前々から行きたいな…と思っていた
『筑波海軍航空記念館』を見学してきた。
1938年、昭和13年に建てられた旧日本海軍航空隊の庁舎が残っており、映画『永遠の0』のロケでも使われたもの。戦後は病院に転用されたり何だりした後、解体される予定だったそうだが、歴史的価値から保存されたという。
軍の庁舎という事で、四角四面の無味乾燥な建物を想像しそうなモノだが…さすが昭和初期、細かい所の造形がいちいち凝っている。
前述の映画のロケで当時っぽく仕立てられた病室などは、これが後付けの「セット」だと分かっていても建物はホンモノなだけに、何だか妙にリアルに見えた。
貴重な展示物が数多くあるのだが、個人的に一番見入ってしまったのがこの『ライトR-3350』。B-29爆撃機に使用されたエンジン。
空冷星型複列18気筒54,900cc、出力2,200馬力という当時の航空機エンジンとして最大級の発動機は構造的に無理があり、飛行200時間で交換する必要があったというのは有名な話だが…戦争の最中にこんな複雑で馬鹿デカいエンジンを何千基という単位で生産⇒オーバーホールしていたというワケか…と思うと、よく言われる『圧倒的な工業力の差』というのが肌感覚で伝わってきたというか、そんな感じだった。
折角ここまで来たので、少し離れた場所に現存する『地下戦闘指揮所』跡も見学した(※別料金と予約が必要)。戦況悪化に伴う本土防衛強化の目的で作られた地下要塞の一部だという。
内部はいかにも急拵えな感が見て取れる構造だが…それより何より、この様な狭くて湿気に満ちた場所で耐え忍ぶ事を想像するだけで息が詰まりそうになる。
隣接する倉庫には映画のセットとして使われたゼロ戦の原寸大模型が収められている。何とも平和な格納庫だ。
元々は普通の航空練習学校だったこの筑波は、戦争末期になると『特攻隊』の搭乗員を急造するための基地となっていったという経緯がある。それらの資料や当時の特攻隊員らの手記や記録も沢山あり…拝見する程に切なく、月並みではあるが、頭が下がる思いだった。
戦争の是非やら、平和の意味など語れるほど高尚な人間でもないし、そもそもそんな意識高い人でもない。ただ、せめて歴史認識だけは自分なりに正しくありたいな…と、こういうところに来る度に思う次第。
Posted at 2022/07/17 20:38:16 | |
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