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イイね!
2016年01月17日

6年の時を越えて、あの反則技を、再び。

一瞬の夢を、延々忘れることが出来ないというのは、よくあるものです。
脳裏に刻み付けられたそれは、深層心理の領域から、人間を衝き動かします。

自分の撮り鉄・カメラ人生においても、そんな強烈な「いっときの夢のようなレンズ」が、一時期在籍しておりました。

それが、究極の大口径望遠ズームレンズ・SONY 70-200/2.8G(SAL70200G)


既出の如く、かつて6年ほど前、彗星のように我が家に現れ、家計事情の急変によって断腸の思いで手放すまで
在籍期間、僅か半年あまり。

ですが、その圧倒するような描写は、すべてが異次元のもので
わずか半年の在籍期間は、それこそ眩い一瞬の輝きのように、鮮烈に私のカメラ人生に刻み込まれました。

手放したことを、今の今までずっと後悔し
厳しい財務事情のなか、高嶺の花と知りつつも、隙あらばと伺い続けていました。


些少ながら今年はボーナスがあり、SVXのタイヤ(&ホイール)交換とドライブシャフトブーツの交換も完了していたため
少なくとも短期的には後顧の憂いなしと判断し、清水の舞台から飛び降りました。



MINOLTA AF LENS 70-200/2.8G APO SSM
これこそが、今で言うところの「SAL70200G」そのもの


(カメラ業界には)今は亡き「MINOLTA」の、魂のレンズです。
だから、どうせ買い直すなら血統書つきのミノルタ製を。最初から、そう決めていました。

おねだん129000円。
現状のサイフの中身を、概ね引っ繰り返しました。
そのかわり一杯ものを売ったんで後から全体として若干黒字には戻しましたが(←


若干キズ等あるも、誇りある銘板は健在。
これ以上の見た目まで拘りだしたら、平均として15万近い値段まで達します。
…10万超えると、万単位が誤差に見えて困るんですよねw
でも冷静に考えてみなさいな、最安値との誤差の価格ならカールツァイス買える話が発生しますのやで?と。
予算には限りというものがあるのです。



しかし、そこはそれ、やはり旧世代に属する中古レンズ。
ましてや使い込まれたレンズなれば、当然「磨耗」「経年劣化」が存在します。
折り込み済みで、可能な限り自分で面倒をみる覚悟で買いましたが、なるほどこれは手強かった。

じつは、到着当時、このレンズは「レンズの玉はクリアだが病に冒された状態」でした。


まず「AF駆動は正常だがピント合わせが正確にできない」

このレンズは、AFであれMFであれ、AFモーター(USM)もしくはピントリングからの動きを、1本の駆動レバーを介してインナーフォーカスレンズに伝えて駆動する形態なのですが
超精密MF操作をしてみたとき、奇妙な挙動が発覚しました。

フォーカスリングを遠近いずれにでも回し、そこから逆へ回すと
回り始めの一瞬、フォーカスがリング操作と逆の距離へ移動してから、カタッという感じで戻り始める…というやつです。
戻り始めのところで、像が崩れます。
無論これでは、小刻みなピントリングの往復に追従しませんし、遠景の画面上下左右で同じ位置に無限遠きません。

一発でピンと来ました。

このレンズには、フォーカス移動レンズにヘリコイドねじが切られていません。
さながらズームレンズの如く、3点支持のカムとブッシュで、フォーカスレンズを動かす方式です。
最近この方式が増えましたね。
後述しますが、当レンズの前に購入し、惜しくも選外となった「TAMRON-SP 70-200/2.8 A001」も同様の伝達形式でした。違うのは駆動モーターだけ。

この形式の致命的な弱点は「ブッシュの磨耗は絶対避けられない」ことです。
ズームの移動は、概ね内部鏡筒をガイドレールにして移動することが多いのと、それほど急峻な操作の連続は「普通は」あまりありません。
が、常時高速のAF動作となると話は別です。ましてや当時は俊足で鳴らしたSSMです。
概ね、ズームカムブッシュの数倍の速度で劣化・磨耗が進みます。

