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2023年式フレアワゴンXS/スペーシアHYBRID X感想文 - フレアワゴン

その他

2023年式フレアワゴンXS/スペーシアHYBRID X感想文

おすすめ度: 3

満足している点

1.コントロール性が高いブレーキ
2.充分なサイズをもった運転席
3.マイルドハイブリッドと低燃費
4.シフトレバーに着く便利なSボタン
5.飽くなき商品性の追求
不満な点
1.高速道路での絶対的出力不足
2.コーナリングの切り始めの鈍感さ
3.インフォメーションディスプレイ操作が煩雑
4.最廉価グレードのパワースライドドアOPT未設定
5.非防眩+固定アンカー
総評
●宿敵を超えようとする執念が育てた商品

スーパーハイト軽は名実ともに現代の大衆車である。「現代の最もポピュラーなファミリーカー」というタイトルを欲しいままにしているジャンルだ。かつての大衆車は1000ccクラスの2セダンだったが、日本国内ではいつしか軽規格にスライドドアを組み合わせた3列ミニバンの3列目を切り飛ばしたような商品が市場を席巻した。

この市場は2003年にダイハツがタントで切り拓き、ホンダがF1技術者をLPLに抜擢して追撃したN-BOXが大衆車としての地位を確固たるものにした。

アルトやワゴンRで軽自動車の新しい世界を切り拓いてきたスズキはどう戦ってきたのか。タントから遅れること5年、2008年にパレットを発売した。



スーパーハイトプロポーションに両側スライドドアを組み合わせてタントに挑んだのだが、前年にFMCを敢行した2代目タントはミラクルオープンドアを採用し商品性を高めており、まんまと陳腐化されてしまっていた。例えは2008年(1-12月)の販売台数はパレットが7.3万台だったのに対してタントは15.9万台売っていた。スペーシアは完敗だが、まだワゴンRが20.5万台と軽自動車のトップに君臨していた。

2013年に名称をスペーシアに改めて再度挑戦した。スズキがダイハツとの燃費競争で磨き上げた
低燃費技術エネチャージや、実質的なマイルドハイブリッドともいえるSエネチャージを採用したのだが、今度は彗星のように現われたN-BOXの前に敗北してしまった。



例えば2013年度の販売台数はスペーシアが13.8万台売れたのに対し、タントが18万台と勝り、N-BOXに至っては22.6万台を売って軽自動車トップに君臨していた。グリーンハウスが大きくて明るい健康的なハイトワゴンだったのだが、ユーザーからはこのことが不評だったと後に判明するのである。

2017年の2代目スペーシアはスーツケースをモチーフに内外装をトータルコーディネートし、先進安全技術と新P/Fによる軽量ボディとマイルドハイブリッドの組み合わせで燃費を磨き対抗した。



このスーツケースデザインには秘密がある。それは先代の不評点「開放感があるが、一方で不安感がある」という顧客からの声に応えてベルトラインを高くしているのである。スズキも悔しかっただろうが隣にN-BOXを並べてショルダーの位置を調整しながらデザインした事で、N-BOXが持っていた「立派さ」と「守られ感」を手に入れた。

競合を真似するだけではない。年々過酷さを増す酷暑への配慮としてスリムサーキュレーターを軽として初めて採用し、逆に冷房のスポット風が苦手な女性を意識して風を拡散させるエアコングリルを採用した事もニュースになった。ソフト・ハード共にライバルをベンチマークし、着実に距離を詰めていった。例えば2018年(1-12月)の販売ランキングはスペーシアが15.2万台と13.6万台の3代目タントに勝利する事ができた。確かにタントは2019年の全面改良を控えており、商品力が低下していたとは言え遂に悲願を達成する事ができた。しかしながら、N-BOXは相変わらず24.2万台を売ってトップを維持していた。時々トップをスペーシアがN-BOXから奪う事ができても年間ランキングではN-BOXが優位であり、2024年(1-12月)もスペーシアが16.6万台に対して、N-BOXは20.6万台を売っている。



