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きリぎリすのブログ一覧

2025年09月01日 イイね!

傷つけられ,ふと空を見上げた…

傷つけられ,ふと空を見上げた…

先日,用事を終えてベンツに戻ると,フロントウインドウのモールに謎の傷が―――

やられた!これはひどい,いたずらか?

そりゃ聖人君子でもない私なんて,いつ誰から恨みを買っても不思議じゃない。
それとも「ベンツなんか乗りやがって」と,通りすがりのネタミの鉄拳か?
あるいは,黒いAMGはダース・ベイダー顔だから,悪人御用達みたいで狙いやすいのだろうか?


Darth_Vader.jpg


なにはともあれ,もしも誰かの仕業だとすれば卑怯千万(ひきょうせんばん)。
ジェダイの騎士なら正々堂々と私の目の前で傷をつけてみろ―――と言いたいが,それはそれで困る。
「じゃあ,このライトセーバーで」とも言えないし(汗)

過去には愛車が傷つけられる瞬間を目撃したこともある。

スーパーの駐車場で,隣に停めていたハイルーフのおばちゃんが,車高の低い私のスポーツカーのルーフを堂々と荷物置き場にしていた。
「新機能ルーフトップテーブル」などというオプションは,まだドイツ本国でも発売されていないはずだ。
私は,怒りを通り越して,思わず絶句した。

別の日には,無人の買い物カートが風に押され,私のクルマめがけてゆっくりと直進してきたこともある。
ターゲットを捕えた軌道の正確さは,ほぼミサイル誘導。
私はスローモーションで「やめてくれぇぇぇ…」と叫んだが,カートは吸い寄せられるようにゴツン。
まだ自動運転が試験段階だったころの話である。

こうした苦い経験を踏まえると,今回も「悪気のない犯行」なのかもしれない。
いずれにせよ,修理は必要なので,ディーラーに相談してみたところ―――

「カラスの仕業かもしれませんね」

え?あの黒いカラス?

どうやらカラスというのは,ゴム状の物体を見つけると,くちばしの歯ミガキを始める習性があるらしい。
まさか高級車のモール(ウェザーストリップ)が,カラスのオーラルケア用品にされていたとは!
カラス界のセレブは,今日も優雅に信頼のドイツ製品でデンタルケアに余念がない。



結局,人間の恨みや過失より,自然の中で生きるものたちの営みの方が,ずっと手強い。
カラスに畑を荒らされながら,それでも毎朝畑に立つ農家の人たちの背中が,ふと浮かんだ。
あの人たちは,怒りや落胆を飲み込みながら,空を見上げ,土を耕す。
その姿を思うと,不思議と胸のざわめきが静まり,少しだけ同じ景色を見たような気がした。


karasu.png

<リアルカラス防除模型>

Posted at 2025/09/01 10:28:39 | コメント(19) | トラックバック(0) | クルマ
2025年08月25日 イイね!

後輪と添い寝する昼下がり

後輪と添い寝する昼下がり

昔のスポーツカーには「鼻」があった。
ボンネットの左右の先端がよく見えて,そこまでが「オレの領土」と主張していた。
ところが今や,運転席からボンネットは見渡せない時代。
トラックみたいにフロントガラスの向こうはすぐアスファルトで,車両感覚が掴めぬまま,不安を抱えて動き出す。
まるで,黒マグロの養殖場に投げ入れられたイワシの如く,決死の出発である。

何故こうなったのか?
助手席へのエアバッグ装備,歩行者への衝突緩和,空力とデザインへの挑戦,等々…
どれも耳ざわりはいいが…
見た目の滑らかさと引き換えに,ドライバーの鼻先の感覚は失われたのだ。
代わりにやってきたのは,フロントカメラとブザーの大合唱。
それとも車庫入れ実況中継か?