基本、ブッシュはネジで完全固定のものであり、回転ではなくスライドで移動します。
材質はナイロンであり、滑りがよく耐摩耗性には優れているのですが、概ねこの手のレンズは常時AFで使われるのが常ですから
擦動面、というか擦動点の部分だけが擦り減ってしまいます。
カム溝に対し、ガタツキがないように設計されたナイロンブッシュは、通常、実寸ではなく僅かなオーバーサイズで収まっているためです。

あ、既に対処した痕跡がある…


あ、ネジ回した跡だ。

これは一度、交換しているってことだな。

こういうことですね。お解り頂けるだろうか…

ブッシュの一部に入った、車輪などで言うところの「フラット」というやつです。

結果、フォーカス系レンズには小さなガタが発生していました。これがまずは致命的、枕木3本分以内の精度など到底出ません。
本来ならブッシュ交換といいたい所ですが、個人でそんなものを仕入れられる方法は知らないので
「少し回して、まだ擦り減ってない新規の部位を使う」という、せせこましい修繕を施したのでしたw

いや、アホみたいな対処ではありますが、これが効果覿面。
フォーカスのガタはピタリと収まり、合焦付近でのAFの小刻みな迷いまで消えました。

マーキングして、どんだけ回したか解るようにしておきます。

これで数年は持つでしょうw おかしいなと感じたら、またブッシュのローテーションします(タイヤかよ)

てゆーかお願いだからこの形式やめて; ヘリコイドにしようよ…。


次に「レンズの取り付け軸そのものが傾斜している」

たいへんに重量の大きいレンズです。
下手な振り回し方をしていると、マウントそのものが歪みます。
多分これです。

上記の対処をしても、ピント位置が左右でごくごく僅かに合いません。
左が近く、右が遠い状態です。遠距離になればなるほど、ほんの僅かな誤差でも一様にピンが来ないのが解ります。
ライブビュー画面に発生する合焦部の液晶モアレ模様を見てると、一目瞭然だったりします。モアレが左右に僅かに移動する。
ソニーのライブビューはモアレが目視できるレベルってのが凄いです。

ボケや流れではなく、ピントの山は完全に出るので、鏡筒の歪みによる収差ではなく、レンズ全域がわずかにスイングしている状態です。

左が近いということは左へスイングしているということ。
従って、マウント面の「左」に、可能な限り薄いマウントスペーサーのジャンクパーツを、切って挟みます。

挟んだ結果のマウントの浮き具合は、目視では全くわかりません。アルミ箔のような厚みです。
注意深く指でなぞって、ようやく解るほど。

この検査は、テレ端開放でやらないと意味はありません。
何しろ、そのような状態からだと、100メートルから離れた被写体と無限遠を明確に描き分けてしまうほど、繊細で神経質なレンズなのです。

二枚挟む。あ、右が近くなった。解りやすいな…
ならば一枚で…

この僅かな差で、たちまちアライメントが狂ってしまうのです。恐ろしや。

調整の結果、ぴたり一様にピントが出るようになりました。
フランジバックは処置前からごくごく僅かに出ていないようでしたが、厚み方向へ調整してもズレるばかりだったので、これはよしとします。
そもそも用途が用途だけに、MFでしか使わないものだし。


さあ、こうして自ら調律したこのレンズ、
再び数多の被写体に吠えますw

まずは家から歩いて20分の超定番、池谷ストレートで開幕のご挨拶

100mm f3.5

疾風のようにカッ飛んでゆくN2000系

140mm f4.5

185系4連の団臨、薬王寺詣で?

150mm f4.5

アイランドエクスプレスⅡ 同じく薬王寺臨?

135mm f4

ワイド寄りも申し分なし

70mm f5

浅めの絞りでも安定感に抜かりなし

85mm f3.5

テレ端にもおよそ隙らしきものなし

200mm f3.5

まぎれもなく、あの映りが帰ってきました。
同世代の某社手ブレ補正IS入りのアレを一蹴するとまで言わしめたこともある
歴代望遠ズームレンズ中、文句なしに過去最高の性能を発揮した、あの映り。

専門学校進学当時、はじめて自分の意思で買ったカメラ「MINOLTA XE」に始まり
α7000、7700i、8700i、7xi、9xi…
そして到達した終点はなんと「α9000ハイスピードモータードライブMD-90セット」
途中コンタックスを挟んだりしつつも、やはり鉄道写真人生の大半は、ミノルタと共に在りました。
そのミノルタが、カメラ事業撤退の逆風に抗うように世に送り出した、最後の意地、吟持、プライド…魂のレンズのひとつだったのです。