ただし、N-BOXが昨年度累計比89%と人気を落としているのに対して、スペーシアは135.5%と追撃の勢いが強まっている。N-BOXが高いブランド力を以てトップを守り続けるのか、スペーシアがこのまま商品力強化を積み重ねて悲願を達成するのかこれからも目が離せない。



今回試乗したのは2023年12月にデビューした3代目スペーシアのマツダ版(フレアワゴンXS)だ。
「わくわく満載!自由に使える安心・快適スペーシア」が商品コンセプトである。フレアワゴンXSはノーマル系上級仕様で、子育て世代のセカンドカー、或いはメインカー需要にも応えうる便利装備が満載されている。

ターゲットユーザーは
①後席に家族や仲間、荷物を載せる事が多いユーザー
②軽ワゴン及び軽ハイトワゴンからの乗り換えユーザー
③室内の広さは欲しいが、経済的に維持しやすい軽自動車を求めるユーザー
特にノーマル系は日常の脚としての利便性・経済性に軸足を持ちつつ広さを求める人としている。

スペーシアは子育て世代だけではなく、子育て終了層もターゲットにしているが彼らは購入時に特に重視する機能として安全運転支援機能を挙げているというデータに基づき予防安全装備が強化されている。具体的には単眼カメラとミリ波レーダーに加えて超音波センサーも追加したことで衝突被害軽減ブレーキの機能のうち、交差点での衝突回避機能や対自転車事故への対応能力が上がっている。

成功した先代を引き継ぎ、今回は「コンテナ」をモチーフにしたエクステリアデザインだが、先代より少し大人しくなったと印象で先代は可愛く作りすぎたという反省があるようだ。リブをたくさん入れた箱っぽいデザインは実際に触ったときの剛性感もあり、触感による頼もしさも持っている点が面白い。



走らせてみると、スーパーハイト軽の進化を感じる。加速性能は緩慢でむず痒く苦しいものの、一旦速度が乗ってしまえば、扱いやすい。また、ブレーキの減速感は希薄なものの、コントロール性が高く同乗者の状態を揺らさないように停止できる点は、10km/hでE/Gを止めたときの挙動と合わせて同乗者への違和感を消す事が可能だ。

高速道路は絶対的な出力不足が効いてくるシーンであり、追い越し車線を元気に走るような勢いは無く、月に1回以上高速道路を走る機会があるならターボを選んだ方が良いと思う。NAではハッキリ動力不足と言い切れるレベルだ。

ファミリーがこれ一台で全てをこなす、と考えると動的性能の頼りなさの総合的レベルアップが必要だ。しかし、それ以外の運転席のホールド感とキャビンの広さ、後席の便利さや収納へのこだわりを見ているとP/F流用で手堅くまとめたスペーシア(フレアワゴン)が支持されるのも納得がいく完成度だと素直に感心した。ただし、仕様設定に関しては廉価グレードの左側だけでもパワースライド機構のオプション設定があると良い。



ライバルが存在し、販売で優位に立つために改良を重ねていくことの大切さを実感した。★をつけるなら3。例えば動力・操安・制動など絶対的レベルが低いものの、バランスが良く取れている点を評価したい。
デザイン
3
●エクステリアデザイン

3代目スペーシア(フレアワゴン)のデザインテーマは「走るコンテナハウス」である。使いやすく、自由にガンガン使い込めるユニークで頼りがいのある大容量コンテナというテーマでデザインされた。



サイドビューは上下二段の塊で構成されて、上下を隔てるキャラクターラインは車体をぐるりと一周してシルエットを引き締めるアクセントとしている。ちなみにパレットからの特徴であるDピラーが隠れるデザインは採用されず、今回は板金面を見せて力強さを訴求している。



この他、コンテナをイメージして水平ラインを複数入れる事で洗車拭上げ時の張り剛性に配慮しているが、車体を貫く長い直線が歪んで見えないように、或いはプレス成型後のスプリングバックのひずみが出ないように慎重に調整されたという。



