甲板の大半の面積にリノリウム材が敷かれています。
リノリウム材は1/700にすると長さ39mm、幅2.6mmとなるので、まずは横向きのラインをシャープペンで下書きします。
ここで気になったのは、艦尾から若干のエリアは滑り止め鋲の付いた鉄甲板になっていますが、その範囲がどこまでなのか?という問題に直面しました。
というのも、日本海軍艦艇図面集にある高雄図面ではこのように表記されています。
鉄甲板がどこまでなのか、明確に示されていないのです。
同時に思ったのは、ボラードはこんなに後ろに付いているのかという点。
高雄の写真を見てみると…
どうやらボラードはもう少し前に付いているようです。
高雄はこんな写真もあります。

奥に向かってパースがかかっていますが、リノリウムと鉄甲板の境目が確認でき、それはボラードの少し後ろあたりのようです。
鳥海の写真にはここまで鮮明なものが手元になく、全体の配置が分かるのは↓の写真くらいです。

ボラードの位置は高雄と同じ位置のようですね。
同様に愛宕・摩耶の写真でも同様の位置であると確認できました。
せっかくの機会なので、日本の軍艦別巻図面で重巡各型の鉄甲板エリアをチェックしました。

当初は副錨の直前あたりに鉄甲板の境目が来るのかと思っていましたが、どうにも法則性が見当たりません…。
甲板のへりにはスパンウォーターがめぐらされているので、0.5mm幅にしたデバイダーを舷側に沿わせて線を引きました。そして、下書きしたリノリウム押さえのラインにデザインナイフで切れ込みを入れました。
実はリノリウム押さえの工作を行ったことがないザクとは違う。でも前々から「このように作ろう」と考えていた方法を試してみます。それはリード線をほぐして出てきた極細線をカッターで入れた切れ込みに貼り付けるというもの。この上からリノリウム色を全面に塗り、乾燥後に極細線の上の塗装をはがしてやれば金色の線が浮き出てくるという寸法。

試作したところ、行けそうな気がします♪
艦尾の配置を調べている際、高雄のボラード台座が縦長の六角形だと分かったので、鳥海も同様に作ることにしました。
台座は長方形だとばかり思っていたので、他のボラードも調べることにしました。

艦首は長方形の2つの角が削れた形状、航空機甲板両側はイマイチ判然としませんが、長方形のようです。ただ、一部だけ形状が異なるというのも不自然な気がするので、艦尾以外は艦首のものと同じ形状にすることとしました。
余談になりますが、艦尾を調べている際に気になったのが洗い場。

1枚目の写真は高雄型で、次は三隈。3枚目は艦名は分かりませんが、重巡のようです。いずれにも洗い場の桶にあたる部分より後ろの細長く囲われたエリアの床面に縦または横の線が入っているように見えます。これまではこのエリア全体が洗い場で、コンクリート床とされていると思っていましたが、どうやら違うようです。
もしかして洗ったものの水切り場?と考えてXに画像とともに質問してみると、とある方から「摩耶の乗組員から聞いた話だと、縦または横の線が入った場所は水切り場で、耐水コンクリートが塗られており、色はレッドブラウン」との知見を頂くことが出来ました。
この話に異を唱えるわけではありませんが、烹炊室は艦の中央あたりにあり、そこから4番主砲脇の洗い場まで食器を運び、さらにその奥の細長く続くスペースで水を切るというのは、作業工程としては効率が良くないように感じます。
「なんでも人力に頼る」のが基本の旧海軍だからかもしれませんが…。
この考証の過程で多くのフォロワーさんから様々な情報が寄せられました。
戦艦長門・陸奥、そして重巡古鷹と軽巡大淀。

この中では大淀のみ少し様子が異なります。大淀は新しいフネなので何らかの改善がなされているのかもしれません。
さて、考証も行ったので、洗い場の製作に取り掛かります。
複雑な形状をプラバンから切り出すのは大変だなと思ったので、総ざらい図面コピーをそのまま切り取って木工ボンドで貼り付けるというヘタレ工作を行いました(笑)
次は水上機運搬軌条の設置と思って図面を見ると…シェルター甲板後端の格納庫スペースが無いことに気付きました(恥)その部分はキットではスペースがあったのですが、誤ってプラ棒などで埋めてしまっていましたorz
泣きながらエッチングノコやドリルなどを使ってスペースを削り出します。この後、格納庫の壁を立てるので、その厚み分だけ広いスペースとしました。
そしてようやく軌条設置。0.2mm幅に切った0.3mmプラバンを図面通りのラインに当てて接着しました。
次回は4番5番主砲バーベットを設置する予定です。
Posted at 2025/06/14 16:51:01 | |
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