
約1年にわたる長期製作を終え心地よい満足感に包まれる日々ですが、次の作品も長期間になりそうなネタを考えているので、ここで小休止がてら潜水艦を1隻作ろうと考えました。
キットは冒頭画像のうち、伊58を使用して伊25を作ります。
伊58はいわゆる巡潜乙型と呼ばれるタイプの後期型で伊25は初期型なので、若干の改造が必要となります。大きな違いは艦橋から後ろ。

初期型は14cm砲があり、その周囲にブルワークが設置されていますが、伊58にはそれが無い代わりに殺人兵器人間魚雷・回天を搭載するためのスペースとされています。
それ以外にも甲板上の装備が図面と異なる箇所が多く見られたので、いったん甲板上の突起物をすべて切除し、0.5mmピッチで木甲板をケガきました。
艦橋後半のブルワークの厚みが気になったので、デザインナイフでカンナ掛けして薄くしました。
主砲周囲のブルワークは0.5mmプラバンで自作。ラインの出し方が難しい…
これらの基本工作を終えた後、甲板上のディテールをプラペーパーなどで図面通りに再現しました。
ここで悩んだのがカタパルト。
特に後半部にあるターンテーブルがどのような構造になっているかが、図面からも写真からもよくわかりませんでしたorz
艦橋ユニットも図面や写真を参考に作りこみます。
キットでは後半部のブルワークが一部省略されていますが、これは13mm連装機銃パーツが大きすぎて艦橋の幅に入らないため、苦肉の策としてブルワークを省略したのだろうと考えられます。実艦では後端までつながっているので、プラバンで再現しました。

今回は浮上中の場面をジオラマ化するので、潜望鏡は格納し無線楼のみ上げた状態としました。この後潜望鏡前のループアンテナや無線楼頂部付近の横桁も追加しています。
それぞれのパーツ接着に際しては先日のブログでも触れたように有機溶剤を含む製品の使用を極力控えるため、セメダインスーパーX、木工ボンド、タミヤリモネン接着剤を場面に応じて使い分けました。スーパーXは若干糸を引くので使いづらい印象もありますが、接着力が強く硬化時間も比較的短いので、大きな面積やパーツを接着する際に使うことになりそうです。
巡潜乙型は偵察機能強化のため零式小型水上機を搭載しているので、これも製作します。

キットの出来は素晴らしく無改造でも十分にその姿を再現できますが、以下の追加工作を行いました。
・下向き垂直尾翼の追加
・フロート支持脚の自作
・回転中のプロペラを再現
・主翼下に60kg爆弾を装着
ちなみにプロペラ部はコンビニ弁当のフタを2.0mmのスクリューポンチで打ち抜いたものを使用しています(みん友のチュンチュンまるさんのアイデアを拝借しました)。
また爆弾はWikiの記載を参考にしてサイズ及び塗色を決定しました。
そしてジオラマベースの作成。
100円ディスプレイベースの上に薄く石粉粘土を塗り、耳かきやピンバイスの先などで波の形を整えます。
最後に塗装についてですが、海面を塗った青、水色、白はいずれもダイソーのアクリル絵の具を使用しています。また潜水艦についても、船体などのグレーや甲板色、信号灯などのシルバーやクリアレッドなどはタミヤ水性アクリルを使用しましたが、ウェザリングは黒と焦げ茶色はアクリル絵の具を使用しました。
無論、接着の際も塗装の際も十分な換気を行い、有機溶剤を含む製品を使用したらすぐその部屋を出るということにしました。その結果、完成までに多くの時間をかけることとなりましたが、人体への悪影響はこれまでよりも大幅に低減されたと思います。
それでは完成画像をご覧ください。
伊25は長い歴史上空前絶後となるアメリカ本土空襲を行っており、その飛行機発進場面を再現しました。史実は以下の通りです。
真珠湾攻撃以降防戦一方だった米軍が日本軍へショックを与えるため、1942年4月、空母ホーネットは陸上攻撃機B2416機を日本近海で発進させ、東京名古屋大阪などを空襲し中国へ飛び去りました(いわゆる「ドゥーリットル空襲」)。
これは当時の日本軍幹部に大きな衝撃を与え、その後のミッドウェー作戦立案につながりますが、その後、同年9月9日と29日の2回、伊25による米本土空襲が行われており、大きな被害は出なかったものの「本土が空襲された」という心理的ショックは大きかったようです。
ちなみに伊25はこれに先立って米本土への砲撃も行っており、さらには4隻の艦船を撃沈して撃沈数ランキング7位もマークしているので、戦果の少ない日本潜水艦の中ではキラリと光る1隻です。
【製作後の感想】
タミヤのキットは40年以上前に設計されたものですが、安価な割には素組みでも十分鑑賞に耐えられる素晴らしいモールドを誇るので、「買い」のアイテムだと思います。
今回は簡単製作を目指したのであまりがっつりと考証を行っていませんが、若干の追加工作を行うことで巡潜乙型の初期タイプを再現できたので楽しかったです。特にウェザリングに使ったアクリル絵の具の黒と焦げ茶色が予想以上に良い効果を発揮してくれて、これまで使っていたタミヤ墨入れ塗料を使う必要がないと感じられたのは大きな収穫でした。
またリモネン接着剤も硬化時間が長めではあるものの接着力はそれなりのものがあり、流し込みタイプであることから細かいパーツの接着に活用できるので、有機溶剤対策として今後の主力接着剤として活用できる見込みが立てられたのも嬉しかったです。
その点では今回の製作は今後の製作作業のテストベッドという性格も併せ持っていたことになり、その成果も上げられたので有意義なものだったと感じます。
さて次は大作に取り掛かる予定。
気合いを入れなおして頑張ります!
Posted at 2025/03/15 10:08:31 | |
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