現在、SONYへと受け継がれたこの光学系は
さらなる改良を受けつつ、SAL70200G2という最新鋭レンズとして生まれ変わり、今なお現役です。

あの魂と血統は、いまも受け継がれているのです。



…このレンズの前に、惜しくも選外となった
TAMRON SP AF 70-200/2.8Di (A001)の健闘も、ここに。

200mm f4


135mm f3.2


そこはさすがにデジタル専用設計、コントラスト特性には分があるし
中央部の解像力なら肉薄もしくは凌駕する。ことに200mm端での、四隅以外の描写だけならSAL70200Gを僅差で凌ぐ場合も。
また、前ボケは、こちらのが大人しく収まっている。
が、このレンズの泣き所は「画質はワイドとテレの両端が最良となり、135mm域でボケ像の乱れと周辺描写の崩れが最大となる」こと、
そして「そもそも鏡筒自体の耐久性に乏しく華奢」ということ。
同程度の使用頻度であれば内部鏡筒(ズーム部のカム)のガタが早く来るようです。画像はそれをメーカーオーバーホールした結果なので目立ちませんが、到着時はズームリングをテレ側へ押したときとワイド側へ引いたときで、著しい画質の差が発生していました。画角を決めたら、テレ側へ押して固定しないといけない状態。
但し、全般的な描写の傾向は、これが別メーカーの別設計かと思えるほどに酷似しています。弟分といってもいいかも。
そもそも設計思想が何だか似ています。インナーフォーカス用レンズの駆動する部位、動かし方に始まって、鏡筒の設計方針とか各部レンズの構成の方針のようなものが…どことなく似ているんです。
少なくとも、キヤノン・ニコン・シグマのどれと比較しても、全く似ていない。
なので、これで押し通すかどうか随分迷いました。
でも、最良となる部分と落ち込みのある部分の差が大きく、ズーム全体通しでの「均質感、安定感」でいうなら、既存のTAMRON SP 80-200/2.8 30Aのが勝っていたんですね。
ならば、これを超えてみせよ!あの時のように…というわけです。


…今度は、末永く趣味人生を共に過ごせるといいな…。(つづく 



※追記
このTAMRON SP 70-200/2.8 A001の実写結果の印象と、ここの測定データの結果は完全に一致する。
http://www.dpreview.com/reviews/sony-70-200-2p8-m15/4

SAL70200Gのデータとしてのページだが、プルダウンメニューからレンズとカメラが選べ、選択したレンズの測定結果が見られる。
これで[TAMRON SP AF 70-200mm 1:2.8 Macro]の項目を、ほぼ同様の条件となるCanon EOS D40で見ると、事ほど左様に135mm域の落ち込みがかなり大きいことが解る。

一方の御大SAL70200Gは、望遠側へ向けてなだらかに落ちる感じで安定がいい。
解像力はf4で安定し、それ以上絞っても画質はあまり変わらず深度だけが深くなる感じも、実写結果の印象と一致する。
ただ、程度の差はあるが、135mm域の周辺で若干荒れる傾向は両者に共通している。
示し合わせたように、似た描写と似た弱点を持つ、似た設計思想のレンズ…

実写測定ベースのレビューなので、たいへん確度が高いようです。





ps.こうして鉄道相手に猛威を振るい始めたMAL70200Gだがむしろ鉄道以上に真価を発揮しているっぽいのがコチラ



…正直、これを鉄道用にってのは実に勿体無い用途に終始してるとは思うw
ブログ一覧 | 写真・カメラ | 日記
Posted at 2016/01/17 20:50:04

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この記事へのコメント

2016年1月18日 22:32
ご立派なレンズですね。
その高性能を維持するのにも繊細なお手入れが必要なのですね( ゚Д゚)
そういえばこんな感じのカメラを携えた漢達をSUPER GT会場で見かけました(被写体はおとなのおねいさんでしたが)

というわけで、ネコ歩き的な運用も希望します(←
コメントへの返答
2016年1月18日 22:36
これはもう伝家の宝刀というか家宝と言っても過言じゃない気がするw
 
ネコ歩き…!
岩合さんにどこまで食い下がれるかわかりませぬが(無理w)

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