![[本の小並感 129]会社は合同労組・ユニオンとこう戦え ボク胃に穴空いちゃう...拗れる労使交渉実務の現場 [本の小並感 129]会社は合同労組・ユニオンとこう戦え ボク胃に穴空いちゃう...拗れる労使交渉実務の現場](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/044/221/928/44221928/p1m.jpg?ct=85c006caaf9f)
129. 会社は合同労組・ユニオンとこう戦え 3点
私がこの問題、つまり日本の雇用問題に興味を持つようになったのは城繁幸がきっかけだった。もう何がきっかけだったか忘れてしまったが、確か彼が「
社長は労働法をこう使え!」という本を紹介していて、日本の労働法制が極めて労働者保護色が強く、それがモンスター社員などの様々な「甘え」の温床になっていることを指摘していた(と思う。今見たら同じ著者だった。)。
この本は、かなり実務的だ。特に総務や人事の責任者、実務担当者が、労組との交渉に当たって知っておくべき知識や、交渉術が微に入り細に入り丁寧に書かれている。担当者は知っておいて損はないだろう。いくつか、蘊蓄を上げておく。
1. 労組の委員長の性格によって交渉の方向性が分かる。自己保身型は目的を達成すれば静かになるが、復讐型はどんな非生産的なことも厭わないので難航・長期化する。
2. 団体交渉に社内会議室は使わない。社員なら誰でも入って来られるし、時間も無制限になってしまう。労組の事務所も全く関係ない人が突然参加してきて監禁に近いことをされるかもしれない。だから、外部会議室を使用し、使用料を会社側が負担するなど主導権を取る。
3. 「社長を出せ」と言われるかもしれないが、その必要はない。ただし、決定権のない人間の出席は不誠実団体交渉となり不当労働行為になる可能性がある。このため、責任者が出席する必要があるが、決定権があることと即断即決ができることとは区別して良い。
4. 「検討します」という回答は食いつかれる可能性があるため、「お断りするかもしれませんが検討します」とする。
5. SNSによる炎上には「じっと我慢して、嵐が過ぎるのを耐えるのが無難」としている。炎上には継続的に薪をくべる必要があるが、燃料をわざわざ投下する必要はない。
6. 賃金トラブルでは年俸制の導入自体が就業規則の不利益変更として争われたことはない。しかし、その場合も年俸決定のための成果、業績評価基準、決定手続き、減額の限界、不服申し立て制度などを確立する必要がある。
7. 就業規則違反に当てはまる場合でも、処分の均衡を欠く場合、懲戒処分が無効になる可能性がある。例えば「遅刻してはならない」とあるが、それまでは遅刻者に対して懲戒処分をしたことはない場合、いきなり遅刻した人間に懲戒処分を下すと「処分の均衡を欠く」とみなされる。

懲戒処分の前段階の通知書例。裁判では、そこに至るプロセスが重視されるため、当事者に言い分を出す機会を与えることが重要。他にも希望退職を募る場合の例とかがある。
7は法の下の平等みたいな概念と通じるものがある気がする。その他にも文書例などがあり、生々しい。この人こういう修羅場をずっと戦ってきたのだとよく分かる。おれ、自信ない。胃に穴空きそう...
Posted at 2020/07/27 23:23:35 | |
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