以前どこかの慈善事業の番組で番組名が、”心に光を”、と言うのがあったんですが、アナウンサーの言い方が独特で、どう聞いても、”心に怒りを”、と聞こえるんですよね。ぼくの日本語の理解度が足りなかったのかしら。
冬至を過ぎて日は長くなり始めた筈とは言え、まだまだ冬が続くこの頃。我が家のプリアスは最新式なので前照灯は暗くなれば自動的に点灯し、対向車が来れば自動的にロービームに切り替えてくれる上、駐車すれば前照灯は数秒間点きっぱなしなった後、自動消灯すると言う便利さ、でもコレ、ひと昔のGM車で言うトワイライト・センチネルとガイドマチックと同じではないですか。
昔のGM車、特にキャデラックを知ってる人にはお馴染みの注文装備の、トワイライト・センチネル、それとガイドマチック。
トワイライト・センチネルは暗くなれば自動的に前照灯が灯き、駐車後にはタイマーで一定の時間後に前照灯が消灯する機構。
ガイドマチックは自動的に前照灯のロービームとハイビームを切り替えるものです。
この二つの装置は、GMの系列会社、”ガイド部門” (Guide Division)、GMの灯火類を専門に開発する会社が考え出した物で、不思議な事に機構的に凝っている、ロービーム・ハイビーム自動切り替えの方が先に登場しています。
ガイド部門が普及させた、当時物、T3型シールドビーム。最近の人は何から何まで最新型の前照灯に変える勢いですが、ぼくに言わせば、毎日実用に乗るなら別として、古い車には古い電球使わないと、雰囲気がぶち壊しになると思うんですがね。
T3とは、下に3°、左に3°向けて組み付ける意味。初めて電球表面に三つの突起がつけられ、射程調整装置を使えるようにした物。1970年代前半まで使われた電球。
最初、1952年のキャデラック、ビュイックとオールズモビルに搭載された自動切り替え装置の商品名は、オウトロニック・アイと申しまして、計器盤の上に小さな照準器みたいな物がデンと置かれていて、その先にあるレンズから集光された光を電気信号に変え、電源が6ヴォルトから150ヴォルトに昇圧れて、真空管で制御して動く装置。1958年に小型化・改良され、名称をガイドマチックに変えて発売。その後トランジスタ化され、最後に搭載されたのが、ダウンサイズ2回目のCボデー・キャデラック、1987年型(FWD/RWD) が最後でしたが、近年になって高知能前照灯が登場して、同じ機構が組み込まれているそうです。
この猫目の物体が前方を監視してハイビーム・ロービームの切り替えをするのです。
そのオウトロニックの制御機構は、トランジスタの出回る前の話で、150Vに昇圧して真空管で動いていました。その際、振動させるヴァイブレータから結構音がでます。気にしない。気にしない。あっ、それから真空管ですから、エンジン始動させた後、オウトロニック機構の作動させるまで、一定の暖機時間が必要です。
これがその真空管。
その後、1958年からオウトロニックはガイドマチックと名前を変え、ギョロ目のセンサー部分を計器盤上部からラジエータグリルの中やら、フェンダ先端の飾りモールに組み込んだりして目立たなくなり、制御機構も小型真空管、のちにはトランジスタに変えられ改良されていきました。
左側フェンダ先端の飾りに隠されたガイドマチックのセンサー部.
センサ部が車室外に出たことで、精度が上がったとか。問題は次第に普及していった色付き青ガラスで誤作動が結構増えたそうで。色々レンズにフィルタかけたり可視色の調査はしたそうですが。。。
1970年代になるとセンサ部はラジエータ・グリル内に隠れます。これは1970年型エルドラード。
センサ部も小型化。
トワイライト・センチネルの登場は1960年から。ダッシュボード左上部にCDS感光部があり、それに応じて点灯・消灯する仕組み。そのCDSに穴の開いたカヴァーが付いており、それを回すと感光部の穴を塞いだり開けたりして感度を調節。後日は電気的に感度調整になりましたが。
消灯タイマーは俗に言われる、夜間の下車後暴漢に襲われるのを防ぐ為と言われてますが、実際は、下車後家までの足元を照らしてくれる為だと思われます。大体昔はそんな物騒な世の中じゃなかった。。。トワイライト・センチネルは此方も現在、高知能前照灯の機能の一部として継続されています。
ガイドマチックとトワイライト・センチネルが両方搭載されると、昔の車両は前照灯のスイッチの根本にあるリング、上部回すとロービームに下がる相手車両までの距離を調整でき、下側の部分を回すと、トワイライト・センチネルの残照時間を最大三分間まで調整できます。この頃の前照灯のスイッチはどの会社の車両でも、丸いノブ部分が回転し、計器盤の背後照明の明るさを調節でき(連邦安全基準法)一番右に回しデイーテントを越して右に当たると室内灯が点くのが常でした。(よって室内灯にはスイッチが無い)
