世間一般では評判が良かったり、売れていたりしていても、自分が理解できない車…がいっぱいあります。そこで、自分の目で確かめてみようと。果たして自分がおかしいのか世の中がおかしいのか、白黒つけちゃろうというトライ。
それにはまず自分の立場を明確にしておかなければなりません。
わかってるぜと言う方は読み飛ばしてくださって結構です。
【前置き】
自分というより、我が家は専業主婦との二人暮らし。子供はがんばったけど授かれませんでした。妻には持病もあり外で働くことが難しいのもありますが、生活に必要なお金は男がしっかり稼ぐべき、妻がそれをサポートするという考えをお互いに持ってます。とは言うものの、自分たちの二人の人生だから、家事に限らず、お互いをいたわりあいながら、出来るほうが出来ることをするのが共通認識です。ただ、妻の要望に応えるのは男の務めと考えています。よって車の運転は自分の仕事です。
自分は質実剛健を好み、燃費や動力性能を実現するためのハード、カタログで言うと諸元表に興味を持ちます。一方であれこれと欲張るのは見苦しいと考える古臭さがありますので、便利な装備がついてるとか、そういうのはほとんど興味がありません。
過剰なパワーもガチガチの足回りも必要以上にインチアップされたタイヤもいりません。レースするわけじゃないんで。ただ、方向音痴なので操作が容易なナビは欲しいです。
燃費はもちろん良いに越したことは無いけど、コンマ1km良いからこちらなんてことはありません。車に頼って燃費が良いとか速いとかより、自分の腕で何とかすべきと思うタイプです。安全装備もあればあったで良いですけど、ドライバーがまず安全を意識した運転をせねばと思っています。
信号が青になれば安全を確認した上で速やかに制限速度まで加速し、一定速度で巡航し、黄色になればショックを残さないで止まる。舵は的確に一発で決める、うまく言えないですが、荷重変動の少ない、同乗者に優しい、これが理想の運転だと思っています。
そのためには音や振動をまったくシャットアウトするのではなく、適度に車からのインフォメーションが的確に伝わってくるほうが好きです。あと、安全のためにも助手席の妻のためにも視界が良いことは絶対。ABCペダルやハンドルの感触がしっかりしていること。
以上に加えて、味がある車が良いです。
そんなわけで、うちの子(車)たちはなかなか良い車だと思っています。
もう一つ言うと、ある意味車にまつわる仕事をしているので
新たな車の価値とはなんぞやと言うのを考えないといけないといつも思っています。
【今回のまな板の上紹介】
そんな自分の食わず嫌い、第1弾はこれ。
https://www.daihatsu.co.jp/lineup/move_canbus/index.htm
ムーブキャンバスです。
【偏見に満ちた先入観とか、つまり自分がこいつを嫌いな理由…】
マクファーソンストラットとトーションビームという形式を組み合わせた足回りは30年前から変わっちゃいない、悪く言えば典型的な安物です。いっぽうでいかにも女性が好きそうなぷにょぷにょした内外装に、たとえばパワースライドドアなど自分が到底使いそうにない便利装備。おかげで車体は1トン近く。それをノンターボ+CVTという非力に見えるパワトレ、なのにお値段は初代アルトの3倍…とあっちゃ、好きになる理由なぞありゃしません。
【イントロダクション】
初めてダイハツのお店に参りました。

机の上においてあるパンフレットからしてもう拒絶されている感じで…
ただ、今回は営業マンも乗った状態で、決められた周回路を回るだけですので、大したことはできませんでした。

試乗車はオッサンにはこんな恥ずかしい色です。いや、この際、無視すべきです。ターゲットは自分みたいなオッサンじゃないんで。

内装もこちらが恥ずかしくなるような状態です。いや、この際、無視すべきです。ターゲットは自分みたいな(以下略)
【妻の意見】
まず助手席の妻の意見ですが、足元が広くてゆったりしているとのこと。また、視界もよく、空間が広くて圧迫感がなくてよいそうです。また、内装の色も陰々滅滅な黒づくめではないので、評価は高かったようです。
センターメーターも見やすくてよさそうだとか。一方、シート、バックレストの調整がうまく出来なかったようです。ただ、うちの子(車)がいわゆる古い車で、いまどきの車に慣れてないだけかもしれません。
【内装等】
シートの形はいまどきの車らしいベンチシートですが、生地がやわらかくてふわふわ、しっとりした感じです。汗かきのオッサンは通風性のある生地の方が良いですが、ターゲットは(略)
また、シートリフターがついています。これは小柄な女性にも便利でしょう。自分もこれは良いと思います。なぜなら別にコーナーを攻める車でもないし、視界を考えると、着座位置は高いほうが良いに決まってます。

あ、頭の上はスカスカにスペースがあります。自分自身には恩恵はないですが、腰をかがめるのがつらい義理の両親を乗せるときにはきっと良いでしょう。フロアも低くてフラットなので、これも足腰の自由が利きづらくなった義理の両親を乗せるとき楽でしょう。もっとも、この車を買う女性が義理のご両親、特にお姑さんと仲が良いかどうかは知りませんけど。

