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むらっち2のブログ一覧

2012年09月09日 イイね!

むらっち劇場23≪椿≫③ ~救出~

ガシャーーン! その木造の定食屋の二階で何かが割れた。
ドタンッ! そして何かが倒れて天井が揺れ建物全体に衝撃が走った。



む(モノローグ)
「慌てない、慌てない」



やはり心に引っかかったあの感じは胸騒ぎだった。様子を見に来て良かった・・・と、思う
俺はデスペラードジャケットを着たまま、延び加減の盛りそばを啜り様子を窺った。

ダダダ、階段を駆け降りる足音。下唇を噛みしめ涙目となった制服姿のA子が現われた。
その涙した姿もA子の綺麗な顔を引き立てている。





む(モノローグ)
「ほんと、綺麗な娘だ…」



その後からは下着姿の下品な男が続いて降りて来る。




「こら待てA子!言うに事欠いてお母さんに!」



そんな事を喚いている。




「待って!あんた!」




追いすがるように上から降りて来たおばさんが男に抱きついた。



む(モノローグ)
「ハハ~ン。コイツがこのおばさん(母親)のヒモか…」



俺は黙って見ていた。
A子がダッと駆け出しカウンターのこっち側に出て来て、そこで初めて俺に気付いた。



A子
「あれぇ、椿さん!?来てたんだぁ!」



涙まじりの笑い声だった。



む(モノローグ)
「椿?誰だ? あっ、俺だ!」





「ああ。ちょうど腹が減ってきたんでな」



A子
「なんだ、来てくれたんだ」



涙を拭きながら嬉しそうな口調でそう言い、わざとらしく俺の横に座った。




「こら、A子!」



男が絡みつくような声で言う。




「あんた、上に戻って!」



おばさんの金切り声が癇に障る。この声はA子を守ろうとしていない。
まるでA子から男を取り戻そうとしているみたいだ。




「こら、A子!」




「あんたぁ~!」



この金切り声… あーー、イライラする!



A子
「椿さん、お蕎麦美味しい?」



む(モノローグ)
「椿?誰だ? ああ、俺だ!」




「…ちと延びてる…」



A子
「お冷どうぞ」




「こらA子、おめぇ」




「あんた、上に戻って!」



あーー、イライラする!




「うるせぇな」



俺は普通の声で言った。




「あ?なんだ、てめぇ!?」



男が絡んでくる。まるっきりバカだ。
俺はちょっと溜めを作ってから、暫く振りに思いっきり怒鳴った。





「… うるっせぇーーー!!」




ああ気持ちいいw やはりたまに大声を出すとスッキリする♪
そして俺はゆっくり立ち上がった。

男は怯んで後ずさりし 「待て!」 と言ってきたが
俺は無視してそのツラに思い切り右の正拳をブチ込んでやった。
だがソイツはなかなかしぶとい奴で、一発では倒れなかった。そこで言ってやった。




「客の前で騒ぐなクズ!」



「… 客?… 」



ぼんやりする顔の低能っぽい表情が無性に腹立たしかった。
俺はそれから膝に前蹴りを叩きこみ、相手の体勢を崩してから鳩尾に右足刀をブチ込んだ






男は尻餅をついて壁にもたれ、横ざまに倒れ呻いた。
顔面にも蹴りを入れてやろうと思った、が、それは許してやった。

更におばさんをブチのめして、辺りの壁に手当たりしだい蹴りをブチ込んで穴だらけにして
店をひっくり返しても、俺はいささか後悔もないし、良心の呵責も感じない。
むしろ死ぬまで大切な良い思い出になっただろう。

だが、やはり、実の娘の前でそれをするのは良くない。そう思ったのさ。
俺はクルリと背中を向けA子を見た。
A子は目の下と鼻の下を擦りながら俺を見ていた。




「帰れと言って悪かった。彼の家まで送るよ」



A子
「うん」





やはり美しい娘だ…。思わず見惚れてしまいそうになる。




「おいで」



俺が右手を差し伸べると、A子は両手で握ってきた。




「死ね!恩知らず!」



後ろでおばさんが喚いた。




「ドロボウ猫!」



いやはや… 恋というのは恐ろしい。心底そう思った。
こんな所帯やつれしたおばさんが… いや、所帯やつれしたからこそ「恋の魔力」に取憑かれたのか

俺はA子に自分のヘルメットを被せ、早々に立ち去ることにした。
きっとA子だってこんな場所からは早く離れたかったはずだ。





む(モノローグ)
「汗臭いのは勘弁しろよ」



俺は心の中でそう思った。






≪椿≫④ ~追憶~ に続くw

Posted at 2012/09/09 16:17:57 | コメント(3) | トラックバック(0) | むらっち劇場 | 日記
2012年09月09日 イイね!