トヨータさんはコンライトと言う名称で同じような前照灯自動装置をクラウン・エイトからつけてましたが、さすが、最初からトランジスタ制御。コンライトと言う可笑しな名称は Light Control から来てると広報誌には出ていましたが、英語で
”CON"と言うの考え物で、”コン” とは一般的に ”騙す” 事を指し、詐欺師の事は ”コン・マン” と呼ばれ、もう一つ、”Convict”、いわゆる囚人の事も、Ex−Con
(もと囚人)などと言います。
これらの照灯装置に加え、昔からあったのが、灯火装置の作動確認をする為の小道具、その名もヴィジライト。フェンダの先端に小さいコブ状の突起物があり、夜間前照灯やら方向指示器を操作し、それらが通常点灯していると、その突起物が光り、運転台居ながらにして点灯確認できると言う物。
ヴィジライトが付いていると、前照灯などの接合部に光樹脂の光源を拾うもう一つの配管が来てます。中央の黒いのがソレ。
なのでヴィジライト装備の前照灯、シールドビームだと小さなガラスの ”おへそ” 突起があり、これと配管を小さなゴム製の短いパイプで繋ぎます。方向指示器、尾灯なども同じ機構。
これは尾灯にも付いていまして、此方は天井後方に付けられていて、後鏡で確認できます。
こう言う風に光ます。
この装置は光伝導樹脂を使っており、それぞれ光源の後ろに光が漏れる突起があり、そこから細い紐状の樹脂が光をフェンダ上の突起物後ろに導くのです。これを開発したのは、GMの系列会社、パッカード電気部門と言う会社でして、名称から分かるように、昔は高級車のパッカード社の技術部門を1932年にGMが買い取った物。でも電気部門との名称とは裏腹に、実際は樹脂技術に強く、その樹脂繊維技術を応用したのが、このヴィジライトでした。
ひと昔のキャデラックなどには必ず付いていた装備ですが、1996年型のフリートウッド・ブロウハムを最後に姿を消しました。
この小さな突起がそれ。
昔のダットサンにもフェンダー上に突起物がありましたが、これはヴィジライトではなく、日本であるフェンダミラー取り付け穴を塞ぐ飾り。
でも1974年型から形状変更で消滅した。
GMの電気部門が一部車種で対抗立場にあったパッカードだったと言うのも面白い話ですが、戦前は、パッカード、ピアス・アローとピアレスは3Pと呼ばれ(いや、そんなんじゃ無いですよ)豪華車3羽と呼ばれていました。
この頃の宣伝は素晴らしかった。。。これは1929年型ピアレス。ピアレスは1931年で消滅。
パッカードは戦後、スチュードベーカーと一緒になり1960年代初めまでありましたが、この華麗な上流階級の図の裏で我が国は有色人種の奴隷に使い野蛮な事をやったいたんですから、何ともですね。まあこの後、大恐慌で大変な事になりますが。
ピアス・アローはぼくの育った西ニュウヨウク州、ハリソン・ラジエータの本社がある、バッファロー市が本拠地。そのせいか、ハイスクールの学校自動車運転技術科の実地練習の契約教官のデイートリック氏がピアス・アローを持っていると言う噂でした。。しかしこの松並木、戦前の普天間の松並木街道の図を彷彿させます(今や宜野湾中古車街道。。)
ピアス・アローの後席。素晴らしい。。本当の高級車。
最後のピアス・アローの流線形、シルヴァー・アローの室内。
1977年にダウンサイズされたCボデーのキャデラック、生涯操作系は殆ど変わりませんでした。
最初の年の1977年。燃料計は何故か中央上部に。その横は水晶発信と電気モータで動くドラム式の時計。
1979年には小改良され、ラジオが電子表示になり時間表示出来るようになったので、上部燃料計横のドラム式時計は廃止になります。ステアリング・ホイール中央両端部が削られ視認性が向上と共に材質変更で耐久性の改良。
1981年型は空調操作部が電気式に変更。裏操作でエンジン制御やらの診断、表示が可能になります。
1987年型からデルコ製のラジオが以前からの横に細長の、両端に大きな回転ノブがある奴から、大型の新式装備が始まります。
そして1990年からデジタル表示に変わり中央部空調の吹き出し部も横から縦型に変更。燃料計も速度計の横に表示されたので、中央上部にあった燃料計も廃止。そこにはエンブレムが。
移ってきた燃料計はここ。
昔の燃料計と同じ高さにあった黒いバンドは速度計上部で警告灯を内蔵していましたが、デジタルになってた後は、警告灯は前幅木目の中に隠れて表示されるタイプに変更されました。普段は木目なのに警告灯が点くと現れる。ちょっと不思議です。
これは1988年型。速度計上のひさし位置にある黒いストリップが警告灯群。ここが木目で埋まると結構印象が変わりますね。。。
おまけ画像、オウストラリヤのRHDキャデラックの計器盤。不思議な配置様々。
おまけその2。いすゞ・ベレル。
1957年型、ナッシュ・アンバサドー。