今回、ノルドリンクさんからブレーキパッドの残厚の左右差について情報があり、引き摺りのチェックを含めブレーキチェックをするように勧められました。
ブレーキチェックを実施するにあたり事前ENDLESSさんに質問をしたところ下記の通り回答を得ましたのでご興味のある方にお伝えします。
【2021,2,7ノルドリンクさんから連絡いただいたパッドの残厚】
Fr左 7.0㎜
Fr右 10.5㎜
Rr左 13.5㎜
Rr右 14.0㎜
※フロントのみENDLESS CC-Rg 使用,富士のレーシングコースを4本走った後の厚さです。
【ENDLESSさんへの質問と回答】
お問い合わせ頂きました件ですが、下記ご参照下さい。
■Q.①パッドの摩耗に左右差がありますが許容の範囲内か?
①パッドの摩耗差ですが、富士だと左側の温度が右側よりも高い傾向がありますので、それでだと思います。
もちろん車両のセッティングや材質による違いはございます。
CCRgは、今までご使用頂いてた材質と同じセミメタ系のパッドになりますが、MX72,MXPLに比べ、踏力に応じた効きとコントロール性を持たせてある材質で、
ローター表面をガリガリ削りながら制動させる材質ではなく、ローター表面を滑らせて制動させるイメージの材質となりますので、ローターとの接触時間が長めになるかと
思われます。その分温度も上がりやすいかと思います。
また、車両的にも右側、後輪の荷重が抜けやすくなった所で、左フロントにその分の荷重がかかってしまった事が、起因かと思われますのでこの厚さ違いは
許容範囲かと思われます。
こちらも条件によって違いますが、今回走行頂き、タイムが出ない、パッドフィーリングが合わない等ありましたら、MXPL材などの方が、らっさん様のドライビングスタイルに合ってるのではないか?と思われます。
もちろん材質による違い、タイヤのグリップ性能、車両セッティング、外気温,等で、状況は変わりますので、ご理解、ご了承頂ければ、幸いです。
■Q.②パッド残厚の左右差の原因に引き摺りを考えた方がいいか?
②キャリパーの引きずりはO/Hご依頼いただいた際も確認してますが、ございませんでしたので大丈夫だと思われます。
シール類を新品にしてますので、シールの角がピストンの動きとなじむまで、多少きつめとなりますが、引きずりを起こすようなレベルではないのでご安心下さい。
チェックとすれば、車両をジャッキアップ後ブレーキ掛けずにローターを回してみて、擦ってるか? を見て頂ければと思います。
■Q.③キャリパーが開いて今回の摩耗差を招いた可能性はあるか?
③『キャリパーが開く』という事はございます。しかし、お使いのキャリパーが、開いてるか?と言われると、素材や、モノブロックの特徴からしても現状はないとお考えいただいて良いかと思います。
もちろん新品時から比べれば、経年劣化、高負荷熱等により開きやすい条件が揃いますが、もし、交換が必要な程開いていたら、
制動性が安定せず、落ちてきてしまいますので、走行中に何らかトラブルが発生してたかと思います。
■Q.④開いたキャリパーは交換が必要か?
④開いたキャリパーの交換についてですが、仮に開いてしまってるのでしたら、交換をお勧めします。
前途申し上げました様に、ブレーキシステム制動、性能性の低下の起因になってしまいます。
■Q.⑤キャリパーの寿命に対する考え方は?
⑤キャリパーの寿命の考え方ですが、ユーザー様それぞれですので、『〇〇年経ったら交換してください』とか、『〇〇km使用したら交換してください。』と明言はできません。
目安としては、キャリパーの色が変色したり、前途に挙げたように、開いてきたり、パッドの偏摩耗が多発したり等が、目安かと思います。
ホースはゴム製ではないので、数年での交換を目安に実施頂ければ幸いです。
以上となりますが、ご参照頂ければ幸いです。
厚み差は許容範囲とは言え、摩耗が薄ければ、熱伝導率も上がりますので、次回走行時に同様の現象が加速化が懸念されますので、
作業頂いたショップ様とご相談頂き、左右のパッドを入れ替えてご装着頂き、走行頂ければと思います。
もちろん何かございましたら、検品等もさせて頂きますが、お時間を頂くようになりますので、ショップ様とご相談頂ければ幸いです。
今後とも弊社製品のご愛顧頂けますようよろしくお願い致します。
【今後のキャリパーとのお付き合い】
強度的に降伏した金属は温間のみならず冷間でも開きっぱなしになるのでしょうか?温間のみ開くってなると検証作業をやる冷間時の際は不具合が見つからないのではないか?
とも思ったりします。
自分がサーキットで踏んだブレーキペダルの感触と停止する動作の感触を確かめて決めるもんなんでしょうか?
そもそも鉄は100℃を超えると脆性を起こしますよね。繰り返し脆性を起こし続けたらそのうち期待する強度が得られなくなると頭の中では分かっています。
エンジンを含め一定の期間は問題なく使用できるのは、設計者がその脆性も含め部材種類、厚さなどを決めていると思っています。
すでのボクより先に使用されている先輩方の使用状況を聞きながら使って行きたいと思います。
Posted at 2021/02/12 14:54:26 | |
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