wifi接続でスマホ等のカードリーダーとして使う・但し撮影も可…という目的で、手頃で安価で小型軽量なwifi付コンデジを探るうちに、なにやら妙なものが検索に引っ掛かった。
世の中には、こんなニッチなものがあったんだと吃驚。
コンデジそのものをスマホでお馴染みAndroidインターフェイスとし
「スマホがコンデジに取って代わるんじゃねえ、お前がスマホになるんだよ!」という逆転の発想で出来た、ありそうでなさそうで結局あったコンパクトデジカメ
Nikon Coolpix S800c
…の、幻の後継機、
Coolpix S810c。
「幻」というのも、このカメラ、正規に国内発売されませんでした。
そもそも先代S800cからして、発想に当時のデバイスが追いつかない「アンドロイド端末としての基本ハードウェアの非力さ」から、「ものすごくもっさりと動くコンデジ」とか「バッテリがまるで持たない」など評価は低迷しており、あまり注目されることもなかったジャンルで、国内需要は無いものと推定されたのでしょう。
しかし、海外には一定の評価と需要があったようで
後継機が密かに外国市場に発表・販売されていたのでした。
それが、この「Coolpix S810c」
御大ニコンの国内公式HPにすら、その名前は「ありません」。
モデル末期、一部量販店で「通販のみ」少数流通したに留まります。海外パッケージに日本語説明書と国内正規保障まで付けて。
おそらく在庫整理でしょうね。
Coolpix 800cからのハードウェアの強化項目は多岐に渡る。
・バッテリー強化、およそ倍の容量を持つ
・CPUが格段に強化した
・メモリ、内蔵ストレージともに倍加
・USB電源端子がスマホ標準のマイクロB端子に、また充電中の稼動も可能に
Android端末としては、ミニマルながらも概ね要求を満たすものとなりました。
俊敏とまではいいませんが、3年前から使用している「ISW16SH」とならいい勝負。
惜しむらくは、カードスロットが標準でマイクロSDXCであることと、Bluetooth非搭載であること。
用途によっては、かなり残念なところだと思います。
カメラとしては凡庸な高倍率コンパクトで、映りも中央部はいいが周辺が崩れているなど
このクラスとしての標準的な域を出ず、中庸で特筆するものではないが
地味に先代より望遠側が伸び、24-300mm相当となっている。
あと、腐ってもSONYの裏面照射素子。ISO400程度までなら普通に実用になる。
むしろこれがカメラとしてウケが悪いのは、ひとえに
「スイッチポンで瞬時にカメラとして作動するとは少々言い難い」その操作性。
たしかにカメラですが、一旦ホームへ行ったらまるっきりAndroidなんですw
Android-OSの初期設定から始まる使い始めは通過儀礼なのでいいとして
まず、通常運用の状態で、電池を入れて起動するところから、少々特殊です。
電源を入れると、カメラの画面が立ち上がります。
通常撮影はすぐに可能です。
但し、Androidで動作してた間に「撮影」で設定した状態しか機能しない「簡易カメラ」状態です。
このとき、バックグラウンドでAndroidが起動しています。
30秒ほどすると
撮影画面の各種アイコンが「ぱたっ」と、綺麗なアイコンに挿し変わります。
これが、Android起動完了のサイン。カメラはここからフル機能使用可になります。
Android起動中のフォローを、独自のソフトウェアで補っている感じです。
電源投入の状態から、正規のAndroidアプリとして起動する「撮影」「再生」が立ち上がるまでを、シームレスに代行しています。
うまいこと考えましたねぇ…w とりあえず「Android起動しないと撮影そのものが不能」という状況は、見事に回避しています。
デジカメの面目躍如w
そしてAndroid起動後。
一般的なAndroid端末の3つボタンが右端にあり、そのまんまAndroid標準操作キーです。
ここで、ホームボタンを押すと
レンズが引っ込み、ホーム画面が現れ
このカメラは一転、素のAndroid端末と化しますw
この状況から電源ボタンを押すと、スマホ同様のスリープ状態になり