また、乗客のスペースをたっぷり、シートもしっかりしたものにしたためか、荷室はあまり広くありません。自転車を積んだりとかそんな無茶は出来なさそうです。
今回、ナビは装着されてませんでしたので、ナビの操作性は不明です。まぁ市販の気に入ったブランドのナビを価格コムに載ってる通販サイトで買ってつければ良いと思います。取り付け?そんなもん自分から言わせれば旦那(彼氏)がちゃっちゃとやるべきで…。メーカーのナビはもったいないと思います。スペックの割には高いと感じますし、物によっては操作性が最悪ですし、ハードのアップデートも困難でしょう。走行中は操作も出来なかったりしますし。市販のナビを自分でつければ、そんなことはありません。わが夫婦の場合、テレビを見ようとまではしませんが、妻に地図の操作をしてもらえるので助かりますぞ。
【走り】
さて、走り出すとノンターボなのに意外と加速が良いです。しかし、やはりCVTなので踏んだらびよーーーーんとエンジンの回転だけが上がるというネガティブな感覚はあります。しかし、今までに乗ったCVTのイメージと比べるとだいぶんダイレクト感があり、VVTなどの恩恵で低回転からトルクをそれなりに出しているであろうエンジンをちゃんと使ってると感じました。50キロ制限の平坦な道を+αまで加速させるには十分すぎます。これならターボは無理には要らないんじゃないかなと…まー箱根でブイブイゆわす旧来のメディアはパワーがないとか叩くんでしょうが、それはお門違いと言うもの。山道を攻める「女子」なぞ、「たぶんちょっとしか居ない」ってのが本質。そんなことより色のバリエーションを増やして、職場で陰口をたたきあうアイツと色がかぶらないほうが大事に決まってます。多分。
エアコンも良く効きます。試乗開始してからすぐ涼しくなりました。遮音性も大したものです。荒れたところを走っても路面を叩く安っぽい音とかしません。乗り心地も問題ないです。冒頭で安物だと言った形式の足回り、だけど別に問題があるわけじゃないんですよね。助手席や後ろの席で居眠りこくには良いと思います。運転するほうも別に退屈とまでは思いません。もっとも、面白いとまでは思わないですが。
あと、便利装備になりますが、先行車発進お知らせ機能…信号待ちで前に居た車が発車したら警告音を出してくれる…が一度発動しました。これは信号待ちでおしゃべりやらで怖いお兄さんに後ろから煽られないためにも便利な機能でしょう。もっとも、こういう機能に頼って運転中に化粧やらスマホいじりやらをおおっぴらにやるおばさんが居るとすればくたばれと思いますけど。残念ながら居るんだこれが…しまいにゃ交差点曲がりながら手放しで髪の毛をセット…
ちなみにバニティミラーは運転席にも助手席にも付いてます。うちの子で言うなら、マーチカブリオレは運転席のみ、スカイラインは助手席のみ、NV350はどちらにもなし。この一点を見てもどういう人間をターゲットにしてるか、わかろうもん。マーチカブリオレは女性が自分で運転することも考えた車。スカイラインは男が運転して女性は助手席でくつろぐ。(これが我が家には一番ぴったり来る)ムーブキャンバスは徹頭徹尾「女性のため」。今回試乗している間、短時間にもかかわらず、しばしば奇異の視線を感じました。そりゃ46のオッサンがこんなピンクの車に乗ってたら頭おかしいんじゃないかって思われても仕方ないです。
ただ、今回、こういう意図を持って試乗するのは初めてでもあり、ネガは無いかと探したのですが、唯一、CVTで速度の制御性がちょっぴり良くないかな?って位。これも相当意地悪な見方をしてのこと。ベタッとアクセル踏んでベタッとブレーキみたいなヘタクソじゃなければ一定の速度を保って走ることは十分可能でしょう。
【結論】
そんなわけで、偏見と先入観に満ち満ちた自分が見ても、試乗した限りでは、どこも貶すべき点がありませんでした。素直に自分の食わず嫌いを認めます。
じゃ、お前さんはこれを買うの?と言われたら答えはやはりNoです。
自分は車を趣味も含めたものだと思っているので、
所有するためにはもう一つなにか所有欲をくすぐるようななにかが必要です。
ただ、それが女性にとってはいかにもきゃわいらしい色とか形とか、シートの生地とかやはり自分に評価を避けた点にあるのかもしれません。
人類の半分は女性でありまして、ここまで徹頭徹尾女性に尽くし(媚)て売ると言うのもまた行き詰まりを見せている車業界がこの先生きのこる方策の一つなのかもしれません。ただ残念なことに上にも書きましたが自分はその評価軸を持っていません。
あと、軽自動車なのにこのお値段。この車をこの車らしく楽しもうと思ったら、おそらく中間グレードのXリミテッドSAⅡ…\1425600〜…軽自動車の最大の美点はイニシャルコストも含めた経済性だろ?という古臭いおっさんの自分には納得しかねると言うことですが、共働き、あるいは一人暮らしで働くいまどきの「女子」にはこれ位大したことないのかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
(●´ー`●)