んでくる。
竹林の奥で鍬を振るう先輩の姿を想像しながら,私はまた今年も,タケノコの皮を一枚ずつむく。

ブログ一覧 | 日記
Posted at 2025/05/01 12:31:31

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この記事へのコメント

2025年5月1日 12:55
コメントします
友人宅で筍パーティしました。皆で掘って庭で焼き、食べました絶品でした
車歴見ました。私もパンダトレノGTV乗ってました
バンテージV8いいすねマスタングの親戚です
ストラトスはぎょっと!驚きました
ミニクーペは凄い形してますよね
昔ウエストフィールド7を友達から預かり1年乗ってました。暴れ馬でした
コメントへの返答
2025年5月2日 11:34
おはようございます。

タケノコの丸焼き,やってみたいです。
美味しいでしょうねw

私のはパンダレビンでした。歳バレますね(汗)
ストラトスは,レプリカしか手に入らないでしょうし単なる憧れです。
ミニクーペは2シーター専用ボディーなので,着座位置が後方に寄っています。
したがって,フロントガラスも通常のミニよりもかなり寝ていますね。
セブン乗りだったのですね!色々と教えてください。

2025年5月1日 13:18
良いですね(*^^*)、旬の竹の子美味いでしょ😋
コメントへの返答
2025年5月2日 11:36
おはようございます。

とても美味しかったです。
やはりこの時期の味覚ですね。
2025年5月1日 13:24
こんにちは😊

おつかれ様です🙇

この前 タケノコを食べましたよ😋

旬なんでウマーマですよね🤤
コメントへの返答
2025年5月2日 11:37
おはようございます。

もう,召し上がられましたか。
旬のものは一際おいしいですよね。
2025年5月1日 13:25
たけのこは、侘びぬけれども、先輩へ

久々に…俳句(笑)
コメントへの返答
2025年5月2日 11:38
おはようございます。

風流ー。
2025年5月1日 15:40
きリぎリすさん、こんにちは😊

昔、ご面倒をおかけした先輩から、今も毎年この時期に届くタケノコ…

竹林をお持ちの先輩ならではのエピソードで…

「竹に旬と書いて,筍」

やはり、筍ひとつとっても、きリぎリすさんに掛かれば、なんかこう深いストーリーを想わせるのは、筆才のなせる技…

師匠!
師匠の筆才には遠く及ばず、私など生涯追い付けそうにありません💦
これからも、師匠のブログ、楽しみにしております♪
コメントへの返答
2025年5月2日 12:14
おはようございます。

いえいえ,たまたま先輩からのタケノコに,こんな経緯があるだけで…些細なことです。

それに,私には筆の才などありませんし,師匠だなんてとんでもない。
どうか,作文仲間ということでお願い致しますw

私は,フレーズが湧いてくるというよりも,いくつかある引き出しを一つひとつ開けているだけなんです。
お見受けするに,ジェイムズ・ホントさんはとても読解力が高く,文章を楽しまれているご様子。
きっと,かなりの読書家なのだろうとお察しします。
さらに読書量を増やせば,自然と引き出しは,もっと増えていくと思いますよw
2025年5月1日 17:27
こんにちは。

情緒的な侘び寂びのなか、何か日本人にある凛とした文化の中に生きる御二方の人間性を感じました。
今後も心の通じ合った付き合いをしていこうと言うメッセージを発しつつ、利害関係無く付き合える間柄と言いましょうか。
そういった間柄である方がいらっしゃる事が本当に羨ましいです。

当該blogから、多くの表面的な付き合いより、少なくても損得抜きでこういった付き合いの出来る友人、先輩後輩を増やして行きたいと改めて考えさせられた次第です。

絶好調の板
コメントへの返答
2025年5月2日 12:32
おはようございます。

コメントを拝見して,胸の奥に静かに響くものがありました。

利害や立場を超え,ただ相手の存在そのものを尊重し合える関係…
それは今の時代,むしろ希少で得がたいものになってしまっているように思います。
だからこそ,そうした関係に触れたとき,人は深く心を揺さぶられるのかもしれません。

損得勘定の外側にある繋がり。
言葉にせずとも伝わるものを,あえて言葉にして確かめ合えるような信頼。
それは,時間をかけて築かれる,静かだけれど,揺るがない「縁」のようなものでしょうか?

