• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2016年11月16日

White grenede 第一話

White  grenede 第一話
あらすじ

真冬の北海道、道東地方を襲うホワイトグレネード、それは爆弾低気圧の一種であり、大量の降雪と、絶え間なく吹き続ける、強い風の気象現象を指す造語。
これは、そんな自然の猛威に挑み、人々に希望を与えた、一人の女性、端野ミホのクルマアクションストーリー。









この物語は、北海道の道東で、命をかけてホワイトグレネードから我が子を護り、帰らぬ人となった偉大な父親に捧げます。

                                              むらっち2











  登場人物

○端野ミホ(22歳・女)
 イメージキャラ ・ E-girls 鷲尾 伶菜
 主人公。鷹のマークの運送屋 「 Traffic Eagle 」 に入社した新社会人。





○白滝エリ(22歳・女)
 イメージキャラ ・ E-girls 楓
 ミホの友人。会社の同僚。


○加藤鷹一(32歳・男)
 イメージキャラ ・ 加藤 鷹
 Traffic Eagleの社長。


○住谷(40歳・男)
 通称スミさん。Traffic Eagleの専務。


○吉野(27歳・男)
通称ヨッシー。Traffic Eagleの同僚


○城ケ崎(26歳・男)
 通称ジョー。Traffic Eagleの同僚











         1


去年、私、端野ミホは、O広T産大学に通う4年生だった。ただ、何となく良い大学に入れたが、私は勉強するより、クルマで走っている時間の方がずっと好きだった。
そんな調子なものだから 『 自分の目指したいゴール 』 つまり、良いと思える就職先も決められず、ダラダラと学生生活を送ってしまい、最後の冬を迎えていた。

そんな就職先も決まらないまま 『 いまさら慌ててもしょうがない 』 との思いから、似たような境遇の友達と2人で、地元のS峠にクルマで走りに来ていたんだ。 これはそんな時に起きた事件…。 ううん、私達の運命を決定づけた、邂逅だった。







その時の私の愛車は、親に頼みこんで買ってもらった “アルトワークスHA -12 S”だった。

そして、その似た境遇でクルマ好きの友達とは、白滝エリだ。同級生であり、私の良き相棒。すごく美人で頭が良くて、機転が利く。 事実、成績は常にトップクラスだし、男の子達はみんな彼女の事が好きだ。それに類まれな観察眼を持ち、臨機応変の対応も得意としている。

以前、クルマ好きの先輩に着いて、ラリーの真似事をした時があった。もちろん私がアルトワークスでドライバーを務め、エリはコドライバーをかってでてくれた。その時のエリは凄かった。あっという間にレッキ帳を作ったかと思うと、いざ走りの現場では見事なナビで指示を出し、私達のコンビは、あるレースで、表彰台は逃したものの、初出場で4位という大善戦をしたのだ。
その成績は、もちろんエリの力によるところも大きいが、私のドライビングスキルだって、なかなかのものだったと思う。




今日はそんなエリに、以前から思ってた疑問をぶつけてみた。

「ねえ、エリ。エリはなんでクルマのステアリングを握らないの?絶対に凄いドライビングが出来ると思うんだけど」




「ちょ、ミホ!アンタしっかり前見て運転しなさいよね!そこ、キツイ右だよ!」




 吹雪で若干視界が悪いものの、私はコーナー手前から、車体を横にして進入し、絶妙なアクセルコントロールで、ゼロカウンターの姿勢を作り、綺麗にコーナーを立ち上がってみせた。

「ねえエリ、なんで?」




「うっさいわね… そんなの運転が下手だからに決まってるでしょ…」

「え?そうなの?」

「そうよ。全部、理詰めで運転できるほどクルマは甘くなかったのよ…、だからアンタのドライビングに惚れて、いつも隣に乗せてもらってるの」





私はハトが豆鉄砲を食らったような顔をしてしまった。

「以外…、エリにも苦手な事があるんだね…」





その瞬間だった、エリが急にヒステリックに叫んだ。

「ミホ!ダメ!次の左コーナー、サイド引いてスピンして !! 」




私は考えるより先に手足が動いた。エリの指示どおり、その場でスピンし停車しようとした。が、完全停車する寸前、自分側のドアに “ボフッ” と軽い衝撃を感じた。窓ガラスの先、なんとそこには見事なまでの、雪壁がそそり立ち、進路が完全に塞がれていたのだ。




