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2017年02月08日 イイね!

White grenede 第四話

White grenede 第四話


      


レース当日、帯広市のオープンエリアは、とんでもない賑わいを見せた。
『 D C C (ダートチャレンジカップ) 』 は、以外にも人気種目であることを物語っている。












色とりどりにペイントされた派手な4駆のクルマが駐車場には溢れかえり、どれもコンテストさながらの完成度を誇っている。ほとんどがリフトアップされ、極太マッドタイヤでビルドアップされたクルマ達だ。更にはキャンピングカーや牽引トレーラーまで。それからテントなんかも持ち込み、バーベキューをしている家族の姿も見受けられる。まるでお祭りだ。すっごくワクワクした気持ちになる。










そんな様子に眼を輝かせていた私の頭を、タカ社長は後ろから小突いてきた。

「端野ミホ、ボケッとしてないで、よく聞いとけ」




もう~。なんでフルネームで呼ぶの?

「このレースは4月から10月にかけて4戦あるシリーズ線だ。今回は10月期の最終戦でウチはスポット参戦となる。基本的には、ナンバー付き車両のオフロードタイムアタックで、フラットコースとモーグルコースを同じ車で走るのが決まりだ。フラットは多少のアップダウンがあるダートコースで、モーグルは傾斜角が40度もある谷や丘の凹凸路を走る。両方のコースを2本ずつ走ってタイムの良い方を合計し、順位が決められる。ドライバーは2人1組のペアが決まりで、どちらかがそれぞれのコースを走る事になるぞ。フラットならフラット、モーグルならモーグル、といった具合に専従化されるんだ。つまり両方のコースを一人で走る事は出来ない」




うん。うん。ああ早く走りたいなぁ。




「今回は端野ミホがフラットで、ヨッシーがモーグルだ。いいな」

うん。だからなんでフルネームなの?




「ええ。自分もそれで問題無いです。フラットはミホちゃんの方が速いですからね」

「ああ、すまんなヨッシー。本当はエースのお前をフラットで走らせたいんだが、今年こそトップを獲りたい。万年2位はもう御免だからな」




そうなんだ。そんな大事なレースなのに私を使っちゃうの?いいの?それからつい口に出てしまった。

「あの…タカ社長…私なんかを出しても良いんですか?タカ社長が走った方が…」

「バ~カ、端野ミホ。お前それが謙遜のつもりなら俺達をバカにしてるぞ!お前はウチに入社してからこの半年で、一番のスピードを手に入れちまってんだからな。みんな納得済みなんだよ。まあ、穴掘りはド下手だがな(笑)」



みんな小さく頷きながら微笑み、私に視線を集めていた。私は思わず下を向いてしまう。





「ミホ頼んだぜ。きっとお前なら、このレースの目玉になれるぜ」

はい。無言で頷いた。ジョーさんありがとう。




「フラットは一番時計でボクに繋いでね。そうしたら、気持ちに余裕ができるからさ(笑)」

はい。またもや無言で頷いた。必ず一番でヨッシーさんに繋ぎます。



「ミホちゃん、無茶し過ぎてクルマを転倒させちゃ駄目だよ。レースは無事に帰るまでがレースなんだからさ」

はいスミさん。ちゃんと走らせます。




「いまやお前がエースだ。 穴掘りはビリッケツだがな。ははは」

はい。タカ社長。しつこいなぁ。でもどうして 『 カトウタカ 』 って言ったら怒るんですか?
聞きたいけど聞けない。




すごくすごく、みんなの気持ちが嬉しかった。




「アンタなに泣いてんのよ」

突然の、エリのセリフに顔が赤くなる。



ちょっと!なに言ってんの !?

「ちょっエリッ!私は泣いてなんか…て、あ…」




みんな私を見てニヤニヤ笑っていた。 ああ、やられた。悔しい。エリにまんまとかつがれた…。










     


 今回のレースは 『 ジムニー&軽クラス 』 にエントリーしてある。そのクラスでは総勢15台と30名の選手達が一台ずつ出走し、タイムアタックすることとなる。私はフラットダートのスタート付近で順番待ちをしていた。







今回ウチで使用する車両は、会社のデモカーでもある特別仕様・ジムニーJB23で、APIOというメーカーから出されている “ スーパーつよし君ビルシュタイン・安心サスペンションキット ” を始めとした “ TSB ” フルキット装備のカスタムマシンだ。しかもオプションのヨシムラ・チタンマフラーまで取り付けられ、豪華絢爛もいいところだ。もちろんオレンジ色にオールペンされ、ドアには鷹のマークも入っている。











ちなみの私の “ ロックさん ” も TSB のキットが入っている。
しかし、ヨシムラマフラーは高価なので着けられなかったけど…。

JB23はレカロのシートで私を迎え入れ、程よいホールドで包んでくれた。MOMOのステアリングを撫でてみる。
手に吸い付くような形状が心地良い。









「うん。今日はイケそう」

そう呟いた時、無線が鳴った。




「ガガーー」「ミホ聞こえる?」


エリだ。




「うん。聞こえるよ。どうしたの?」

「う~ん、まあ、なんていうか実況中継。他の車両の状況を、リアルタイムで伝えようと思ってさ」

「そう。ありがと。そうだ、さっき聞きそびれちゃったんだけど、このコースのレコードってどのくらいなの?」

「ああ、ちょっとまってね、今教えてあげるから…どこだったかな…ああ、あったあった」




エリは手元資料を探しているようだ。

「そうね、私らがエントリーするのは『ジムニー&軽クラス』なんだけど、フラットがだいたい全長1.7㎞位のコースで、1分5秒が一つの壁みたいね。トップタイムで1分1秒台。モーグルは1㎞位の長さなんだけどタイムは2分25秒が壁で、トップタイムは2分21秒台ってとこかな」

「そうなんだ。転がったら失格?」

「ううん。 オフィシャルがすっ飛んできて、すぐに車を起こしてくれるみたいよ。 走行可能ならそのまま続行するみたい」

「う~ん、じゃあ要注意のチームとかは?」

「ああ、なんて読むんだろコレ?ベクター…グ、グラ…」

「わかった!ベクター・グライドでしょ !? 」

「う~ん多分そう。知ってたの?」

「うん。さっきね、私のスキー板と同じ名前のチーム名があったから覚えてたの」

「そうなの?でも、そんな堂々と名前をパクッて大丈夫なのかね?」










エリと会話していると、なんだかとても気持ちが落ち着く。ずっと一緒だったからかな?
やっぱり私達は2人で1人なんだ。

「エリ、一つお願い」

「なに?」

「ここのコースは頭に入っているんだけどね、私が走っている間、ずっとナビしててくれない?」

「それは良いけど…。 うん。そっかわかった。2人で闘うんだね!」

「そう。よろしくね」

「GPSでしっかり見ていてあげる。 うん。 きょうでぇ~、しっかりアクセル踏めよぉ~(笑) 」




他愛のない会話。でもやはり、エリが近くにいると思うと、私には元気が湧いてくる。




その時、軽快な排気音と歓声が響き渡り、第一走者がスタートした。











つづく






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