![SKYACTIV急浮上! SKYACTIV急浮上!](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/024/829/709/24829709/p1m.jpg?ct=cd65cd7ef3dc)
マツダのSKYACTIVが”SKYテクノロジー”と称して世に出たのが2009年のモーターショー。
ボクがホンダのインサイトの購入を検討・断念した直後の9月だった。
SKY-G、SKY-D、SKY-Driveと合わせ、純ガソリン車でリッター32km/lを実現するコンセプトカー『清(きよら)』が披露された。
マツダを応援している身として、そしてハイブリッドカーの購入を検討した直後でもあり、この出展には”おっ!”と思った。
特に次世代ATを開発?ということは「マツダがDCTを?」と色めき立ったのだが、「従来型のトルコンATをベースに・・・」との説明に、ひどく落胆してしまった。マツダよ、お前もか。。。
実はこのとき、マツダの正式なリリースをボクは読んでいない。その
リリースのSKY-Driveの最後に記載された「デュアルクラッチトランスミッション並みのダイレクト感を実現」という文言を読んでいたら、その後のSKYACTIV-Driveに対する期待は、全く違っていたと思う。
とにかく、従来型ATを改良と知ったときから、ボクは興味の対象から外してしまったのだ。
とは言え、マツダが画期的なレシプロエンジンの開発を進めているという事実は素直に嬉しかった。
マツダといえばロータリーというイメージであり、レシプロエンジンに関してはそれまで"華"が無かったと言わざるを得ない。世界で唯一、ロータリーの量産化に成功したメーカーである。その開発陣に技術力が無いワケはない。ミラーサイクルエンジンの実用化など、トピックはあったのだが、しかしイマイチメジャーに成り切れていなかったことは事実だろう。
翌2010年の10月、
マツダ・グローバル・テクノロジー・フォーラムの記事を読んだ。webCGの
試作車の記事も。
要すれば、SKY-Gは洗練されるもインパクトはいまひとつ。SKY-Dは革新的であり、更にシャシーの性能向上が著しい。全てを搭載したモデルが出る2012年が楽しみである、と。
この記事を読んで、ボクが何より興味を持ったのはSKY-Dである。
ホンダもi-DTECというディーゼルを開発、三菱も新世代ディーゼルをやっている。最新のディーゼルはターボが前提であり、低回転域からガソリンエンジンでは考えられないような大トルクを発生する。残念ながら日本国内では諸々の事情や誤解もあり市場が消滅状態だが、もし発売されるならこの低中速域からの大トルクは是非味わってみたいと思うところだ。
しかし、市場動向からはそれも期待薄。ホンダも一時は導入を検討するも、ハイブリッドへシフトし導入は見送られてしまったし、三菱もRV系以外への展開は難しそうだった。
と、ここでもSKYACTIV-Driveはボクの注目を浴びることなく終わる。
SKY-Dの国内発売が難しければ、とても購入対象には入って来ないところだ。
潮目が変わったのは今年2011年9月初旬。
DB8の車検が終わり途方に暮れていた(苦笑)時期である。
8月から2012年発売予定のフルSKYACTIV一号車のCX-5、9月にマイナーチェンジするアクセラなどの情報がポツポツとネットに上がっていた。
そしてとある日、たまたま"SKYACTIV"でググッたときに見つけた
Car Watchの記事である。2010年10月21日の記事だから、一年弱も前のモノであるが、SKYACTIVテクノロジーの詳細が紹介されている。そう、ここに至り初めて、SKYACTIV-Driveの詳細を知ることとなった。
ボクにとっては、全くの盲点だったと云わざるを得ない。完全に見落としていた。
特に目を引いたのが、CVT、DCT、ステップATの長所短所を比較したこの表である。
![](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/userstorage/000/001/503/643/c25149de99.jpg)
目から鱗。
ボクはマツダがDCTの開発を行わないことに落胆したが、マツダはDCT含めた各形式のATを比較検討した上で、あえてトルコンATで理想のATを追求する道を選んだのだ。
この事実はボクにとっては衝撃的だった。
ボク自身、DCTが理想のATだと思っていたワケではない。頑なだった理由は、エンジンと駆動輪を直結するソリッドクラッチに価値を見出していたから。既に日本では新車市場の数%に満たないM/T車に乗り続けている理由もそこにあったワケで、善し悪しの問題ではなく、好き嫌いの問題だ。
それがマイナーな価値観であることは否定しない。しかしそれを得られるATがDCTしか無い以上、その他のデメリットがあってもDCTが欲しい。それだけのことだ。別に理想のATを欲していた訳ではなかった。
ところが、マツダはボクが忌み嫌うトルコンを使って、DCTすらやっつけられるATを目指すと云い、目標達成の目処が立ったと云う。
ホントか?