成功した先代を継承したデザイン傾向で目新しさが少し物足りないのと、スペーシアらしさを継承する意味でDNAだったDピラーはやはり隠して欲しかった。

●インテリアデザイン



一方、インテリアは先代のフィードバックを活かし、さらに商品力強化を行っている。内装はフル液晶メーターと9インチ「スズキコネクト」が印象的だ。




道具として使い倒すという意味で助手席前は先代のスーツケース風の蓋付き小物入れに変わり、白で目を引くようにしつつ、シンプルなテーブル形状となった。コロナ禍以降、外食を控えて車の中で食事をする機会が増えたという調査結果があり、最も大きい面積が必要なコンビニのざるそばが置けるように工夫した。これだけの面積があれば、大抵のテイクアウトのランチを食べる事ができる。



ステアリングは流行の2本スポークに細い桟をつけた疑似3本スポークである点が自動車らしく見えるほかは総じて様々な要素の主張が強く、個人的にはもう少しスッキリすると嬉しいのだが「あれもこれもございます」というキャラクター設定で、N-BOXと差別化しているので結果的にはうまく棲み分けている。確かに使いやすくなっているが、先代の方が明確な主張があって好みだ。

デザインに★をつけるなら3★とする。
走行性能
3
●市街地~都市高速~ワインディング

初日は家族全員でフレアワゴンに乗った。CRSは既に取付けてあり、子供達は嬉しそうにスライドドアが空いた低床フロアに乗り込んだ。息子は自分でジュニアシートに座り、娘は私が抱っこをして車に乗せた。

ロールシェードやシートバックテーブルやUSBといったアメニティ装備が本格ミニバン並に充実している。マルチユースフラップも装備されているが、CRSで固定される我が家の子供達には宝の持ち腐れだ。



運転席からスライドドアを閉め、私はドラポジを調整した。ペダルでシート位置を決めると少々ステアリングが遠い。シートバックを立てて対応したが傍目には立てすぎに映るかも知れない。テレスコがあれば万事解決なのだが、ステアリング振動対策の関係でコスト質量が嵩んでしまうため、
チルトステアリングがあるだけでも感謝しろという事なのだろう。

インパネシフトをDに入れ、足踏み式PKBを解除した。イマドキ足踏みPKB?という指摘もあるだろうが、フレアワゴンの場合、XSにセットOPTでEPBを追加する事ができ、カスタムスタイルとタフスタイルには標準設定されている。少しでも価格を下げておきたいというスズキの意志が感じられる。



ディーラーを出て市街地を流す。少々非力だが、周りの車と同じペースで走る分にはハーフスロットルで十分対応できる。

前方で店舗渋滞があったので右ウインカーを出して車線変更を試みたが、アクセルを踏み込んでもほとんど加速しない。家族4人乗車ともなれば660ccで880kg+4人乗車は相当キツいのだろう。市街地でもメリハリをつけて走ろうと思うと、床までアクセルを踏まないと辛い場面が増える。ただ、高周波域のエンジンノイズが対策されていて乗っていて不快な程ではないのが救いだ。

前方の赤信号に気づき、アクセルオフしたところメーター内に電池のテルテールが点灯した。これは減速時のエネルギーを回生している事を示している。

スズキではSエネチャージと呼ばれていた技術だが、力行中はオルタネータの発電を止めて抵抗を減らしておき、アクセルオフで一気に発電して専用バッテリに電気を貯めておく仕組みになっている。力行中に発電させない充電制御自体は古くから存在していたが、回生して蓄電するのはエネチャージで広く普及した。

