昔は,よく任侠(ヤクザ)映画の劇場から出てきた観客が,肩で風を切って歩く光景を目にしたものだが…
昨晩の私はというと…
F1レーサーが見る景色―――地を這う流れる路面が無性に見たくなり,セブンで真夜中の首都高を疾走していた。
頭の中で(挿入歌の)「Whole Lotta Love」のギターリフを響かせながら…
そう,まだ余韻の残る映画は,ブラッド・ピット主演『F1/エフワン』。
コクピットに収まれば,百戦錬磨のドライビング。ヘルメットを脱げば,あの甘い笑顔。
プロストやマンセル,そしてセナと共に戦っていた伝説のF1無冠レーサーも,現在では御年61歳。
そんな彼が現役の若手と互角に渡り合う姿は,熟年層に勇気を与える。
チームメイトの若手ドライバーとはあるあるだが,確執から,やがて固い絆へ。
エンジニアやピットクルー,また,親友でもありチーム代表との信頼関係。
一匹狼かと思いきや,背中でチームを牽引する姿が心に残る。
齢を重ねた者にしか出せない渋み―――それがブラピの速さの陰にあった。
そして,ラブロマンスも忘れていない。
この手の映画にはお決まりのように,カーアクションとベッドシーンが用意されている。
ハリウッドの処方箋とでも言うべきか,それがなければヒットしない,という神話。
だが,そんなクリシェすらも,ブラピが演じると何となく納得してしまうから不思議だ。
きっと彼の中では,愛もレースも,すべてが「人生」なのだろう。
エンディングは,解き放たれた,道なき道を走り続けるバハのデザートレース。
緊張の連続F1の舞台から一転,砂塵舞う砂丘の大地へ。
車好きにはたまらない,心憎い演出だった。
そして,真夜中の首都高,そこで私はそっとアクセルを踏む。
作中,ブラッド・ピットが駆っていたマシンは,カーナンバー「7」。
今夜,私が操っていたのも「セブン」。
ルームミラーに写る自分が,心なしか…「俺って,ブラピに似ている」と見えたのは内緒だ(汗)
夜間工事で抜けない車線規制の環状線を,ジワジワと進みながらも,気分だけは世界の頂点モナコグランプリ。
次のコーナーの先に,まだ見果てぬ夢があるような気がした。
私は雨男である。
天気予報士が「晴れです」と断言しても,私が買い物に行けばゲリラ豪雨になり,旅に出れば台風が進路を変えて接近して来る。
仕事を引退したら,干ばつに苦しむアフリカの大地に赴き,第二の人生は雨乞いの祈祷師と決めているほどだ。
そんな私が,ついにやって来た大阪・関西万博。
目の前に広がるのは,傘,傘,傘で,「ここはパラソル・フェスティバルか!」と思うほど。
しかし,それは私の雨の呪いではなく,全て日傘である。
あれだけイベントで雨を降らせ続けてきた私だが,この日ばかりは日差しが本気モード全開。
雲ひとつなく,空はこれでもかというほど青く,太陽がいつもよりずっと近い。
青空が暴力的… 日差しが突き刺さる… 思考力が奪われる…
なかなか進まない行列は,配給を待つ難民のように,他人に気遣うどころか,横入りを警戒して誰もが戦々恐々としていた。
体力の9割をそがれ,灼熱難民の一人としてやっと入場した………ものの。
そこには,救済も慈悲も日陰もなく,またもや目にしたパビリオンの長い行列に,魂が蒸発した。
これは,熱波の中での精神修行か?新手の汗だくサウナ祭か?万博と言うより,「罰ゲーム・バラエティーセット」だ。
この状況を例の化け物キャラ・ミャクミャクは,どう思っているであろう?
「ええい,もういい。見るのはYouTubeで。リアルで体験するのは,無国籍クラフトビールだけで十分だ」
逃れるように,かすかに影をたたえた会場の回廊―――巨大な木造リング状の構造物(名前は知らん)に避難。
…というわけで,私はその木造リングの下で,帰りの時間までビールで涼を取りながら,万博の暑さをイヤと言うほど満喫した。
ところで,EXPO2025のテーマは,「いのち輝く未来社会のデザイン」だそうだ。
そう,私は,いのちが焼かれる未来社会の現場を,日陰からビール片手に目の当たりにしていた。
「いのちが輝くためには,まずは日陰のデザインからだな」とつぶやきながら…
失敗しない人は,挑戦しない人だ。
―――アルベルト・アインシュタイン
駅の自動改札機で,スイカの残高が足りず拒否された経験はないだろうか?