では,昔のロングノーズのクルマはどうだったのか?
ジャガーEタイプやフェアレディ240Zなどは,溜息が出るほど美しい。
だがあのノーズ,走らせると意外に厄介だ。
先端が遠すぎて,振り回すたびに「おーい,そこ曲がれー!」と叫びたくなる。


FAIRLADY240Z.jpg


ご多分に漏れずセブンも,どこからどう見てもロングノーズで,後輪のすぐ脇でステアリングを握る格好。
しかし,ボンネットは長いのではなく,「目の錯覚,遠近法のイタズラ」だ。(ホントかよ)
乗り込むたびに「こんな後ろだっけ?」と戸惑うが,走り出せば身体のすぐ先で,世界が一斉に向きを変える。
それはもう,爆走する電動車いす。

結局のところ,コックピットの位置が前でも後ろでも,何かしらの不便はある。
それでも人は,長いボンネットに優雅さを見出し,短いホイールベースに操る悦びを感じる。
つまりクルマなんて,どこか間違っているくらいが丁度いい。

今日も,セブンの運転席からリアフェンダーに手を伸ばし,撫で撫でしながら思う。
長いノーズも,短い人生も,操縦は手探りで楽しめるうちが「華」なのだ。


IMG_7819.png

Posted at 2025/08/25 05:35:30 | コメント(8) | トラックバック(0) | クルマ
2025年08月18日 イイね!

テュリャ テュリャ テュリャ テュリャ リャ~

テュリャ テュリャ テュリャ テュリャ リャ~


土曜日に
花火の鳴動に背中を押され,紙コップのビール片手に「さ~て,一週間,何しよう」と壮大な計画を巡らしていた。
ところが,帰りの最寄り駅は人混みで溢れ返り,急きょバスに揺られる事態に。
「やっぱ外出はリスク高いわ」の思いがよぎる。

日曜日は
することもなく,早めの墓参りへ。
掃除すべく墓に水をかけても,即座に蒸発してしまうし,線香はなかなか火が点かない。
一族の黒歴史なこの私に,ご先祖様たちは試練をお与えくださる。

月曜日は
昼からビール,ほどなく昼寝。
体内時計は時差ボケで,身体だけ海外旅行。

火曜日に
それでも勢いで,南アルプスのペンションまでウキウキドライブ。
それは,ディナーは行く前から,好物のデミグラス・ハンバーグなのが想像できたから。
でも,覚悟していた朝からのジャム作りは手伝わされずに済んだ。

水曜日は
その帰り道,大渋滞。
さっきよりヒゲが伸び,隣のクルマの子どもが成長している気がする。
はるか時空を超える車列。

木曜日に
朝からビールを流し込んでいると,突然「お伊勢参りだ」と神に導かれる。
だが,夢から覚めたら夕方で,導かれたのはソファーの上だった。

金曜日は
もう完全に昼夜逆転で動けず。
家からは一歩も出ずに,もう冷やしそうめんが主食になっている。

土曜日は
陽が落ちてもなお熱帯夜。
クーラー全開で,録りためた「北の国から」にふける夜。
富良野の大地に向かって「内地は暑すぎる!」と悲鳴に似た叫び声が,夜のしじまにこだました。

日曜日は
とうとう訪れてしまった,お盆休み最終日。
TVには「サザエさん」がついていた。
Eマイナーのエンディング曲を聴きながら…
楽しげに日曜日の中でのみ生きるサザエさん一家を恨めしく思う。
思わず手を出してしまったジャンケンにも負け,私の長期休暇も花火と散った。



♪みん友よ これが私の 一週間のお盆休みです
テュリャ テュリャ テュリャ テュリャ テュリャ テュリャリャ~
テュリャ テュリャ テュリャ テュリャリャ~


Posted at 2025/08/18 22:54:47 | コメント(6) | トラックバック(0) | 日記
2025年08月07日 イイね!