車速が下がり10km/hを切るとアイドリングストップシステムによりE/Gが止まる。感心したのは減速Gのつながりとコントロール性だ。

減速中にE/Gが切れる場合、多くの場合ブレーキを踏んでいる。この時、クリープ分がキャンセルされるのでアイドルストップしたと同時に減速Gが高まってつんのめる様な不快な挙動を示す。同乗者の頭を揺らしたくないのでブレーキを緩めると今度はE/Gが再始動してしまうというジレンマに陥りがちだった。E/Gの再始動に時間がかかるセルモーター式の場合は少しでも再始動の兆候を早めに感知しないともたつきに繋がるため、ブレーキペダルを少し緩めるだけでE/Gがかかってしまう。

フレアワゴンが優れているのは、E/Gを止めたあとも減速Gが変化せず、さらにコントロールも可能である点だ。停止直前にブレーキを抜くのも容易で同乗者に優しいブレーキングが可能だ。ただし、そもそも初期の食いつきが不足していてスポンジブレーキ傾向なのだが、ストロークが増えるに従い、減速Gも当然立ち上がってくるので、「弱めだが、調整しやすいなブレーキ」として扱える。

フレアワゴンのマイルドハイブリッドは、オルタネータをISG(モーター機能付発電機)によって瞬時に始動できるため、ブレーキ操作で早めに始動しなくて良いという利点を活かしたセッティングになっていると思われる。

停止中は回生エネルギーで電力を賄い、冷房もエバポレータの蓄冷剤によって風の冷たさを一定時間維持する事でアイドリングストップの効果を長持ちさせようとする効果もある。およそ15年前にアイドリングストップが流行し始めた頃は、フィーリングが悪く不快な印象を持っていたが技術の進化を感じた。



発進すると、マイルドハイブリッドらしくISGがモーターとして振る舞い、E/Gをアシストする。ただ、E/Gが本来発揮する出力をモーターアシストによって切り下げる事で低燃費を実現する仕組みなので電動感のあるトルクの積み増しやBEV走行をする事はできない。

大きな幹線道路に出た。信号が青になって加速させる際、周囲に伍して走るためにはアクセルを床まで踏んで加速させる必要が出てくる。後席の広さが求められている割に4人乗車を想定していないのでは?と思えるほど緩慢な加速性能だ。

メーター表示上、タコメーターが見にくくほとんど表示させていないが5000rpm位まで回して加速させると名古屋市内では周囲と同じペースで加速できる。

都市高速に乗ったが、ランプウェイの上り坂ではフルスロットルでもゼイゼイ言いながら駆け上がる感覚だ。マイルドハイブリッドと言えど、全開加速時のアシスト機能は無く、非力なCVT車特有の先に回転を上げてから車速が着いてくる感覚である。



都市高速の合流はタイミングと瞬発力が必要なのでフレアワゴンの性能ではギリギリ不足という感覚だった。都市高速でよくあるRが小さいカーブでは、一般的なタイミングでは切り遅れてしまい、後追いで操舵すると大きくロールする事が視覚的にも分かる。前後スタビライザーが備わっているがロールは大きく、グラッと揺れる。早めに操舵を開始してゆっくりロールさせながらコーナリングすると急にグラッとこないため同乗者にも優しい。



家族が寝静まったあとに走らせたワインディング路では、早めの切り始めさえ意識できれば曲がらないという印象には繋がらず、広域農道でも意外なほど元気に走り抜けていく。ステアリングを大きく切るようなシーンではドライバーの胴体が遠心力で振られるが、一見平板に見えるシートのサポートが意外によく心地よいのは嬉しい発見だった。しかしあと一歩、ステアリングのレイアウトが悪く、手を持ち変える際に胴体がシートから離れるのが残念だ。



非力なのでほとんどアクセル全●で車速を維持しながら(以下略)。特に褒めたいのはそれほどワインディングを元気に走らせながら、路面の荒れたところを通過してもドカンというショックが入らない点だ。橋の継ぎ目を超えただけでワイパーが作動した初代タントとは隔世の感がある。ただしN-BOXと比較すると、構える事無くさらに自然にワインディング路を走れたので残念ながら絶対評価としてフレアワゴンは一歩譲っている。
乗り心地
4
●山道~高速道路

