
本日は土偶展へ。最終日ということもあってか入場に20分待ち。井上雄彦の漫画展で行列ができるのは想像できたけど、土偶はちょっと予想外。恐るべし土偶。
で感想だが、なんというか、よくこんな形の人形を思いつくな、という感じである。写実的な意志が全くない。全くは言い過ぎかも知れないが、非常にデフォルメされていて「目に見えるままに、できるだけリアルに作ろう」というベクトルではない事は確かだと思う。目に阻害されていない、と言えば良いのだろうか。とにかく非常にユニークで現代人にこんな人形を作れる人はいないだろう、と思う。
我々はとかく目という感覚器官に頼りがちである。得られる情報量が圧倒的に多いし、何より安全だかららしい。7人の目盲の話がある。盲の人にゾウを触らせる。鼻を触った一人はゾウを蛇のようなものだと言い、足を触った一人は柱のようなものだと言う。そういう話で多くの場合は一部分に囚われず全体を見るべし、という戒めの話として語られる。一歩引いてゾウを”目で見れば”全体が把握できる、と。
しかし果たして見ているだけの人は触った人よりも多くの情報を得ている、と言えるだろうか。一概には言えないはずである。ゾウと皮膚や体毛の感触、匂いや体温や呼吸は触らないと分からない。見るだけの人は「8人目の盲人」である。少し前にNHKで「開け耳!」というような番組がやっていた。私は見逃してしまったので内容は分からないが、普段の生活の中で耳をすましてみれば、音によって構成される今まで見えなかった世界が見えてくる、そういう内容だろうと思う。
縄文人がユニークというのはそういうことで、彼らは我々が文明の発展の中で気づかないうちに失ってしまった感性で世界を見ていた。その結晶の土偶。それは新しい世界だ。だから魅力的なのだ。
写真は遮光器土偶の頭部。購入。土偶と言ったらこれでしょ。昔ドラえもんにこの土偶が襲ってくる話があって怖かった。ちなみに遮光器はゴーグルのこと。北方の民族(外国?)が雪や氷の照り返しを避けるゴーグルに似ていることから、この名前がついたらしい。青森出土だし。ただ縄文の遺跡からはゴーグルは発見されておらずあくまで推測だとのこと。あと土偶は全部女性であるらしい。男性は見つかっていないらしい。
Posted at 2010/02/21 23:13:30 | |
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