「ふぅ~、ヤバかったねぇ…」

「えっ?コレなんなの?」

「吹き溜まりだよ、それにしてもこんなデカイやつは初めて見るねぇ…、さっきから風が急に強くなって、雪も降り続いているから警戒はしていたんだけど…」

「うん。引き返そうか?」

「いや、待って。この吹雪かたは、ちょっとヤバイねぇ…、少し待った方が良いかも…」

「えっ?えっ?まさか、コレって!?」


「うん、ちょっとヤバイよ…コレ、ホワイトグレネードじゃないかな…」

「えっ?えっ?どうしよエリ !? 調子に乗って、こんな所まで走りに来ちゃったけど、ここで立ち往生しちゃったら、2~3日は助けなんて来ないよ…」

「そうだね、引き返そ。まだ、帰り道が塞がってなきゃイイけど…」





それから私は、アクセルターンで向きを変え、さっき来た道を引き返した。今度はゆっくりとしたスピードで。
しかし、その希望も潰える。100メートルも進まないうちに、さっきまでは無かった、新たな雪壁が出来上がっていたのだ。




「エリ~…どうしよ?」

私は泣きそうな声でエリを見つめた。しかし、流石のエリも、この経験が無い事象に混乱し、黙ったままだった。今度はクルマの回りにも雪が積もりだした。







本当にマズかった。しかし、エリは考えに考えていた。正直、クルマの燃料も少なく、着の身、着のまま。どう考えても最悪の事態を想像してしまう。こんな状態で2~3日もビバーク出来るワケがない。『なんとかしなきゃ…』

「エリ~…」




「ミホ、混乱しちゃダメ、ヤバイ時ほど考えなきゃダメなの!考えるのをヤメたらその時点でアウトなんだよ !! 」

エリはそう言い、ある覚悟を決めた。

「ココから近くの民家まで約5㎞、雪の上を這っていって、助けを呼んでくる」




私は涙目になりながら驚きの表情となった。

「エリ、なに言ってるの?こんな猛吹雪なんだよ、無理に決まってるじゃない」

「バカミホ!だから考えるのをヤメちゃダメなの。助かる見込みがあるなら、全力でそれに向かって行かなきゃダメなの !! 」

「一人にしないで、怖いよぉ」


「なに言ってるの!度胸一発、あんな男顔負けのドライビングするあんたが…なに言ってんのよ…」




エリはそう言いながら、突然瞳に涙が溢れた。エリも相当無理をしている。




その時だった、絶望的に小高い雪の壁が、まるで爆ぜるように崩壊した。そしてそこから飛び出してきたのは、鮮やかなオレンジ色にオールペンされたジムニー(JA11)だった。







 目の前に踊り出て来たジムニー。そのドライバーもびっくりした様子で私とエリを見た。それからウインドーが開く。

「おい、アンタ等そこで何やってんだ」

エリは緊張の糸が切れたのか、言葉を失っていた。その男の問いかけに答えたのは私だった。

「私達、ここの峠を走ってたら…、急にこんなになっちゃって…あの、あの…、助けて下さい」




私の言葉に、その浅黒い顔をした、遊び人風の男は少々呆れた口調で言った。





「おいおい、ニュースを見てなかったのか? こんな天気に出掛けるなんて、どうかしてるぜ。 だけど…わかったよ、そのクルマじゃ、もう動けんだろうし、こっちに乗りな。後ろの席は荷物満載だから、ちと狭いがな」