翌日、息子を乗せて代車の返却がてらロングツーリングに出かけた。2名減るだけでフレアワゴンの走りは「遅くてヤバい」レベルから「遅い」レベルに格上げされた。

相変わらず、信号ダッシュではアクセルを深く踏み込まねばならないし、マイルドハイブリッドのアシスト感も感じられないのは同じだがフレアワゴンなりの低速トルクで走らせる事がし易くなってきた。



息子の要望に応えて山奥の廃線跡を見に行った。3ケタ国道を走らせて時としてヘアピンカーブに出くわしながらフレアワゴンは急なアップダウンを1時間くらい走らせたのだが、この際に便利なのがシフトレバー本体横に設定された「Sモード」で
ボタンを押せば昔のO/D OFFの様に登坂性能の維持と降坂時の車速増加を抑制する。CVTがプーリー径を油圧で制御する仕組みゆえ、タイムラグがあるのが普通だが遅れ感なくレスポンスよくSモードに移行するのは気持ちよかった。急坂を下る際のLレンジも変速が速くCVTの進化を感じた。ブレーキの減速度が頼りないので積極的にSモードを活用する事をオーナーの皆さんに推奨したい。

その後高速道路へ。

全開加速させながら、走行車線を走らせる。ちなみに0-100KPH加速は参考データながら26秒程度と現代の車の中では相当遅い部類だ。



NVに気を使った形跡が見られ、サイレンサー類が配されているだけで無く、フェンダー後端塞ぎを行って空調性能やE/G透過音対策をしっかり行っている効果なのか甲高い音が目立たないNV対策も功を奏して余計遅く感じてしまう。

スズキが自然吸気向けに開発したR06D型E/Gは熱効率を追って急速燃焼を採用しているが、急速燃焼で先行する某社では低燃費だけを追究し、燃焼加振力を見て見ぬ振りした結果、E/Gの音色や音の大きさに対して気になるレベルの車種が少なくない。

スズキも2020年に2代目ハスラーでR06D型を投入した際、E/Gノイズが問題になり吸音材、制振材、E/G防音材に加えE/GマウントのBRKTにマスダンパーを追加するなど、「小・少・軽・短・美」を大切にするスズキにとっては苦しい選択を迫られていたことから、改良型E/GではE/G本体の改良によって追加部品を減らす為に対策を行っていることをスズキテクニカルレビューVol.50で知った。



実機44カ所の振動をベンチ試験によって取得し、①クランクプーリとクランクベアリングキャップが同期してクランク軸方向に伸縮する動き。
②オイルポンプケースのE/Gマウント右取り付け部が大きく振動・・・という2つの現象見つけた。

次にコンピュータを用いた計算(CAE)によってE/Gベンチ試験の結果と同じ振動を調べたところ、クランクシャフトのコンロッド接続部両サイドのウェイト部の口開きとE/Gマウント右はマウント全体が上下に変形するモードであるところまで特定された。

基本設計を大きく変えられない中でクランクシャフトを改良し、ピン径を4.5mm拡大し、ピン幅を2mm縮めた。さらに、ベアリングキャップの剛性アップを1・2番に限って実施してクランクシャフト保持性能を高めた。さらにE/Gマウント固定点の締結を追加し、トポロジー解析(最適化手法の一つ)を使って補強リブの配置を決めた。

その結果、従来型E/Gと比較して最大5dB程度振動レベルを低減し、騒音レベルも人が聞いて違いが分かる2dB程度静かになっているという。

「世界最高の熱効率を達成したんだからあとは知らないよ」で済ませずにE/G単体の改良によって小・少・軽・短・美を実現しようとするのはセルシオの源流対策と同じく、正攻法である。

フレアワゴンに乗っていても走り出しからステアリング振動が少なく、全開加速させても甲高い音が響かない点に感心していたが、人知れずこの様な地道な対策を行っていたとは恐れ入った。なお、走り始めの速度域(低周波)ではエアバッグがダイナミックダンパとして働いているのかステアリンググリップ部が振れない代わりに、エアバックが暴れまくっていた(笑)



