カセットデッキ　TC-K777ES　メンテ

このところ、アナログオーディオ熱再燃？というか不具合を放っておけない性分というか。

今までアンプは接触不良ばかりだが不具合が見つかればその都度、手を入れて修理している。
アンプ修理のノウハウは得てきて、なにか起きても割と対応できるのだが、押し入れには長く保管したまま触っていないオーディオ機器がある。それはTC-K777ES　というソニーのカセットデッキで当時は最高峰クラスだった。
しかし箱に閉まったまま20年以上経って、どれだけ劣化が進んでいるのか、果たして修理可能なのか、動作確認するのが怖い。


とりあえず電源入れてイジェクトしてみる。キャプスタンはどうやら無事回っていて一安心だが、グリス固着は進んでいた。ピンチローラーが固く上下しない。


さらにヘッド基台といって録再ヘッドを固定しているプレートも動かなくなっていた。本来は再生ボタンを押すと電磁石でプランジャーに直結したヘッド基台が上がるはずなんだが。


そして早送りや巻き戻しも反応しない。リールモーターは回るのだが、その駆動力がリール軸に伝わっていない。これもグリス固着によるもの。
このあと、パーツクリーナーでグリス除去し、新しい潤滑油をしてなんとか動くようになった。


オーディオ回路は無事のようだ。が、再生しているうちテープ速度がみるみる遅くなって止まってしまう。原因はキャプスタンモーターのトルクがとても弱い。やっぱ壊れてるんかなあ。

早速ネットで修理実績の記事を見つけ、対処法を真似してみる。


なるほどー、モータードライブのTRが劣化してる事もあるんだあ。ってことで代替えできるTRを注文し交換してみた。でも直らなかった。

続いていかにも怪しげな変な形のSWがあって、ここが本来はSWの役目なので抵抗値０のハズが劣化で数キロΩほどになってしまうらしい。その通りでこれも２ｋΩほどになっていた。

SWの役目をすればいいので、ジャンパーできるようにした。するとキャプスタンモーターのトルクは回復し、止まることはなくなった。


サービスマニュアルや調整用テープを持っているので機械特性、電気特性を調整し、無事現役復帰である。
音質は当時の最高峰だけあってメタルテープで録音するとソースに近い音で再生できエネルギー感がある。

CDに比べ音質では負けるかもしれないけどアナログの良いところは、機械的な動きも加わって目でも楽しませてくれる魅力がある。これはレコードも然り。