2隻の二等輸送艦のうちもう1隻のジオラマに移りたいところですが、ここで休憩がてら別のものを作りたいと思います。
タイトルの「月光」がそれ。
ガンプラモデラーが月光と聞くとターンAの「月光蝶」を思い出すでしょうが(笑)今回は夜間戦闘機月光です。

第7次多号作戦では駆逐艦桑と竹が米大型駆逐艦3隻(アレン・M・サムナー、モール、クーパー)と死闘を繰り広げましたが、実はその直前、マニラ基地航空隊所属の月光2機が米駆逐艦を襲撃し、モール他に若干の損害を与えているので、今回はその場面をビネット化します。
まずはモールの製作。
1/700のインジェクションキットは発売されていますが、今回は1/3000でフルスクラッチします。
いつもなら実艦図面から寸法を割り出して…となるのですが、図面がないのでこちらを参考にします。

全長と全幅はWikiに書かれていますが、深さや喫水などが分からないので、やむを得ずテキトーw
プラ板や伸ばしランナーを使って作ったのがこちら。

これまで米駆逐艦を作ったのは小学生の頃の1/700フレッチャー級のみ。既にその記憶はほぼ残っていないので新鮮な気持ちで作ることとなりましたが、日本駆逐艦との構造的な違いを強く感じます。
まずは船体形状。フラッシュデッキの前半はシアーがかかっていますが、それも直線。その上の甲板室も細長い八角形一つという単純な作り。日本駆逐艦は全て船首楼型で、その上の甲板室も複数の箱に別れているので、この時点で既に日米の思想の違いが明確に感じられます。
主砲の配置もモール(アレン・M・サムナー級)は対空対水上の両用連装砲を艦橋前に2基、艦尾に1基という配置ですが、日本の特型以降の多くは対水上連装砲を艦橋前1基、艦尾2基の配置。フラッシュデッキ採用により前方への砲力強化が出来ています。
魚雷発射管は5連装2基。日本で5連装を積んだのは島風のみ。次発装填装置があったとは言え、一度の発射数は米に分があります。このあたりは発電力の違いもあるかもしれません。
レーダーやソナーについては言うに及ばず。
こうしてスクラッチしているとその構造などを考えながら作ることになり、いかにアメリカが合理的なフネ作りをしていたかを改めて実感出来ました。
塗装はいわゆるメジャー迷彩。
Twitterのフォロワーさんから様々な情報提供を頂くことが出来、それらから判明したのは、先程上げたイラストどおりの迷彩がモールに施されていたということです。
ちなみに実艦写真はこちら↓
迷彩パターンは分かりましたが、困ったのはそのためのカラーがありません。
以前はクレオスやピットロードから塗色セットが出ていたようですが、現在は絶版。やむを得ず以下のようなカラーを使用しました。
甲板:
20Bデッキブルー →ネイビーブルー(水性ホビーカラー)
5Oオーシャングレー →ニュートラルグレー(水性アクリル)
側面:
5Lライトグレー →軍艦色(1)(水性ホビーカラー)
5Oオーシャングレー →オーシャングレー2(水性アクリル)
BKダルブラック →フラットブラック(水性アクリル)
1/3000は極めて小さくてマスキングも難しいので、あまりキレイに塗り分けられませんでした。
とりあえず船ハムカツさんの1/3000松型駆逐艦と並べてみました。

やはりモールはでかいですね。
そしてビネットのベース製作。
プラバンで作った不定形の台座に石粉粘土を塗ります。
若干の波のうねりを表現しつつ、爪楊枝の頭を使って小さな波を全面に作り、さらに艦によって作られた波も描きます。

その上から青と緑を塗ってからドライブラシで白波を描き、メディウムを塗って光沢を出しました。
これで完成ではありません。引き続き主役の月光の製作に移ります。キットはこちら↓

箱を開けた時に出現する帯、そして微妙にダルいモールド。
んー、昭和の香り満点のキットだー!(軽く心踊るザクとは違う♪)
早速仮組み。

実機写真と見比べてみましたが、全体のフォルムは概ね良好なようです(機首はもう少し尖らせたほうがよいかも)。
がっつり入った太いパネルラインが気になったので、パテ埋め・やすりんぐ・サフ掛けを3回繰り返し、その後カッターナイフでラインを入れ直しました。
全体に濃緑色を吹いて細部の作り込みを行ってから、いよいよ水転写デカール貼り。
キットに同梱されていたものは古かったせいか割れやすく、特に曲面には全く追従できなかったので、主翼前端のイエローラインだけはマスキング塗装しました。
今回は飛行中を再現するのでプロペラは切り離して、納豆パックのフィルムで回転中のプロペラを表現します。
同時に上向き下向きそれぞれ2挺ずつ斜め銃を伸ばしランナーで再現。
いよいよ海と合体させたのがこちら↓
【製作の感想】
駆逐艦モールは自身久々の米艦でしたが、構造や設計思想など日本駆逐艦との違いが分かって楽しかったです。メジャー迷彩は1/3000ではマスキングにも限界があるので、キレイに塗り分けるのは難しいですね。ただ迷彩を施すと艦影の詳細が分かりづらくなるという効果が実感できたのは収穫でした。
飛行機モデルは40年以上前に作ったF4-EJとP-47以来なので全くの素人状態です。
しかも月光はググっても写真や資料がほとんど見つからず、不人気機種なのか作例も少ないです。
結局機体形状や装備は明確な根拠なき推定となり、尾翼マーキングに至ってはマニラ航空隊の記載が分からなかったのでキットのものをそのまま使うという暴挙に出ました(笑)
それでもカウル直後の平べったいダクト状のものを追加したり、スピナー径を少し細めにしたり、斜め銃を装備するなどで、月光らしさを演出したつもりです。
ビネットベースは長方形でなく不定形にしたのは、モールの行き先を絞り込むことで追い詰められてる感を演出したことと、手前の余白を削って「月光VSモール」という構図(視点)を限定させる趣旨です。
構想から完成まで実質1週間というスピード製作でしたが、なかなか楽しめました♪
次はいよいよ第7次多号作戦の大トリとなる第140号輸送艦のジオラマ製作です。
Posted at 2023/08/12 15:58:29 | |
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