高速道路での印象に戻ろう。前方に遅い車が居てアクセルを離すとすかさず回生を行いバッテリー容量が上がっていく。再び車速を上げる際にモーターアシストが働い燃費悪化を防ぐ。

高速道路は追い越し車線をカッ跳んでいく事はほぼ難しいが走行車線を淡々と走り、上り坂では全開で車速ダウンに抗うような走り方であれば案外走れてしまうのが意外であった。せっかくなので120km/h制限の路線を走らせてみた。グッとアクセルを踏み続けると120km/hに達する。120km/hでもステアリングが横風で取られることなく素晴らしい直進性を見せてくれ、後輪駆動車との違いを強く感じられた。

このまま走り続けることも可能だが、さすがにE/G回転数が高すぎる印象でひと区間走らせた後は大型トラックの後ろを95km/hで追従した。ブレーキの弱さに関してはアクセルオフするだけで十分減速するほか、Sモードも活用すればSAに入る40km/h以下でしかブレーキを使う機会がなかった。

走行性能をまとめると、動力や制動は余力がないものの、ドラビリや制動時のコントロール性のバランスが取れていて大人しく走ればまとまりがある。操縦性は初期応答遅れ感が強く慣れを要するが、NV性能は競合比で秀でていた。



動力・制動の絶対的悪さを考えると動力性能は★2だが、バランスのよさを評価して3。乗り心地も角が丸く、スーパーハイト軽としてNVのバランスもとれているの★4とする。生活県内の足として、市街地から郊外のバイパスレベルまでの利用が最も輝くだろう。
積載性
3
スーパーハイト軽はその積載性がもウリで、例えば雨の日に塾に行った子供を迎えに行き、助手席に子供を載せて後席に自転車を乗せて帰る、といった普通車のミニバンがやっと行えるような使い方ができるという点も重視されていた。スペーシア(フレアワゴン)でも自転車のタイヤのガイドになるような溝がバックドアオープニングガーニッシュに掘られている。しかし、4人乗車している際の荷室は床スペースが限られており軽セダン並しか確保されていない。



さらに荷物を積むにはRrシートを前にスライドさせる事もできるが、実際には電動スライドドアを活用してリア席足元にポンと荷物を置くシーンが多いようだ。実際にフレアワゴンに週末の買い出しで買ったものを置いたが、全部置けなかっただけで無く、全高の高さ故バックドアの後ずさり量が多く、写真のように壁に対して前に止める必要がある。また、バックドアを解錠するためのハンドルが右手で触った場所にしかスイッチが無く、
左利きの人への配慮は足りていなかったと感じた。



スーパーハイト軽の見せ場は後席の数値的な広さと快適性であるが、スペーシアの飛び道具は「マルチユースフラップ」である。マルチユースフラップとは、回転式ヘッドレストのような機構をシート座面に設けた装備の事でミニバンで採用例の多いオットマンの簡易的な機能と、後席座面に置いた荷物の急制動時の飛び出し抑制機能を併せ持っている。



比較的安価に機能が追加できるというスズキらしいアイデアが感じられる新装備だ。

実際に使ってみると、オットマンとしてこれが便利かと言われるとそもそもオットマンをありがたいと思わない私には特に欲しいと思われるものはないが、厳しい競争の中で「これがあるからスペーシアにした」と言われるような特徴が求められており、スペーシアはアイデア装備の採用に余念が無い。



ポケッテリアに関する意欲も並々ならぬものがあり、スマホが置けそうなメーターバイザー上の凹み、リップが置けそうなドアトリム上部の凹みなどそこにはひらめきが詰まっている。助手席下のバケツはワゴンR以来のスズキの伝統芸である。



