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黒鉄のブログ一覧

2012年10月18日 イイね!

メーカー別 ダウンサイジング考 日産編①

メーカー別にダウンサイジングエンジンをまとめてみようというこの企画、最初は日産のHR12シリーズを紹介しようと思います。

さて、このHR12シリーズですが、
NAのHR12DEとスーパーチャージャー付きのHR12DDRが存在します。
特にHR12DDRは現時点で日本国内において、ダウンサイジングコンセプトを最も的確に表現したエンジンだと思われます。
なぜなら、「レスシリンダー(気筒数削減)」「直噴」「過給」という、ダウンサイジングの3大キーワードを全て盛り込んでいるからです。
今の所国産乗用車用エンジンでこの3つを全て取り入れたエンジンは他に見当たりません。

それではまず、ベースとなるHR12DEから解説していきます。

このエンジンは現行のマーチで初めて搭載されたエンジンで、従来のCR12型の代替として設計されました。
CR12が4気筒の1.2Lであるのに対し、HR12型は3気筒の1.2Lです。
日産が何故3気筒を選んだのか、その理由は「3気筒の方が効率が良い」からです。
摩擦部分が減るわけですから、単純に考えても摩擦抵抗が減りますが、それだけではありません。
ガソリンエンジンは、1気筒当たりの容積が400~500ccが一番効率が良いと言われています。
容積が小さすぎると、体積に対して表面積が大きくなりすぎて、せっかく発生した熱がエンジンブロックに吸収されてしまいますし、逆に大きすぎると、燃料を燃やすのに時間がかかりすぎて、燃焼室の端っこの方にいる燃料が勝手に燃え始めて(自己着火=ノッキング)しまいます。
このバランスが一番良いのが400~500ccとのこと。

そして、4気筒に対して最大のメリットとなるのが、「吸排気の干渉が無い事」です。
4サイクルエンジンはクランクが2回転(=720°)する間に全気筒が吸気→圧縮→燃焼→排気のサイクルを終えます。これは気筒数が変わっても同じです。
サイクルの順番が1-3-4-2の4気筒エンジンでは1番シリンダが排気行程を終えると、次に3番シリンダの排気行程が始まりますが、排気バルブは排気上死点後もしばらく開いている為、僅かながら1番と3番の排気バルブが開いている時間があります。
すると、先に開いていた1番シリンダからの排気が、後から開いた3番シリンダの排気を邪魔してしまいます。これが「排気干渉」と呼ばれるものです。
これを解決するには、1番と3番の排気管の集合部分を排気バルブからできるだけ遠くするしかありませんが、狭いエンジンルーム内で長い排気管を取り回すのは大変ですし、排気バルブと触媒の距離があまり離れてしまうと、排気ガスの温度が下がってしまい、触媒が充分な性能を発揮できないという問題が出てきます。
ところが3気筒なら、次のシリンダーが排気行程に移る前に排気バルブが閉じてしまうため、排気干渉が存在しません。
この為、3気筒エンジンではギリギリまで吸排気系をコンパクトにできるのです。

なので、1.2Lのエンジンで効率を追求すると、3気筒になるのは必然だったわけです。
ではなぜ今までどのメーカーも1.0~1.5Lクラスの3気筒エンジンを作らなかったのかと言えば、3気筒エンジン最大のデメリットである「振動」を嫌った事、そして何より顧客の3気筒=軽自動車=安っぽいというイメージが強く、「売れない」と判断されてきたからです。(実際、マーチにしても、同様に3気筒エンジンを積んだミラージュにしても、CMや広告で3気筒エンジン搭載!なんて絶対言いません。言ったら売れないからです^^;)

近年急激に進んだ燃費競争に勝ち残る為には3気筒が良いのは明白、しかし3気筒の小型車なんて売れるのか・・・?と各メーカーが及び腰になる中、いち早く動いたのが日産でした。
日産は、ドライバーはエンジンの縦振れに比べて横振れを感じにくく、縦振れよりも横振れの方がエンジンマウントで吸収しやすいという点に着目し、クランクプーリーとドライブプレートに重りを付けてアンバランスな状態を作って、HR12をわざと横振れするエンジンに仕立て上げました。
それでも残るアイドリング時の振動は、アイドリングストップ機能で見事解決!です。

理論的に3気筒の方が効率が良いのは証明済みですので、あとは当たり前の技術を当たり前につぎ込めば、特に新しい技術を詰め込まなくても、他社の4気筒エンジン車より燃費が良い車が出来上がるのは必然。
こうして日産は他社より一歩先に世界の流れに乗り、続くHR12DDRで過給ダウンサイジングの真髄を手中に収めました。
次回はこのHR12DDRが、ベースとなったHR12DEとどう違うのか解説していきます。
Posted at 2012/10/18 12:55:34 | コメント(1) | トラックバック(0) | テクノロジー | クルマ

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「湖西道路の4車線供用開始区間の走行映像みたけど、なんで真野IC降り口の手前で1車線になってんだよ。設計ミスだろあんなん。出口で降りる車が渋滞の原因になるんだから、IC過ぎてから絞るのが普通の設計とちゃうん?まぁ南行きの渋滞はかなり緩和されそうだからそこは良しとするか。」
何シテル?   08/09 19:32
インプとかアルトとか乗ってますが正体はスポーツ走行もできる燃費ジャンキーです。 独自の車弄り論やドライビング論を持ってるので、合わない人は合わないかもです。 ...

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