では、死にかけたニッカドバッテリーを復活させてみます。
その前にバッテリーの予備知識を・・・
ニッカド、ニッケル水素ともに言えることですが、バッテリーは過放電に非常に弱いです。要するに完全に使い切ってしまうと死んでしまいます。
通常のバッテリーセルは1セルあたり1.2Vですが、1セルあたりの放電終始電圧が0.9Vと言われてますので、例えば12Vのバッテリーは10セル、10セル×0.9V=9.0Vとなり9.0V以下になるまで使ってしまうとバッテリーが逝ってしまいます。
一応電動ドライバーにはオートカット機能が付いてますので10V前後で動かなくなります。ここで充電すれば良いのですが、大体予備のバッテリーに変えて作業を続けますので10Vまで電圧が下がったバッテリーは次回使うまでそのまま放置となります^^;
バッテリーは放っておくと自己放電しますのでいつの間にか放電終始電圧を下回ってしまいます。これを何度かにやってしまうとバッテリーは死亡します。車のバッテリーを一度上げてしまったら死亡してしまうのと同じです。これは残念ながら復活できません。
次に・・・、特にニッカドは「メモリー効果」というものがあります。ちょっとしか使ってないのに充電(継ぎ足し充電)をしてしまうと、例えば本来1000mA充電できるはずが300mAしか充電できず、満充電で電動ドライバーを使い始めてもすぐにバッテリー切れ、となる現象です。
これは例えていうと、まだバッテリーの残量が残ってる時点で充電してしまった際、300mAの充電で済むわけですが、バッテリーのセルが勝手に空の状態からの充電と認識し、それを記憶してしまい次回の充電のときからは空の状態でも300mAの充電しか受け付けなくなってしまってる状態で、俗に「不活性化」と言われているものです。実際にはセル内の電極に膜が出来てしまうことによって不活性化するらしいです。

この不活性化は「サイクル充電」によって結構な確率で復活できます。
サイクル充電は、充電と放電を繰り返すことでラジコン用の充電器にはこの機能が付いているものがあります。
矢印の「3」は充放電を3回繰り返す設定になってます。画像では0.5A充電、1.0A放電の設定になってますが、これでサイクル充電してもバッテリーが復活しない場合は、0.1A充電・0.1A放電という超スローペースでサイクル充電すると復活することが多いです。(←この場合充放電だけで2,3日かかります)
実際、不活性化していた私のバッテリーも見事復活し、規定容量+αまで充電できるようになりました。復活して活性化したら普段通り急速充電器で充電できます。
それでは実際の使い方、設定の仕方を細かく説明します。
ウチの電動用バッテリーは4つありましたが、そのうち2つは完全に死亡、残り2つはサイクル充電にて復活させました。
死亡したニッカドバッテリーは内部セル交換をしてニッケル水素仕様になってます。
ニッケル水素で説明していきますが、ニッカドも全く同じです。

セルをニッケル水素に交換しましたので容量は倍の2000mAに増えました。
ニッカドもニッケル水素も取り扱いの注意点は同じです。過放電は絶対NGです。
ニッケル水素もメモリー効果は多少ありますが最近のセルは継ぎ足し充電をしても問題ないようです。自己放電はニッカドより多いと言われてますが、元々の容量が全然違いますので自己放電はほぼ感じられません。

充電の仕方、バッテリーの活性化の仕方ともにニッカドもニッケル水素も同じです。
充電モードを「NiMH」にするだけです。
画像は充電電流を設定してます。
0.5A充電の設定になってます。通常はこれくらいでOKです。急速充電する場合は1.0Aなどお好みで^^
不活性化が著しいバッテリーを復活させるときはココを0.1Aにします。

放電電流と放電終始電圧を設定します。
放電電流が1.0A、通常はこれでOKです。不活性化が著しいバッテリーを復活させるときはココを0.1Aにします。
放電終始電圧もここで設定します。1セル1.2Vのセルでの放電終始電圧は1.0Vで、セルの内部抵抗がありますので0.9Vまで放電させればOKです(これがバッテリー的に言うカラの状態です)。これ以上放電させると死亡しますので注意してください。12Vのバッテリーはセルが10個ありますので、0.9V×10個で放電終始電圧は画像のように9.0Vとなります。

これは先程のサイクル充電モードですが、サイクルが1回になってます。
充電する前に1回放電する設定です。これが非常に重要で、充電前の放電をやるかやらないかでバッテリーの寿命が変わってきます。(特にニッカドの場合)
さらに適正な値まで放電→充電するとなぜかセルメーカー公称容量以上に充電できます(後述します)。

デルタピークの値を設定します。
デルタピークとは、バッテリーのセルが満充電状態に達したときに一瞬現れる電圧降下で、これを検出することによって充電器が満充電と認識し、充電がストップされます。
デフォで3mVになってますのでこのままでOKです。ニッカドは確かデフォで5mVだったと思います。

設定が終わったら充電を開始します。
放電→充電の設定になってますのでまず放電が始まります。
放電は9.0Vになるまで行われます。

放電が終わりバッテリーの電圧が9.0Vになると自動的に充電に切り替わります。(D←C)

デルタピークを検出すると充電が止まり、アラームで知らせてくれます。
矢印は充電された容量の値を示しています。
公称2000mAのバッテリーですが、実際は2423mA充電できました。安かったので大陸製のセルだと思いますが、公称値以上の性能を持っている中々良いセルです。
ラジコン用の充電器を使うとバッテリーの性能や寿命を最大限に引き出せる上に、不活性化したバッテリーを復活できる(場合もある)ので、一家に一台あると重宝しますよ^^
ラジコン用の充電器がなくても以下のことを気をつければバッテリーの寿命が格段に延びます。
・過放電は厳禁! 保管時はテスターでこまめにチェックを。
・ニッカドの場合は継ぎ足し充電をしない。充電前に適正な値まで放電する。
・バッテリーをしばらく使わない時は、満充電保管する。