朝夕の混雑時だと大ひんしゅくを受けて,恥ずかしい思いをする。
駐車場の事前精算機もそうだ。
大股で歩いて前の人を抜き去り,逸早く列に並ぶも…
自分の順番がきても駐車券が見つからず,けっきょく最後尾に並び直すこともある。
見ていて気の毒なのが,ETCのバーが開かず後続車から苦情のクラクションを浴びているクルマだ。
実は…先日あろうことか,私も似たような状況に陥った。
理由は至って単純。ETCカードを入れ忘れていたのだ。
クルマを買い替えた際にカードだけ挿し替えておらず,よくある話である。
しかし,本当の問題はここからだ。
あらかじめそれに気づいていれば,「一般」のレーンに入って難を逃れたのだが,いつもの調子で「ETC専用」に進入してしまったのが運の尽きだった。
ETCレーンの通過速度は20km以下だが,そんなこと誰も守っちゃいない。
バーがマッハで上がるので,どれだけ近づけるか限界に挑戦するのは,もはや人間の習性だ。
もし小学生なら,濁って深そうな水たまりを見つけたら,わざわざ長靴で歩いたり,庭の池に張った氷の上を自分で渡って確かめる。
私はいつものように40km以上で突入したが,ピッと鳴らないことに違和感を覚え,咄嗟にブレーキに足を添えるも,時すでに遅し。車は急には止まれない(涙)
長靴の上口まで1センチ余裕があったのに,水圧でゴムが押されて浸水した見極めの甘さや…
氷にヒビが入らないことに喜んで友だちを手招きしたら,そいつが乗ってきた途端に割れて池に落ちた失態を思い出す。
バーがどうなったのかが,気になったので…
強行突破した格好の私は取りあえずクルマを路肩に停め,料金所へ歩き出した。
すると,係員が私に向かって,鬼の形相で叫んでいるではないか!
何だ?何だ?タイマンはる気かよ?
でも,大人の私は保険で解決したいと考えていたら…
どうやら係員は,停まっていると追突されるから,行け!行け!と促している。
え?見逃してくれるのか?案外いい奴じゃん!とクルマに戻り走り出した。
しかし,運転しながらも狐につままれたようで,どうも腑に落ちなかった。
これは,巧みに仕組まれた罠かもしれない。
逃げた罪で,もっと重罪や罰金を課せられるのでは?と…
けっきょく,首都高の出入口はカメラで監視されているので,数日後に督促状が届き,後納する運びとなった。
ちなみに,クッチャクッチャいわせて帰った長靴や,池に落ちてビショビショになった私を,母は優しく毛布で包んでくれるかと思いきや「自分で洗っときなさい」と,無常に命じられたことも付け加えておこう。
まったく小学生から成長していない自分を,つくづく思い知らされた一件であった。
韓国へ発つひと月前から,焼肉を断(た)っていた。
焼肉大国・韓国での滞在中,喰って喰って喰いまくり,何があっても酒池肉林,焼肉三昧と心に決めていたからだ。
渡航前は,焼肉屋の匂いに翻弄されながらも,精進料理しか口にしない修行僧のごとく振舞った。
やっと機は熟し,解き放たれた私は,いざ焼肉天国の聖地へ!
期待に胸を膨らませ,焼肉三昧!のはずが…
連続3食目には敗れたフードファイターのように挫折を味わうことに。
肉の波に呑まれ,これ以上はもう無理だ,と箸を置いたあの瞬間。
あのガッツリとした肉を前に,こんなにも早く白旗を上げるとは。
イスラム教徒でもないのに,1ヶ月間も禁欲生活を送って断食したのに,信仰を持たぬ民の心は,斯(か)くも脆いものなのか…
ご多分に漏れず,帰国直後は肉を見るのさえ嫌になった。
あんなに入りたかった焼肉屋の匂いを嗅いだだけで,胃酸が警戒信号を発してくる。
そんなある日,秋の風に吹かれていると,脳裏の奥から別の香りが漂ってきた。
「松茸が食べたい!」
澄んだ月を見上げ,思いにふける。
この香り高い一杯のために,ひと月どころか1年も待ち焦がれていたのだ。
焼肉は,これを堪能するための前菜にすぎなかったのだ。と…
まるで満月を模したかのような漆椀を手に取り,松茸に心を奪われた夜だった。
新千歳空港に降り立ち,JRに乗換えるべく駅へ向かうと,この看板が目に飛び込んでくる。
北海道が広いことは誰でも知っているが,こんなにもでっかいとは思っていないだろう。
地図は本州を隠し切らないように少し上に寄っているが,ちょっと下にずらしてみると…
東は犬吠埼(千葉県)から西は大阪港(大阪府),北は能登半島(石川県)から南は伊豆半島や駿河湾(静岡県)までを覆いつくす。
その行く先々では北海道特産の豊潤な食材の数々が,私を出迎えてくれる。
新鮮な魚介類を選ぶか?広い大地や牧場で育まれた野菜や肉・乳製品を堪能するか?
この豊かな大地ならではの味覚が,今宵の食卓を彩ってくれることだろう。
嗚呼…北海道の地図を見ているだけで,腹が減ってくる(汗)
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