ここからが本題です。
といいつつなかなか本題に入れないのですが・・・。
なにせウッキーは理科の基礎学力が著しく欠落しているので、ワット・ボルト・アンペアの違いさえよくわからないのです。
そこで、またまたお勉強です ^_^;
●電圧=V ボルト
水槽の高さ。 電池でいうと、イオン化傾向の違いのよって理論上の電圧が決まります。
電圧の中でも電流を通していない時の電圧を
開路電圧、電流が流れている時の電圧を
閉
路電圧というんだそうです。
●容量=Ah アンペアアワー
タンクの容量。 電池を使って機械を動かすときの、機械を動かせる時間。1Ahは1Aの電流を1時間流すことができる電気量。電気容量の単位としてはクーロン(C)という単位もあり、1A(アンペア)の電流を1秒間流すことができる電気量。1Ahは3600C。
●出力=W ワット
水の勢いに相当する。電池が瞬間的に取り出せるパワーのこと。電圧と電流をかけた値。
内部抵抗が小さいほど大きな出力を発揮することができる。
●エネルギー=Wh ワットアワー
電池から取りだすことのできるエネルギー量。
タンクの容量×電圧(高さ)×時間として表すことができる。
電池での単位はWhが使われるが、エネルギーの単位としてはジュール(J)というのがある。
1Wh=3600J。
エネルギー(容量×電圧)を電池の体積で割ったものを体積エネルギー密度。
質量で割ったものを質量エネルギー密度といい、いずれも電池の性能を表すものとして使われる。
まとめると
出力 W =電圧 V ×電流 A
容量 Ah =電流 A ×時間 h
エネルギーWh =電圧 A ×電流 A ×時間 h
ところで前のブログで書いたのは1次電池のことでした。
普通のクルマに搭載しているバッテリーも含め、自動車用バッテリーは2次電池と呼ばれています。
2次電池というのは、充電できるバッテリーのことをいいます。
実用的な蓄電池は1859年、フランスのガストン・ブランテが開発した鉛蓄電池だと言われています。
原型はさらに古く、1803年にドイツのヨハン・ヴィルヘルム・リッターという人が開発していたそうです。
ボルタの電池が1800年ですから、その後3年で蓄電池(2次電池)が発明されていたことになるんですね。
この鉛電池は、プラス極に二酸化亜鉛、マイナス極に亜鉛を使い電解液に気硫酸を使ったもので、現在の自動車用鉛バッテリーとほとんど構成は同じだったそうです。
電気が作られる仕組みは大体わかったのですが、では、なぜ充電することができるんでしょう?
電気ができる仕組みは、単純に言ってしまうと、マイナス電極の溶けやすい金属が電子を残して電解液に溶けていき、プラス極の溶けにくい金属で、電解液中のイオンが電子ををうけとることで電気が発生していたわけです。
充電するためには、プラス極側の溶けにくい金属を溶かし、マイナス極の溶けやすい金属を元に戻してやることが出来ればいいわけです。
この自然には起こらない現象を強引に起こすために電気を通してやるわけです。
ブランテの鉛電池でいうと
プラス極に二酸化鉛、マイナス極に鉛が使われています。
放電すると、マイナス極側の鉛は電子を残して硫酸に溶け、硫酸鉛に、プラス極の二酸化鉛は電子を受け取り水と硫酸鉛になります。
バッテリーが少なくなると(放電が進むと)電解液の濃度が水で薄くなるのはこのためなんですね。
逆に充電してやると、逆のことが起こり、硫酸鉛はプラス極では二酸化鉛、マイナス極では鉛になるわけです。
PbO₂+Pb+2H₂SO₄ ⇔ 2PBSO₄+2H₂O
という酸化と還元が起こるわけです。
ちなみに、中学の理科で酸化と還元というのをやりました。
何となく酸(O)のやり取りが酸化と還元というふうに理解していたのですが、
でもこれは狭義の酸化と還元なんだそうです。
高校生の物理でいう酸化と還元では、
酸化とは電子を失うこと
還元は電子を受け取ること
となります。
確かに鉛電池でも、電子が行ったり来たりすることで酸化と還元が起こっているわけですね。
で、さらに話を進めて行くと、
酸化と還元反応というのは、単純に金属が溶けたり再生(析出というんだそうです)したりすることではなく、そうした金属やイオンの形態はどうでもよく、バッテリーの場合は、イオンのやり取りが重要になるわけです。イオンのやり取りをスムーズにできるものが電池の極材として適しているということです。
●ニッカド電池
ニッケルカドミウム電池。正極に水酸化ニッケル、負極に水酸化カドミウムを使っているんです。
電圧は1・2V。
ニッカドの特長は大電流を流すことができ、大電流で充電することができます。
また、内部で発生したガスを放出するガス排出弁が付いています。
●ニッケル水素電池
正極に二酸化ニッケル、負極に水素吸蔵合金を使った電池。吸蔵合金は自分の体積の1000倍もの水素を蓄えることが出来るんだそうです。
電圧は1・2V。
乾電池の代わりとして使われている。従来のニッケル水素電池は自己放電しやすく、常にj充電状態を確認する必要がありましたが、最近のもの(eneloopなど)は自己放電が少なくかなり使い勝手が良くなっているそうです。
これらの電池はみな1・2Vですが、これは電解液を使っているからです。電解液は1・23ボルトの電流を流すと水が電気分解してしまうからです。
さらに大きな電圧の電池を作るためには、有機溶剤を使った非水電解液を使う必要があります。
非水電解液を使って大電圧を可能にしたのがリチウム電池なんです。
●リチウム2次電池
リチウム1次電池というのもあるのですが、リチウム2次電池は、それを充電できるようにしたものです。
負極にイオン化傾向の大きな金属リチウムを使い、プラス極の材料との組み合わせで様々な電圧の電池を作ることができます。
ただし大型電池としては使われていないそうです。
●リチウムイオン電池