それから私とエリは急いでジムニーに乗った、ドアには可愛い鷹のマークが描かれ『Traffic Eagle』 との文字も書いてあった。エリが問いかける。

「トラフィックって…、運送屋さんなんですか?」







「ああ、その通りだよ。Traffic Eagle、鷹のマークの運送屋だ(笑)。だけど、今日はな、支援隊だ」

「支援隊?」

「そう、支援物資を無償で運んでいる。後ろの荷台は、水やら非常食が満載なんだ。ウチのモットーはな “人の心と思いやり” を運ぶんだ。物流が途絶えてしまう大災害、どんな時、どんな場所にも物資を運び、災害復旧するまでの数日間、人に希望を与えたい。そんな思いで支援隊をかってでてんだ」




それは感動だった。私は心の底から感嘆の言葉が自然に溢れ出し、その濃縮された一言が、口から滑り出した。

「すごい…」




本当に、ただただすごいと思った。男は少し嬉しそうな表情をする。

「ありがとよ。まあ、なんだ。最近この道東はホワイトグレネードの被害が凄いだろ。だからよぉ、業務拡大の意味を含めて、こっちに支社を出したんだ。そんな災害に負けない腕をもった少数精鋭でな」

「Traffic Eagle…」




「おう。申し遅れちまったけど、一応この会社の代表やってる加藤だ」

加藤はそう言い、名刺を一枚渡してきた。名刺まで可愛いオレンジ色だった(笑)





「さて、お嬢さん方、しっかり掴っててくれよ。この雪山を突破するぜぇ」

そう言うや否や、オレンジ色のジムニーは非常に軽快な排気音を奏で、力強く走りだした。




そして、さっき自分達が立ち往生してしまった雪山に、加藤は躊躇いなく突撃する。目の前で雪山が派手に爆ぜた。 『 無人の野を行くが如く 』 。 このジムニーには、そんな言葉がぴったりだった。

「ジムニーってこんな凄いクルマなんだ」

「ははは。しっかり掴ってろよ」





この時、私はハッキリと確信した。これこそが 『 自分の目指すゴール 』 なんだと。










そんな出来事から一週間後、私とエリは Traffic Eagle へ訪れ、就職の面接を受ける事となり、その後、私は親に買ってもらったアルトワークスを売却し、自分のジムニーJA22を購入することとなった。










それからもう一つ…。

今年のホワイトグレネードは、この道内で6人の尊い命を奪ってしまった…。







つづく



ブログ一覧 | White grenede≪ホワイトグレネート≫ | タイアップ企画用
Posted at 2016/11/16 14:17:51

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

みんカラ:モニターキャンペーン【モ ...
のにわさん

ウールさんの紅ビートに5000いい ...
ウールさんさん

久しぶりの聖地!後楽園ホール!全日 ...
やっぴー7さん

みんカラ:モニターキャンペーン【モ ...
Patio.さん

昨日出したセクハラのブログが見れな ...
のうえさんさん

みんカラ:モニターキャンペーン【モ ...
Cocacchiさん

この記事へのコメント

コメントはありません。

プロフィール

「91時限目 第2弾!カントク冒険隊! 神の湯へ http://cvw.jp/b/381698/45694253/
何シテル?   12/11 14:56
☆Youtubeで動画投稿してます。  「カントクの時間」です。よろしければ寄って行って下さい。 https://www.youtube.com/chann...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/6 >>

1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     

リンク・クリップ

Z乗りさんのホンダ CRM80 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2020/05/23 23:46:46
インチアップ話の続き 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2020/05/17 15:25:11
チョットここで、アーカイブ~♪ 10  もう二度と見られない此の光景・・・ 2 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2019/03/05 19:01:18

愛車一覧

ヤマハ セロー225W MOTARO 241K レプリカ (ヤマハ セロー225W)
二代目の 93年式 ヤマハ・セロー225W 2020.6 .6 納車。 ただいま 「 ...
マツダ ボンゴフレンディ タートル號二世 (マツダ ボンゴフレンディ)
2019年7月納車 命名: ドン亀 ” タートル號二世 ” キャンプに車中泊、さら ...
トヨタ ラッシュ トヨタ ラッシュ
2021年6月、実父他界により遺品として当方が引き取る。 親父のメインカーはZEROクラ ...
スズキ ジムニー 神威號 (スズキ ジムニー)
当方の狩猟道! あらゆる願いを込め 「神威號」 と命名する! こだわりの4型ワイルド ...
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation