
近年の模型製作はすっかり艦船中心になりつつあるザクとは違う。
そのシフトの原因の1つが旧Twitterでの艦船模型談義の楽しさがあります。そんな中で得た情報がブログタイトルのイベント。2年に1度開催され、全国の凄腕モデラーが自慢の艦船模型作品を持ち寄るというもので、今回は横須賀です。
ちと遠い…
そして私如きが参加していいのか…
迷った挙句、恥をかきに行く覚悟で参加を決めました。
そして当日。場所は横須賀市文化会館。

開場時間の30分くらい前に到着すると既に入口には出品者の行列が。私の停めた隣の車からも巨大なガラスケースに入った客船をいくつも台車に載せている様子を見て、ちょっと気後れします…
開場後、中に入ると既に多くの作品が展示されており(実は前日も展示可能とされていました)、更にはもの凄い数の参加者が。

その状況に圧倒されながら受付を済ませて自分の展示作業を粛々と行いました。

すぐ隣の卓には
「一緒に展示しませんか」と声をかけてくださったモデラーさんがいるはずですが、ヘタレ全開の私はそちらを見ることさえ出来ません(汗)
オタオタ(ヲタヲタ)しているうちに一般客の入場時間となり、展示会事務局からの説明の後、開場。すぐにたくさんの人達が山のような作品群を見学に入ってきました。しかし私の作品はササッと眺める程度で、じっくり観察される方はいません。やはりヘタレ作品と分かるのか…
では、皆様の作品を見て回るかな。
ということで皆様の超絶作品群のほんの一部↓

どれもめちゃくちゃ凄いです。
特に部屋のステージ近くにどでーん!と配置された1/72強襲揚陸艦ワスプと空母タイコンデロガは凄まじいものでした。
なんでも製作には12人の方が携わり、船体はワンボックス車に入るよう2分割されたとのこと。多数のモデラーで作るとそれぞれの作風の違いが出そうなものですが、そうした様子は全く見受けられず、むしろ細部に至るまでの丁寧な工作や塗装が見る者を圧倒します。
恐らく中心となった方のマネジメント能力が極めて高かったのだろうと推察されます。
この他の超絶作品群はフォトアルバムその1とその2にて若干のコメントとともに紹介してあります。
第12回艦船模型合同展示会(その1)
第12回艦船模型合同展示会(その2)
その後、自分の卓に戻ると隣の卓のモデラーさんから声を掛けられました。
「ザク違さんですか?〇〇です。宜しくお願いします」
「こちらこそ宜しくお願いしますm(_ _)m」
ひー、緊張するー^_^;
しかし思い切って参加を決めたのは、この場で艦船モデラー仲間を1人でも多く作るため。
勇気を振り絞ってそれぞれの卓を見て回り、モデラーさんに声掛けします。
「あのー、ザク違と言います」
「あなたがザク違さんですか!いつもツイート見てますよ」
おーっ、私は凄腕モデラーさん達に認識されているのか!?
中には
「ザク違さんの考証はすごいですよね」
と仰って頂くことも。いやいや、小坊主が長い長いお経の最初の一節をかじっただけです^_^;
挨拶を終えると艦船談義に花が咲きます。
プロモデラー春園燕雀さんとも親しく会話することができ、こっそり次回作の予定も教えてもらいました。
何人かの方からは「作品にドラマ性が感じられるのはいいですね~」と言っていただけることもありました。こうしたコメントはモデラーさん達だけでなく、お母様と中学生のお子様や、鉄道模型出身者の方からも頂いており、幅広い方々に私の作品を好意的に受け止めて頂けているのだなと実感することができました。特にドラマ性というのは私のジオラマ作りのテーマの一つであり、それが伝わっているというのは大変嬉しいことです。
他にも
「私の親族が二等輸送艦に乗っていて、潜水艦に撃沈されて戦死しました」というお話や、
「ゲームから刺激を受けたので、海外の戦艦を作ってみたいです」と言う20代と思しき女の子の話が聞けるなど、様々な方との交流もできました。
現在、第19号輸送艦の捕鯨母船時代を制作中ですが、その資料を大量にご提供いただいている飢房さんは初日に加え、二日目(わざわざ休暇を取られたそうです!)にもおいで頂き、その場で貴重な実物資料の数々を見せていただくとともに、制作の参考にと飢房さん制作の同人誌「鯨追う艦」(総ページ数184!)をご提供頂いてしまいました。誠にありがとうございます。
そして今回の出展を強く後押ししてくださった由良之助さんとの邂逅。わざわざ遥か昔に私が受賞したウォーターラインコンテストの作品集まで持ってきてくださり
「これがザク違さんの作品ですよね?」とまでお調べ頂いていたことに驚きました。
由良之助さんの作品はこちら↓

いずれも大変なこだわりで作られたもので、作品について語ってくださいとお願いすると際限なく詳細な説明が頂けました。さすが仰ぎ見るスーパーモデラーです。
んー、楽しすぎる!
これまでの人生でこれほどまでにマニアックに艦船のことを語り合い続けられたことはありません。
漫画「宇宙兄弟」でこんな場面があります。
主人公・六太はそれまで宇宙のことを話しても誰も相手にしてもらえず、そのまま大人に。しかし宇宙飛行士選抜の最終試験に残った仲間たちとは宇宙の話で無限に盛り上がれる。六太は思います。
あの頃から私は心の何処かで諦めていた。分かってくれるやつなんて誰一人いないんだと。
でもここにいたんだ。誘ったら喜んで付いてきてくれそうな連中が…ここにいたんだ。
けっこうマニアックな話もした。俺の話が通じてる。みんなの話も手に取るように分かる。
楽しい。とにかく楽しかった。
そう、ここには
こんなにたくさんの仲間がいるんです。
そう思えた瞬間、涙が出そうなくらい嬉しくて嬉しくて仕方ありませんでした。
社会全体で考えると模型を趣味とする人は極々少数(その証拠にアンケートなどでの趣味の選択肢に「模型工作」はありません)。その中で船を作る人は極めてマイノリティで、スケールモデラー達の間ですら敬遠されるほど完全に絶滅危惧種です。
しかしこんな広い会場にこんなにたくさんの同好の士がいる。こんなに嬉しいことはない…
先日、高校の同級生と飲む機会がありましたが、そこでのテーマは「仕事をいつ辞め、その後をどう過ごすか」。
特にどう過ごすかという点では趣味をどう持つかという視点が欠かせません。その趣味も1人だけのものでなく同士がいれば、より長続きし、より楽しめます。
私の趣味はキャンプと模型工作。そのうち後者についてはこの2日間の展示会で一定の目処がついたような気がします。
展示会2日目は夕方から用事があったため14時頃に撤収してしまいましたが、強く強く後ろ髪を引かれたのは言うまでもありません。
2年後の次回は島根とのこと。
うーん、遠い…。
でも出来れば行きたい…。
約30年ぶりにフジミ旧キット松型駆逐艦でWL復帰をしてから約4年。昔と比べて考証、工作・塗装技術、各種マテリアルや工具などあらゆる点で飛躍的な進歩がありますが、それについていけない自分がいるので、私はまだまだ駆け出し艦船モデラーです。
そんな私でも「有名モデラーの1人です」とまで言ってもらえたので一定の期待はされている気がしています。あくまでも自分の作風を維持しながらとはなりますがその期待を大きく裏切らない作品作りをしていきたいと思います。
現在は視力低下が酷いため一時的に艦船模型から離れていますが、できるだけ早期に復帰して次の作品に取り掛かりたいと改めて思いました。
ビバ、模型工作!
そうそう、2日目の開場前に時間があったので、三浦半島の蛭田狙撃陣地跡と横須賀市の千代ヶ崎砲台跡&海軍対潜学校の碑も見学してきました。
千代ヶ崎砲台跡(横須賀市)・海軍対潜学校の碑(三浦市)
蛭田狙撃陣地跡(神奈川県三浦市)
★備忘録(今夏の行程)
【金曜】上郷スマートICまで下道、中井PAで車中泊
【土曜】朝食後6時半発、8時に会館駐車場着し設営、17時過ぎに会場出て、三浦半島先端付近の温泉へ、立石駐車場で車中泊
【日曜】会場入り前に戦跡3箇所巡り、9時に現地入り、14時撤収後、富士宮に17時着
【月曜】焼津まで高速、袋井までR1、上郷スマートICまで高速、以後下道
Posted at 2024/10/09 21:00:21 | |
艦船模型 | 趣味