むらっち劇場23≪椿≫② ~仮初~

A子
「ねえ、椿さんの革ジャンの毛皮って本物なの?」





む(モノローグ)
「椿?誰だ? あっ、俺だ!」


「ああそうだよ。本物のニホンオオカミの毛皮だ」





A子
「へぇ~。でもニホンオオカミって絶滅したんじゃなかったけ?」




「今はな。しかし俺の曽祖父が北海道に入植した時は家畜を荒らす害獣として駆除したんだ。だけどその時に手強いオオカミの群があったんだと。それがコイツなんだ。当時を知る祖父(もう亡くなったけど)が言うには賢いリーダーだったそうだ。≪狼王ロボ≫って物語を知ってるかい?正しくそんな感じでね・・・曾祖父はコイツと命懸けで闘い勝利したんだそうだ」





A子
「へぇ~、面白そうな話し。もっと詳しく聞かせてよ!」



A子は目を輝かせながら詰め寄ってきた。本当に興味を持ったらしい。
しかし変った娘だw




「さあ、それ以上詳しくは・・・まあ、バァちゃんがまだ生きてるから聞いてみるよ」



A子
「また会ってくれるの?」




「縁があればなw」



A子
「何それぇ~、あははははwww」




「ところでよ、サボるにゃ制服は目立ちすぎるぞ。一度家に帰って着替えた方が良いんじゃないか?」



そう言った瞬間。さっきまで明るく笑っていたA子の表情に陰りが生じ、曇天となってしまった。



A子
「う~ん・・・家には暫く帰ってない。彼の家に泊まり込んでるんだけど、この時間はまだ仕事だし・・・」



A子「・・・たぶんアタシなんか帰って来ないほうが良いって思ってるよ・・・それにウチはお父さんいないんだぁ・・・代りに変な男は住みついてるけどね・・・」




「・・・まあ、いろいろ事情はあるわな・・・でも君はまだ未成年だからな、ココだけは変えられない事実だ。彼の所に泊まるのも結構だがたまには家に帰った方が良いんじゃないか? そうでもしないとその彼にだって迷惑が掛かりかねんぞ! 世の中面倒臭い事の方が多いしな」



A子
「そうかなぁ・・・でも・・・」




「まあ、お節介ついでだが・・・自ら幸せになる権利を捨てるのは勿体無いぞ! 学校の先生や周りの友達もどきが中身スカスカのクズで顔を合わせるのもウンザリだとしても、学校には図書館がある。図書館には本物が詰まってるぞ! 望めばいつだって必要な知識が手に入るぞ! その先生も上手く利用すればより合理的に知識を吸収できる道具になる!」



む(モノローグ)
「アレ?何を言ってるんだ俺は?」


「まあ、兎に角だ、たまには家に帰って体勢を立て直すなんてのもアリだと思うぞ」



暫く考え込むA子。この思いつめた表情もまた美しいw





A子
「ねえ、椿さんお腹減ってない?ウチって定食屋やってるんだけど寄っていかない?」



A子の思いつめた表情・・・何かが心に引っかかる・・・



む(モノローグ)
「なんだ?どうしてそんな顔をする?」


「そうだな・・・また今度にするよ。そんなに腹は減ってないんだ」



A子
「そう。そういえばオジサン名前は?」



俺は思いっきり渋く答えた!




「三十郎、椿 三十郎!」



A子
「え?それ本名なの?」



それでも怯まない俺。




「もうすぐ四十郎だがな!フッ」





A子
「あははw やっぱりオジサンじゃないwww」



そうしてA子は自分の名前を告げ、笑顔で手を振りその場を離れて行った。






≪椿≫③ ~救出~ に続く

Posted at 2012/09/09 13:33:38 | コメント(4) | トラックバック(0) | むらっち劇場 | 日記
2012年09月09日 イイね!

むらっち劇場23 ≪椿≫

一人南に向け放浪・・・。そんな時にA子と出会ったんだ。
旅の途中、なんとも気持ちよさそうな木々に囲まれた道の駅を発見
炎天下が少々キツク思えてきた俺はそく木陰にバイクを停め
ショートピースに火を点け煙を燻らせた
時間のある時にのんびりと喫うショートピースは本当に素敵だ
その甘く香るヴァージニア葉は魂の楽園へとショートトリップさせてくれる
俺は本当にのんびりした気持ちで煙草を愉しんでいた時だった
不意打ち!とつぜん女子高生のお嬢ちゃんに話しかけられたんだw




A子
「おじさんタバコちょーだい♡」



むM(モノローグ)
「ナニニニニ!?」

「オジサンじゃないからあげない!」






凄く綺麗な顔立ちの娘だった。でクリクリと大きな瞳が特徴的で
えくぼが非常に可愛らしいw






A子
「じゃ、オニーサンw」



「あのねぇ、制服来た女の子に堂々とタバコを渡せると思うかい?」



と、言いつつ喫えるもんなら喫ってみろと言わんばかりにショートピースを差し出した
A子はニコニコと笑顔で受け取り慣れない手つきで箱から1本ピースを取りだし
これまた慣れない手つきで火を点けた・・・が・・・



A子
「ゴホゴホゴホッ、エホ、エホッ、エホッ・・・」



凄い勢いでむせ返り涙目となった



A子
「ゲホッ・・・オジサンすごいね、こんなの喫って・・・ウェホッ」



むM(モノローグ)
「オジサンに変りやがった」

「ああ。凄く美味いよw」



A子
「うん。本当に美味しそうに喫ってたからさ、つい・・・あ~酷い目に遭った(笑)」




「あはははwww ところで学校は?」



A子
「うん?サボったw こんなお天気良いのに教室にいるのが勿体無くてw で、学校に戻れって?」




「ハハ、良いんじゃねーの。確かにサボるにゃうってつけの良い天気だw」






A子
「オジサンほんと変ってるねぇ~w」




「俺の名前は ≪椿≫ だよ!」



A子
「私はA子、K・A子。よろしくね♡」




こんなのがきっかけで俺はA子と暫く話しこんだ




≪椿≫② ~仮初~ に続く!
Posted at 2012/09/09 12:21:31 | コメント(3) | トラックバック(0) | むらっち劇場 | 日記

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