本当にDCTを上回るばかりか、あらゆる形式を凌駕する理想のATが、彼らの言うステップATベースで可能なのか?
発進以外の全域をロックアップするという例は、レクサスIS-Fの8段ATで既に実績はある。しかしあのクルマは相当に特別なクルマであり、同ATをトヨタは他車種へ展開していない。メルセデスも発進装置をトルコンから湿式多板クラッチに置き換えたATをSLのAMGに設定したが、これも一部の特殊なモデルのみの採用だ。メジャーになれない何らかの理由があるのか?ボクには判らない。
結局、DCTには敵わないのでは?などと勝手な想像をしていた。
しかしマツダは「デュアルクラッチトランスミッション並みのダイレクト感を実現」と明言した上で、総合力ではこれを上回るというのだ。そして、今後のATは全てコレにすると。
ここでボクの興味は、遊星ギア式トランスミッションの変速メカニズムに移る。遊星ギヤによる減速機構は理解している。問題は変速機構である。遊星ギアはサンギア、遊星ギア、リングギアの三要素の内、1要素から入力、1要素を固定することで残りの1要素から出力を得られ、減速もしくは増速を行う。それは解っている。じゃぁ変速はどうするのか?複数のギアセットがあり、1速から2速、3速と切り替えるとき各ギアセットを、その各要素を何でどう切り替えるのか?
情け無いことだが、トルコンATを嫌っていたためその機構に関する知識が頭に入っておらず、肝心なことが解らない。
直ぐに本屋に赴き、心当たりのあった情報誌を調達し、むさぼり読んだ。
イケる!
遊星ギア式ATの構造上、理論的には
・発進時以外、全速度域においてロックアップを行うことは可能
・ロックアップを解除しなければ変速出来ない構造ではない
・DCTに匹敵する変速スピードとて不可能ではない
との結論を得た。
SKYACTIV-Driveに対する関心が一気に高まる。真に急浮上である。
くしくもこの「発進以外、全段、全域ロックアップすれば、M/TのようなダイレクトなA/Tが出来る」というアイディアは、2002年にボクがホンダのワイガヤルームに投稿した内容そのものでもある。
まさか10年の歳月の後に、それを実現してくれるメーカーが現れるとは。しかもそれがマツダとは。
次の興味は、謳い文句通りの性能が実現しているか?要は出来がどうか?である。
程なくマイナーチェンジするアクセラにコレが載るという。これはもう、速攻で試乗にいくしかあるまい。
もし、SKYACTIV-Driveの出来が期待通りであれば、、、
来年の春まで待って、CX-5を買うことを真剣に考え始めた。
この時点で、SKYACTIVの採用が限定的なアクセラを購入する気は、ハッキリ言って無かった。
買うならフルSKYACTIVである。もし、SKYACTIV-D塔載モデルが出てくれるなら、
SKYACTIV-D + SKYACTIV-Drive + 4WD
で次期愛車はキマリ!である。
ところが、一旦見えた光明は、一週間と経たずに遮られてしまう(T_T)。
フランクフルトモーターショーで明かされたCX-5のボディサイズは、全長4540mm×全幅1840mm×全高1670mmである。これでは、マンションの機械式駐車場に入らないのだ。
許容サイズは全長4700mm×全幅1750mm×全高1550mm。車重は1600kgまで。
今のご時勢、この全幅1750mmがことごとくネックになる。実際は現行BMW3シリーズがギリギリ入ったので、カタログ上1800mmくらいまでなら何とかなるのだが、車検証に175cmを超える記載があると、管理会社とモメる可能性がある。厄介なハナシである。
正直、今のマンションを購入した10年ほど前には、ここまで多くのクルマの全幅が175cm以上に広がるとは考えていなかった。
とにかく、CX-5がダメとなると、愛車選びは振り出しに戻るが、SKYACTIV-Driveの出来は確認しておくに如くはない。
9月末の発表を待って、近くのディーラーに試乗に向かうのだった。