雨色の残像

雨色の残像

真夜中の湾岸線───
止まったら,心が圧しつぶされそうだった。
だから,アクセルを踏む。
夜の街が流れ,ちぎれていく。

灯りの消えた部屋には,彼女の移り香だけが残っている。
自分を見失いそうで,叫び出しそうで,気づけば走っていた。
夜の闇が海と混ざり合い,どこまでが空で,どこまでが自分なのか,もう…分からない。
風を切り裂く轟音だけが耳に残る。
彼女の笑顔が,浮かんでは消える。

どこか遠くを見るような目をしていたことに,気づいていた。
言葉にならない違和感だけが,日々を濡らしていく。
いつからだろう…
触れられないもどかしさが,心のどこかを冷たく撫でていくようになったのは…

彼女は,ときどき姿を消し,しばらくするとまた戻ってくる。
問いただす勇気が私にはなかった。
そのたびに,胸の奥で何かが崩れていった。

ふと,あの言葉が,心を揺らした。
「やさしい人ね,あなたって人は」
とがめられず,責められず,ただ見ないふりをされたとき,人は自分の弱さに気づかされる。

その時,遠くの暗雲に一筋の稲光が滲んだ。
目を逸らさず,その方角へアクセルを踏み込む。
雷鳴の中で,何かを委ねたくなる夜がある。

痛みはゆっくりと,静かに染みていく───
分かっている。それでも…
あの笑顔に,もう一度すがりたい。

ただ… 遠雷の待つ先へ。
心の中では,みずいろの雨が降り続く。



※本作は,女性の視点で綴られた「みずいろの雨」を,男性の心情から静かに描いた,クルマのある風景です。

Posted at 2025/10/02 08:21:40 | コメント(11) | トラックバック(0) | 日記
2025年08月04日 イイね!

あの夏のアサガオ

あの夏のアサガオ

朝の淡い光のなか,アサガオを踏み潰してしまった。
道幅の狭い初めての田舎道,レーンを守って走っていると,草が一角だけ道へ顔を出していて,足元にふわっと柔らかい感触が伝わった。
すれ違いざま,目の端に青紫の花が見えた。
あ!と思って車を止めてバックすると,ガードレールを覆うようにアサガオが自生している。
その一角の,タイヤがかすめた部分だけ,ツルが折れ,いくつかの花がうつむいていた。

申し訳なさが,じんわりと胸に広がる。

それと同時に思い出したのは,誰しも小学生の時に育てるアサガオのこと。
夏休み,鉢に棒を立て,ツルが巻きつくようになったときは,植物にも意志のようなものがあるんじゃないかと驚いた。
毎朝,水をやるときに葉を触ると,前の日より確かに伸びていて,昨日と違う自分と出会っているような感覚があった。
観察日記に,花の色,葉の形,ツルの向きを一生懸命書き留めた。

でも本当は,紙の上ではなく,毎日その小さな成長に気づけること自体,不思議さと喜びに満ちていたのだと思う。
まだ何も知らなかった自分が,アサガオという小さな命を通じて「日々は変わっていくものだ」と学んでいた。
あの夏の記憶は,自分にとって初めて「時間を見つめた」体験だったのだ。

そんな記憶が,霧雨の中で踏んでしまった花と,静かに重なった。

クルマを止めたまま立ち尽くすと,残された花たちが風に揺れている。
折れた仲間の分まで咲こうとしているようにも見えたし,ただ何もなかったように朝を迎えているようにも見えた。

ふと,しゃがんで改めて見てみる。
ツルの先には,小さなつぼみも揺れていた。

―――まだ咲こうとしている。

どこかで,あの夏の気配が,今もそっと脈打っているような気がした。

Posted at 2025/08/04 06:36:31 | コメント(11) | トラックバック(0) | 日記

プロフィール

きりぎりす(旧GRASSHOPPER)と申します。 ここ10年ほどで,やっと実用性0(ゼロ)のセカンドカーを持てるようになりました。 サルはエクスタシー...
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