![[本の小並感 No. 111]「電機・半導体」大崩壊の教訓 営業利益率0.061%からいかに脱却するか [本の小並感 No. 111]「電機・半導体」大崩壊の教訓 営業利益率0.061%からいかに脱却するか](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/043/860/323/43860323/p1m.jpg?ct=9179fd438501)
111. 「電機・半導体」大崩壊の教訓 3点
今から思えば2012年は電機・半導体にとってメモラブルな年だった。
日本DRAM最後の砦エルピーダが4,480億円の負債を抱えて倒産し、ルネサスは経営危機が表面化しKKRや産業革新機構による出資交渉を進めることになった。パナソニックは7,542億円の赤字を計上、シャープは3,700億円の赤字で世界の亀山モデルは、その実日本だけのガラパゴスモデルだったことを露呈し、ソニー・東芝・日立のディスプレイ部門がJDIに統合された。本書は日本「半導体」敗戦に続いて、そんな2012年に執筆された。
かつて世界市場を席巻していた日本半導体が凋落した理由をバリューチェーンの変化に対応できなかった、もはや典型的なイノベーションのジレンマであるという。それまでのDRAMの需要がメインフレームと呼ばれる大型の産業用コンピュータであり、日本の半導体メーカはそのために・その顧客の求めるまま持続的な改良を進めていた。
ところが、日本の半導体メーカーが我が世の春を謳歌していた1980年代、DRAMの市場は産業用PCから個人用PCに移っていく。そこでは、これまでのような高性能・高機能、そして高価格なDRAMは不要であり、低スペックでも安価なDRAMが求められる。顧客ニーズを重視するあまりバリューチェーンの変化を見誤る、クリステンセンが指摘するイノベーションのジレンマに典型的に嵌ってしまったのだ。

パラダイムシフトに対応できなかった日本メーカー
一方、マイコンはそうでなくても低収益な事業構造を強いられている。マイコンの世界シェア1位(30 %)、車載用マイコンに限れば42 %のシェアを持っているルネサスは、そのシェアに関わらず営業利益率は
0.061 %と極めて低い。同じマイコンメーカーであるインテルが36 %もの営業利益率を叩き出しているのとは対照的である。

恐ろしく低収益なルネサス
安全に直結する車載用マイコンは個人用PCのそれとは全く異なる品質基準が要求される。さらにそれに加えて不良率ゼロの「絶対安全」を車メーカーから要求されるという。そして値段は底の底。なぜルネサスはこんな割りに合わないECUを製造しているのか、本書でははっきり示されないがルネサスの技術者は「どの半導体メーカーもECUを作りたがらない。しかし、ルネサス那珂工場はラインの稼働率を上げるためにも利益のでないECUですら作らざるを得なかった。」と答えている。

車載用ECUは誰も作りたがらない
業績が悪化すれば付け込まれる。私は(絶対安全の思想はどうかと思うが)車メーカーが悪いとは思わない。ビジネスの世界では当然だ。問題はどのように価格支配権を獲得するかだ。他社が真似できない高度な技術があれば別だろうが、そのような独占的地位の獲得は難しい。
筆者は、蛸壷の中で自己満足な技術開発に引きこもり、マーケットを無視した過剰品質・過剰技術を追求するのをやめ、マーケティングを強化せよという。マーケティングの本質は「変化を捉え、それに応じて自らも変わること」。それに加えて、ルネサスような価格支配権を獲得できるような戦略も必要だろう。言うは易し、行うは難しだろうが、半導体の教訓を活かさなければ。
Posted at 2020/03/29 19:04:10 | |
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