
進化する予防安全技術~新たな課題も浮上
2011年2月4日 06:00
(↑電子制御式コンバインドABS搭載「ホンダ・CBR600RR ABS(2010)」)
先進国で交通事故死亡者数が減る背景の一つに自動車の安全性向上がある。乗員や歩行者の保護性能が高まっている一方で、事故の発生そのものを減らそうとするアクティブセーフティー(予防安全)機能も進化し、装備の義務化も進む。半面でドライバーの油断や慢心を招く可能性も浮上、ハードの進化とともに利用法や教育の必要性も不変と言えそうだ。
アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)はアクティブセーフティーの代表格と言える。1900年代の初めから車輪の空転を防ぐ仕組みの開発が行われ、まず機械式ABSが鉄道車両や産業車両などに搭載された。後に競技用車両にも搭載されたが、価格や信頼性などの観点から一般の乗用車への普及は進まなかった。信頼性が向上した電子制御式の車載用ABSは78年にボッシュが実用化し、メルセデス・ベンツ「Sクラス」に採用されて以降、乗用車への普及が始まった。
高級車を中心にABSの採用が広がると、車輪速をより細かく制御することが安全につながるとして、ABSをベースとした安全機能の開発が進んだ。その一つが過大な駆動トルクによるスリップを抑制するトラクション・コントロール・システム(TCS)だ。制動時だけでなく滑りやすい路面や坂道での発進時などアクセルペダルを踏み込む場面でも車輪の空転は発生しがちだが、TCS装着車はブレーキ油圧を制御することによって空転が抑制される。
加減速時に発生する空転を防ぐ機能はその後さらに進化する。ボッシュは95年にESC(横滑り防止装置)を開発し市場投入した。急なハンドル操作やオーバースピードでの旋回など車体に横滑りが発生しそうな状況下で、各輪のブレーキ油圧を制御し操舵(そうだ)輪の目指す方向に車両の向きを修正するものだ。車体の縦方向だけでなく横方向の滑りにも対応するESCの登場によって、走行状態を問わず車体が滑る機会を大幅に回避できるようになった。
各国の政府機関や自動車メーカーなどの調査によれば、車の横滑りが原因の重傷事故や死亡事故件数のうち、最大80%をESCの装備によって削減できるという。こうしたことから欧州、米国では11年から装備が義務化された。日本でも昨年末に義務化が決定しており、新型乗用車(排気量660cc以上)は12年10月から、継続生産車は14年10月から装備が義務付けられる。ESCの標準化は、レーダーやカメラを用いた車間距離制御システム(アクティブ・クルーズ・コントロール)や追突軽減ブレーキなどの先進安全機能の付加も後押しする。近年では、より車体制御が難しい二輪でもABSなどの搭載が本格化しつつある。
半面でドライバーの慢心を招く可能性もある。国土交通省は、来期から始めるASV(先進安全自動車)計画に、こうしたドライバーの過信や慢心を招かないような工夫の検討を盛り込んでいる。
(記事引用ゴメンナサイ)
<日刊自動車新聞/進化する予防安全技術~新たな課題も浮上>
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2011/02/04 11:19:57