ペットボトルも紙パックも置けるカップホルダーも良いが、小物がキレイに収まる引き出しはティッシュボックスの特等席にしておくのは勿体ない程だ。

後席に座ると、アームレストに肘が置けて目の前の前席シートバックにもスマホが入り、テーブルがつき、ロールシェードで日差しも遮ってくれて、USBジャックもあるからスマホやタブレットも楽しめる。



さらに頭上・膝前スペースはこぶし5個以上と文句無しの寸法関係だが、着座姿勢そのものはヒールヒップ段差が小さく、余り快適ではない。いわば、床の上に座椅子を置いて脚を伸ばしているような感覚だ。そもそもスーパーハイト軽においてオトナがキレイに座れる機能は求められていないのでぱっと見で「うわー便利そう」で思考停止し、あとは畳む事を優先している感じが原理主義的な私には寂しさが残ってしまう。



もっとも、我が家の場合はチャイルドシートを載せてしまうので、正直その出来映えは、いまの我が家にとっては一切関係が無いが・・・。
燃費
4
カタログ燃費はWLTCモードで23.9km/L。軽量な廉価仕様では25.1km/Lを記録している。元々スズキは低燃費技術にこだわっている傾向があるが、軽量P/Fやマイルドハイブリッドによるアシスト効果と回生によって競合するN-BOX(21.6km/L)やタント(22.7km/L)よりも秀でている。

スズキは真面目に車体を軽量化し、燃焼を改善し、無駄なエネルギーロスを減らす事で良好な燃費を達成している。動力性能的には極めて大人しいものの、運転フィーリングやNV性能に対して悪影響を与えていない点もなかなか好ましい。



今回の試乗では419.4km試乗したが、燃費計の指示は23.1km/Lを指していた。燃費計が正確だとするとカタログ燃費達成率は96.7%とかなり高い値を示す。以前試乗したN-BOXの場合、燃費計で17.8km/Lを指しており、カタログ燃費達成率は83.9%だった。タントファンクロスの場合は燃費計で17.1km/L、達成率は78%だったのでスペーシアの燃費の良さは自信を持って良いと判断できる。



個人的にはN-BOXの燃費でも特に悪いとまでは思わないが、実燃費(メーター値)を根拠にワンタンク航続距離で比較するとスペーシアの623.7kmに対してN-BOXは480.6kmと差が開いてくる。
例えばN-BOXなら東京ICを起点に小牧ICで折り返し、袋井ICまでたどり着けるところ、スペーシアなら御殿場まで走る事ができる。(計算上、大井松田IC手前でガス欠)

これくらいの航続距離の差があると燃費性能の差は決して小さくないと感じられる。

背が高く、空力的に不利であるにも関わらず、高速道路でも燃費が良かったが空気抵抗低減にも力を入れており、例えばバンパーコーナー部付近のベゼルに突起を設けて気流を意図的に乱した上でコーナー部の剥離を抑制させたり、E/Gルームから噴出する気流をタイヤハウスに流す事でホイール付近の整流を行い空気抵抗を低減したという。

また、スペーシア(フレアワゴン)は880kg(最軽量で850kg)と軽い。競合するN-BOXは910kgでタントは880kgと並ぶ。スズキは先代で開発したハーテクトP/Fを継承し、骨格を綺麗な稜線で繋いだ。ねじり剛性を同等に抑えつつ、フレームワークの工夫でホワイトボディ重量を先代の228kgに対して216kgまで12%も軽量化したのは偉大だ。

軽量化の具体的手段は、超高張力鋼板(980MPa材以上)採用率を16%から18%に増やして、その分板厚を下げているという。



一例としてA/A'ピラーインナーが従来5点だった構成部品を1470MPa材(引張り強度1470MPa)一枚を室温で成型するという難度の高い加工を日本製鋼・ベルソニカと共同開発を行って採用した。部品を一体化すると、繋ぎ部分の構造・打点が不要になるため、軽いだけではなく、素性として強くなる。結果得られる35%の軽量化を達成するために型強度や遅れ破壊などの課題を地道に対処している。

