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2016年11月22日 イイね!

Def busta 第二章 ~recovery line~ 第二話

Def busta 第二章 ~recovery line~ 第二話
    


同じく1年前。


そこは美瑛町・白金温泉郷の外れにある、成海の祖父が経営する

“ペンション輪道”。











ログハウス調ペンションの前で、祖父源三が薪割りをしていた。向かって左側の大きなガレージのオーバースライドドアの奥にはKX500が静かに佇んでいる。

そこへ軽トラ・スズキキャリィに乗った成海が帰ってきた。軽トラのドアには“ペンション輪道”の文字が描かれている。その運転席から、勢いよく成海が飛び出してきた。




「おじいちゃんただいまー。お野菜買って来たよー」

成海が明るい笑顔を振りまく。




「おお、おかえり」

同じく源三も笑顔で応える。




成海は荷台の幌を解き、野菜の入ったダンボールを降ろして、ペンション内に運んだ。




N『10年前に交通事故で両親が他界し、アタシ達姉妹は、おじいちゃんに引き取られ育てられた。今は妹の七菜香と一緒に、このペンションのお手伝いをして、3人で暮らしている』




ペンション内部のホールは、大型の西洋薪ストーブ1台、手作りの丸テーブルと椅子が5組ある。そしてホールとカウンタードアで隔てられた厨房内では、セーラー服姿にエプロンを着けた妹の七菜香が、本日の料理の仕込みを行っていた。

N『この娘が妹の七菜香。まだ高校生だけど料理の腕はプロ級なんだ!』




成海は、七菜香の近くに野菜入りダンボールを置いた。

「ナナただいま~。ここに置いとくね~♪」

矢継ぎ早にその場を後にする成海。




「うんありがと♪」

七菜香は成海の背中越しに声をかけるが、そこにはもう成海の姿はなかった。

「ふふ。ナルちゃん楽しそ(笑)」

七菜香は意味深にそう口にした。




それから成海は、少し慌ただしい様子の小走りでガレージに駈けこんだ。

少し間を置いた次の瞬間、ガレージ内から唐突に、炸裂音に似た2ストローク初期始動の排気音が聞こえてくる。なんと成海は、ノーヘルのままスタンディングでKX500に乗って表に現れ、軽トラの後ろにまわった。後部のあおりは開けたままの状態である。

それから何度かアクセルを煽り、エンジンの回転数を上げた後、瞬間的にしゃがみこみ、バイクをリヤ荷重にしてから一気伸びあがってクラッチミートする。




「しゃらぁーーー」

成海の掛けが響く。




フロントタイヤが“フワリ”と持ちあがり、続いてリヤも “ポンッ” と跳び上がる。成海は 「 ウィリージャンプ 」 という高等技術を難なく駆使し、軽トラの荷台にKX500を積んでしまった。







「ふぉっふぉっふぉ」

源三はさも愉快そうに笑った




「じゃあGarage SANTANAに行ってくるから。お客さんの夕飯までには戻るね」

軽トラに乗り込みながら、楽しそうにそう言った。




「おおわかった。でも気にしないでゆっくりして来ても良いぞ。気ぃつけてな」




KX500を乗せた軽トラが走り出し、源三はその姿をいつまでも見送っていた。









   



軽トラの車内で、広く真っ直ぐな北海道の風景を横目に、成海はナルディークラシックのステアリングを握り、カントリー&ウェスタンの音楽を聴きながら、愛しの下村と祖父が、初めて邂逅した様子を思い浮かべていた。




N『何を隠そう、祖父源三は、かつて“サードアイ”の異名をとったKawasakiのワークスライダーだったのだ』











≪回想始まり≫

腕と腿にKawasakiロゴが入り、年季を感じるラリージャケットとモトパン。それにアルパインスターの革ブーツ。そんな凄みのある雰囲気の源三の隣には、KX500に跨った成海の姿があった。




「もう一度俺とハッて貰えませんか?」

真剣な表情で源三に向き合う下村。
それは数日前に、下村と源三が、新道でバトルしたことを意味していた。




モタードライディングで、夜の峠を駆け抜ける三眼ライトのKX500と源三。そしてそれを追うZ1000MkⅡの下村。

「君を見ていると、昔ライバルだったラリー・ロズラーを思い出すよ」

穏やかな表情の源三。




N『ラリー・ロズラーは、80年代Baja 1000において、最速と謳われたkawasakiワークスライダーである。源三はオフロードレースの神とも謳われた人物と、ライバル関係にあったのだ』







「しかし、ワシ等の時代はとっくに終わっておる…」

寂しげに空を見上げ、成海の肩に“ぽん”と手を置いた。




「この娘には、ワシの全てを伝えたつもりだ。これからは君達の時代だよ」

成海は少々戸惑った様子で源三を見つめた。


≪回想終わり≫





『そう、その時に決めたの! 下村さんの願いを叶えるために、アタシがおじいちゃんの代りに走るって』

凛々しい表情の成海が心の内で、固い決意表明をした。




そんな回想をしているうち、軽トラのフロントガラス越しには、ダッジラムバン、シェビーバン、シボレーC1500、エルカミーノ等、トランポベースとなる車両が並べられた「Garage SANTANA 」が見えてきていた。







つづく
Posted at 2016/11/22 14:40:05 | コメント(0) | トラックバック(0) | Def busta≪デフバスタ≫ | タイアップ企画用

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