金属リチウム電池の問題点を解決した電池で、正極にリチウムを含む酸化化合物を使い、マイナス極に黒鉛を使った電池。正極の酸化化合物にはコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウムなどが使われます。
電圧は3・7V。
電池一本で、ニッカドやニッケル水素電池3本分の電圧をもっているので、軽量化、コンパクト化に適しています。またメモリー効果がないので、電池を使いきらずに継ぎ足し充電しても充電容量が落ちないという特長があります。ノートパソコンのバッテリーや、携帯電話のバッテリーに多く使われています。
正極と負極を隔てるセパレーターは微多孔膜のフィルムが使われており、通常はイオンが通過できるようになっているが、高温になるとフィルムが溶融して穴をふさぎ電流を遮断する機能をもっているんだそうです。
ちなみにバッテリーはこれが1単位でセルといいます。
そして何個も組み合わせてバッテリーを構成しているわけです。
ⅰ-MⅰEVはリチウムエナジー ジャパン製のリチウムイオン電池を88個直列に接続しています。
出力は330V、総電力量16kWhとなっています。
これほど便利で高性能なリチウムイオンバッテリーですが、欠点がないわけではありません。
最大のポイントは、エネルギー密度が高いことです。そのため短絡時・・・つまりショートすると急激に加熱し、さらに非水電解液に揮発性の(極めて)高い有機溶液を使っているので、これに引火して爆発(発火という表現を使ってイるみたいですが、ちょっと穏当すぎる気がします。)してしまうこともあるわけです。もちろんバッテリーセルをたくさんつなげている場合には誘爆もあるわけです。当然様々なところにセーフティ回路が入っているので、そう簡単に爆発するわけではないのでしょうが、このあたりは、メーカー側からきちんとインフォメーションが欲しいところです。
携帯電話の電池が爆発して顔に大怪我をしたという事故がありましたが、リチウムイオンバッテリーを使ったハイブリッド車や電気自動車の場合、もっと激しい破裂、あるいは爆発が起こる可能性がない訳ではありません。
そのために様々な安全装置や保護回路が設けられているんですね。リチウムイオンバッテリーを開発する上での最大のハードルは安全性だったという話もあるくらいです。リチウムイオンバッテリーを調べると、必ず安全性についての記述がありますが、これ即ち危険性の裏返しということです。
リチウムイオンバッテリーをほいほい簡単に搭載できない理由はそこにあるんでしょうね。
高い製品精度が求められるのはいうまでもありませんが、それが例えば10万台の電気自動車が売れるとしたら、ⅰ-MⅰEVを例に取れば、88セル×10万台=880万セルということになります。その電池の中に1個でも不良品があってはまずいわけです。そこに大規模大量生産が難しい理由があるわけです。
トヨタのハイブリッドはニッケル水素電池を使っていますが、近い将来リチウムイオンバッテリーが搭載されるようです。そうなると規模がでかいだけに安全管理がかなり重要になってくるのではないでしょうか。もちろん大トヨタですから、そのあたりに抜け目はないのでしょうけど・・・。
リチウムイオン電池 爆発 をYOU TUBEで検索してみるとビックリするような事例がかなり出ています。
近い将来の可能性
いくらリチウムイオンバッテリーが高性能だといっても、160km程度の航続距離なわけです。
もちろん街中を走るシティーコミューターとしては十分な性能ではありますが、ファーストカーとしては使えませんよね。
そんな中、面白いニュースがありました。
独立行政法人産業技術総合研究所=産総研からのニュースです。
それによるとリサイクル可能な リチウム―銅2次電池 というものを開発したんだそうです。
金属リチウムを負極側にして電解液に有機電解液を、正極側に銅と水性電解液を配置し、両電解液を固体電解質の壁で仕切った構造になっているのだそうです。
固体電解質はリチウムイオンだけを通し、銅イオンを通さないので、充放電を繰り返してもレアメタルであるリチウムを再生して使用できる。…というものらしいです。
しかも、この電池の正極側の放電量量密度は834mAh/gで、従来のリチウムイオン電池(≒150mAh/g)の5倍以上の容量をもっているのだそうです。
電気自動車用のハイパワー用途にはまだ改良が必要とのことですが、単純計算でに走行距離が5倍になれば(そんな上手くはいかないのだろうが)450kmの走行が可能。あるいは、より大きなモーターを回すことができるので、速い電気自動車が可能となるかもしれないですね。
また、これはもう少し時間がかかりそうだが、産総研ではリチウム―空気電池の開発にも成功しているんです。負極に金属リチウムリボン、負極電解液としてリチウム塩を含む有機電解液を組み合わせ、正極に多孔質炭素と水性電解液を配置。多孔質炭素から取り入れた酸素が実際の負極材となるというもの。負極にほぼ無限と言っていい酸素を使うので、エネルギー効率はとても良くなるわけです。
詳しい説明は省きますが実験出の放電容量は50000mAh/gを出したということです。
エネルギー容量が大きくなったり、エネルギー密度が高くなれば、その分だけ高濃度エネルギーを身近に置くことになるので、危険度は高まるわけだし、充電を考えれば、それだけ時間がかかる(リチウムー空気電池は燃料電池的な使い方も模索されている)ので、電気自動車がどのくらい便利に進化するかはまだわからないが、興味深いカテゴリ-ではあると思います。
リチウムの埋蔵量は250年分くらいと言われていますが、これも有限資源で、石油がリチウムに代わっただけではあまり意味がない気もします。
とはいえ、ここまでお勉強をして来たことで、とりあえず電気自動車の話や、電池の話がなんとなく読めるようになってきたのでした。