参照元のスズキテクニカルレビューNo.50によれば運転席と助手席側の材質に差がつけてある事に気づいてしまった。



(D席材質/P席材質)
・A/A'ピラーアウターUPR 1180MPa/980MPa+270MPa

・A/A'ピラーインナーUPR 1470MPa/980MPa

・A/A'ピラーアウターLWR 1180MPa/980MPa

・A/A'ピラーインナーLWR 980MPa/780-340MPa

・サイドシルアウタ    980MPa/780-340MPa

このようにNCAP等で公的評価のある運転席側と助手席側の衝突性能に差がつけられている点はいただけない。過去にはホンダフィットでこの様な対応を見た事があるが、個人的には構造上の制約がないのなら評価される際の衝突側のみではなく、反衝突側にも同一構造を織り込んで貰いたいものだ。

横道に逸れたが、燃費性能は素晴らしい。燃費だけなら5★でよいが、軽量化手法が気に入らないので4。スペーシアに乗る人全員が助手席側が大きく破損する衝突をするわけではない。それよりも毎日の維持費に関わる燃費をよくするのだというポリシーなのだろう。軽自動車という枠内で全てを両立させる事はまだできておらず、どこかに目を瞑らないと行けないのが現状らしい。

クラストップのカタログ値の9割以上の達成率で走れるのであれば大変素晴らしいが・・・・・・。
価格
3
スペーシアとフレアワゴンの価格は下記の通りだ。基本的に同一バリエーション、マツダ版は若干値付けが高く、オーディオが標準化されているグレードでは価格差が大きい。



スペーシアにはカスタムの廉価仕様(ハイブリッドGS)があるのは特徴的だ。

自宅近傍や郊外近郊を走るだけのセカンドカーとして使うのなら一番安いハイブリッドGを選んでも充分だろう。どっちみち高速道路を悠々走る能力は無いのだから。

ところが、最廉価の嫌らしいところは両側のパワースライドドアがOPTでも備わらない点である。せめて左側だけでもMOPにしておけば良いのだが、敢えてそれをやっていないと言う事はユーザーの覚悟を問うているのだろう。

上級のハイブリッドXは+17万円でチルトステアリングや両側スライドドア、ディスプレイオーディオやシートヒーター、サーキュレーターなどの後席のアメニティ装備が備わる。

競合するN-BOX(173.9万円)には左パワースライドドアが標準で着いているものの、スペーシアハイブリッドXにはN-BOXのコンフォートパッケージ相当のアイテムが最初から着いているので170.1万円という価格には一見優位性があるあたりに工夫がある。一方、上級指向のN-BOXの場合はEPBやアダプティブクルコン、車線維持支援が標準装備されているが、スペーシアの場合はセーフティプラスPKG(6.6万円)で追加装備しなければならず、便利さも安全性能もと言い出すとスペーシアはN-BOXよりサーキュレータやマルチフラップ分高価になる。

スペーシアは今やスズキの中では稼ぎ頭になったのでそこには収益最大化のためのひと工夫(=いらん事)が盛り込まれている。



せっかくなのでスズキの代表車種の開始価格を比較してみたが2022年~2025年の価格の上がり方が顕著である。我々の手取りは何も変わっていないが物価高のあおりを食らっているのは庶民のゲタを自認するスズキの軽自動車でも同じらしい。

試乗車はマツダフレアワゴンXSにオーディオのMOPが着いており、2トーンカラー仕様のため税込本体価格は197.2万円と、かつての上級小型車に匹敵する価格帯に位置する。2000年頃ならば8人乗りの2Lミニバンに手が届く価格である。イマドキ安いとみるべきかどうなのか・・・。

仕様面で更にコメントするべき内容としては、プライバシーガラスがあるとは言え防眩ミラーが欲しい。また、様々な体格の人が乗る車だからこそアジャスタブルベルトアンカーを標準装備するべきだ。

価格は★3。最廉価グレードの冷遇っぷりと、N-BOXよりお買い得と見せかけてそうではない点に疑問符がつく。

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