再度押しても
カメラとして起動しませんw
カメラからアンドロに乗り換え、撮った画像をwifi経由でネットに上げ、
そのまま電源を切り(正確にはOSのスリープ)、次に使おうとすると
レンズが出ないんですw
デジカメの姿をした機械の電源を押したらレンズが出ずにAndroid…
なるほど、並のコンデジユーザー層からすれば、これは違和感がある。
ここに「これはデジカメという機械である」という概念が邪魔してるんでしょうね。
無論フォローは完璧であり、Androidの動作状況如何に関わらず
シャッターボタン半押しで即「撮影」アプリが割り込み、レンズが出ます。
デジカメの面目躍如w
なお「撮影」の状態からスリープすれば、もちろんカメラ状態で起動します。
「撮影」というアプリの中断に過ぎないからです。
また、「デジカメ」という単機能デバイスに比べると、ズームやシャッターラグ等の基本動作はともかく、そのユーザーインターフェイス動作の端々は、お世辞にも俊敏とは言い難い。
再生も消去も、カメラと思って使うと、かなりもっさいです。
結局すべてがAndroid上のアプリとして動作している以上、カメラという単機能に特化して構築されたハードウェアに比べて不利なのは、致し方ないことなのです。
この辺が「思ったよりトロいうえに操作系統に癖がある使いにくいコンデジ」と評された要因でしょうか。
先代800cはハードウェアがさらに非力なので、なおのこと、この評価が現実的なものだったことでしょう。その実力の程がどんなものだったのか、機会を見て仕入れてみたいものですww
──総じて、これは決して「デジカメ」ではないです。
小型のミニマルな構成のAndroid端末に、ベーシックな高倍率コンデジの上半身を載せたようなものです。
それを理解して使えば、ものすごく夢のあるデバイスです。
なので、私はこの状態をして「スマートカメラ」と呼称します。
wifiしか持たないので、単体で通信出来ないことが惜しまれますが、それをやると電源がマッハになるのは明白ですw そこはポケットwifiなどで補いましょう。何の支障もないはずです。
で、このカメラで一番「やってみたかった」ことは…
デジカメで艦これが走ってる…www
(内臓・外部問わず電源の許す範囲であるが)暇なときは艦これを動作し
普通のスマホ同様についった常用可能
いかなる状況からもシャッター半押しで撮影可能
撮った写真をついったにシームレスに即上げ
他のデジカメで撮ったものをMicroSDなりwifi接続なりで取得・観賞することも可能
待ってました、こういうのw
個人的に最高ですw ものすごく遊べますコレ。
国内未発売という不遇に加え
いまはもうささやかな通販などによる流通も全くないのが、つくづく残念です。
ニコン御大USAでは未だ正規供給品で、そこそこいいお値段してますね。
幸い、見掛けたらそんなに高くないので、追々二号機も用意しておこうと思います。
【追記】
予備機を…と思っていた矢先でしたが
このコンセプトは近日中に、こちらに引き継がれる流れになりますね…
月末までに仕入れの見込み
http://gigazine.net/news/20120919-samsung-galaxy-camera-photokina2012/
作例とか
http://www.gsmarc.com/samsung/galaxy-camera/photo-quality-test-samples/
額面どおりこれだけ写るんなら、ニコンが勝てる要素がなにひとつ残らない0(¦3っ)っ
スマートカメラというコンセプトの、完成形といえるカメラは
かの半島大手・サムソンにありました。
(奇しくも私が勝手に称したスマートカメラというネーミングは、このサムソンが提唱していたのですねww)
すべてにおいて。まさしく「すべてにおいて」上回ります。
結局、主力は射止められなかったけど
そのコンセプトと有用性を示してくれたという意味において、このカメラは自分にとって「偉業」だったといえます。
偉大なる実験機にして希少のS810c、我が家のコレクションの殿堂入りですねw