絶好調の板さんのように,その価値を感じ取れる方がいてくださることに私も励まされます。
これからも,よろしくお願い致します。
2025年5月1日 21:11
こんにちは。
実家が竹林所有しています。20年以上前に竹を切り出すので、なぜか独妻者の案内で一度行ったきりです。手入れしていれば旬のたけのこを毎年味わえたと思います。(無理ですけど)いただきものですがまさに今、酒のつまみにたけのこを味わっています。美味しいですね。酒が進みます。
いまとなっては実家の竹林の場所すら分かりません。
コメントへの返答
2025年5月2日 13:30
こんにちは。

味わい深いエピソード,ありがとうございます。

ご実家に竹林があるとは,何とも風情のあるお話ですね。
たった一度の訪問であっても,独特の記憶や情景がしっかりと残っているあたりに,竹の持つ静謐な力を感じます。
手入れさえしていれば…という思いにも,どこか懐かしさと,ほんの少しの寂しさが滲んでいて共感を覚えました。

とはいえ,今まさにそのタケノコを肴に一杯やれているというのは,やはりちょっとした幸せですね。
旬の味と酒がしっくり来るときって,それだけで一日の締めくくりが特別なものになります。

いつか…ふとした拍子に,竹林の場所を思い出すような日が来るかもしれませんね。
そのときは,また静かに伸びた竹たちが,何も言わずに迎えてくれるような気がします。
2025年5月1日 22:12
こんばんは♪

「竹」と言えば萩原朔太郎の詩。

光る地面に竹が生え、靑竹が生え、地下には竹の根が生え、
根がしだいにほそらみ、根の先より纖毛が生え、
かすかにけぶる纖毛が生え、かすかにふるえ。
かたき地面に竹が生え、地上にするどく竹が生え、
まつしぐらに竹が生え、凍れる節節りんりんと、
靑空のもとに竹が生え、竹、竹、竹が生え。

萩原朔太郎「月に吠える」より

最近、文学作品を読んでいないので、国語力低下。
また読んでいきたいです。
コメントへの返答
2025年5月2日 13:41
こんにちは。

萩原朔太郎の詩をこうして引用していただけるなんて,何だか空気が一段と澄んだような気がします。

この詩は,読むたびに身体の奥に静かに響いてきますね。
地下深くから空へと突き進む「竹」の描写に,まるで言葉が根を張り,芽吹き,凛と立ち上がっていく生命の力を感じます。
硬質で冷たくもあるのに,同時にどこか透明な美しさがあって…やはり朔太郎はすごい。

国語力の低下なんてとんでもない。
こうして詩を味わえる感性こそが,何よりの言葉の素養だと思います。
文学は,必要なときにふっと寄り添ってくれる存在ですから,気が向いたときにまたページをめくれば,それで十分ですよ。

詩の余韻にしばし静かに酔わせていただきました。ありがとうございます。
2025年5月3日 16:34
こんにちは!

GWに入る前に、貰ってきたタケノコと近所の無人販売でも購入して食べたりと、やはり新鮮な物は美味しいですよね〜(*´ω`*)

でも、去年より小さいのは気のせいかしら?それか取るのが早かったとかですかね?ヽ(´o`;
コメントへの返答
2025年5月3日 21:27
こんばんは。

竹の種類にもよるでしょうが,大概は放っておけばタケノコはどんどん大きくなります。
例年よりも小さく感じたのは,まだ伸び切る前だったのでないでしょうか?
でも,タケノコは大きくなる寸前の小さい方が美味しいです。
穂先が地表に出る前に,探り当て取るのがコツです。
すなわち,サスケさんの食べられたタケノコは,食べごろだったのだと思いますよ!

プロフィール

きりぎりす(旧GRASSHOPPER)と申します。 ここ10年ほどで,やっと実用性0(ゼロ)のセカンドカーを持てるようになりました。 サルはエクスタシー...
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