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2015年02月17日 イイね!

日産のLMP1マシン解答・正しく合理的に狂っている

日産のLMP1マシン解答・正しく合理的に狂っている日産のLMP1のオフィシャル情報、公開されましたね。











まさかの前輪駆動!日産、今年のル・マン参戦マシン
「NISSAN GT-R LM NISMO」を発表 - Autoblog 日本版

http://jp.autoblog.com/2015/02/02/nissan-gt-r-lm-nismo-unveiled/






























予想外デース。










このまえ書いた考察大ハズレあはははは。
でもオースポよりは当たってた!←負け惜しみ








見ての通り、前車軸周辺から空気を抜いてトンネルを使ってリアまで通してます。
強烈なフロントダウンフォースと低ドラッグを両立させるコンセプトです。






確かレギュレーションでフロアの↑ここだけは開口が許されてる。
こっから抜くとフロントディフューザーの効率がすごく上がるんです。

でもポルシェハンプから始まった流れがここまで到達したのは
なかなか感慨深いというかえげつないというかなんというか。








エンジンは3リッター60度V6ツインターボ。


わあGT-Rと同じだきっとこの技術は市販車にも生かされるね(棒読み)




コスワースが作ってる。






うーん。

乱暴に言うとDIG-T Rを2つ合わせれば3リッターV6ツインターボになるし
どうもエキゾースト/タービン周りを見てるとその可能性が高いんだけど
レーシングエンジンでバンク角60度のV6ってあんまり聞かない。
DIG-T Rはストレスマウントしてなかったけど大丈夫か?
エンジン脇のスペースのためにデメリットには目をつぶった?


しかしDIG-T Rを見たときは

「なんでここまで腰下をコンパクトにするんだ?」
「なんでタービンをこんな高くレイアウトするんだ?」

と思ってましたが、このマシンを見据えてのことだったのかな。
ガレージ56から一貫して、全ては今年のルマンのための計画だったのか……
すごいぞ日産。策士すぎるぞボウルビー。Δウィング笑ってすみませんでした。








ガレージ56のときから、日産はガチで勝つ計画を立ててたんだよ!







な、なんだってー



パトレイバーで例えると
デルタウィングやZEOD RCはブロッケンで
これがTYPE-J9グリフォンみたいな感じでしょうか。
あの3年間は一発ギャグじゃなくてデータ取りだったのか。










なんとこれ1250馬力出るエンジンなんですね。




出るかもヨ。

回生システムはフライホイール「フライブリッド」で8MJクラスを目指すと。
フライブリッドはエネルギー密度高いので瞬間なら出るかもしれません。
でも1250馬力を発揮できるのはユーノディエールだけだと思う。



ユーノディエール 400km/h トライーーーーッ


は無理としても370km/h〜380km/hくらい出るんじゃないかな。
GTマシンが動くシケイン。


インタークーラーは水冷らしい。

だよねえ空気を空気で冷やすとか時代遅れっすわ。
前輪後ろ、フロアから空気を抜いてすぐのところに
インタークーラーがあります…あるそうです。正直見えません。
つまりリアまで抜けてるあのトンネルは、言い換えると
超巨大なインタークーラーダクトでもあるようです。







フライブリッドはモノコックに食い込む形でドライバー足元にあって
そこからVバンク間にドライブシャフトを通してギアボックス…らしい。
ということはエンジン出力はドライバー側にアウトプットするのか?
両端からアウトプットしても行けそうに思えます。同調は知らん。

いやー爽やかに狂ってる設計だなぁ。




















じゃあ需要ないと思うけど写真からそれぞれ細かいところ見ていきます。
エンジンと空力は詳しくないので自分が解説できるとこだけ。









グリルから飛び出たノドチ◯コが吸気口。







グリル裏側の写真がこちら。

ラジエーター通過後のホットエアの一部が
ブレーキダクトにバイパスされているように見えます。
ラジエーターから熱を奪って多少ホットになったとはいえ
1000℃のブレーキを冷やすには十分低温ということなのでしょう。
巡航時は保温して制動後は冷やせる良いレイアウトだと思います。
これだと無理に全部アッパーから抜くよりドラッグも少なくて済みます。
しかも高速巡航時はブレーキローターがエアを抽出してくれるので
ラジエーター裏が負圧になって抵抗ダウン+効率も上がりそう。


イヤ細かいところまでよく考えられてるわコレ。








写真のサスアームは一番ナチュナルなセッティングです。

でもアンチダイブジオメトリが強い設計のように思えます。
柔らかいバネとタイヤでメカニカルグリップを稼ぎつつ
制動時のピッチング剛性は高くしたいのでしょう。

ギアボックスケーシングの素材が気になりますが
これたぶん3Dプリントした仮組用のダミーです。
見慣れたナイロン粉末レーザー焼結の色。
仮組中に埃や砂粒が噛んだらパーですから
ギアボックスは最後に組み付けるんでしょう。
撮影時点では製造が間に合ってなかったのかも。

モノコック前端にインタークーラーのブラケットらしきものが見えますね。
エンジン脇のフロアに穴が空いていて、ここを通ってリアに抜けると。
そう考えると少しわかりやすくなると思いますこのマシンの空力。










本番用のギアボックスはチタン。





んで、フロントのサス形式はぱっと見分かりにくいです。
プルロッドにもプッシュロッドにも見える。


でもコレについては自信があります。
コレは「ロッカーアーム式プルロッド」です!(ドヤッ)

なんで自信があるかというと、学生フォーミュラで自分のとこが採用してたから。









動作としてはこんな感じ(てきとう)。

タイヤの上下動はプルロッドを介してベルクランクに伝達されて
ベルクランクはシーソーの要領でレバー比を作りつつショックを押します。
フロントにこれ使うレーシングカーって最近じゃ珍しいですね。



なんでこんな回りくどいことしてるかというと
たぶんフロントの高さを極力下げたかったのでしょう。
視界を確保するためにエンジンより高くしたくなかった。


レーシングカーで一般的なプッシュロッドにも弱点はあって
ベルクランクの位置を下げる、またはトレッドを広くしていくと
プッシュロッドが水平に近づくので機構として成立しなくなります。

フォーミュラマシンならハイノーズにすればまだなんとかなるのですが
キャビンが後退しているこのマシンでそれをやると視界が確保できない。
でも横方向には自由度があるから、じゃあショックは水平マウントして
プルロッドで動作させようという……という考えなんだと思います。


「プルロッドなら素直にショックを下置きしろよ」

と思う人もいるかもしれませんが、下置きはメンテ性が劣悪です。
また、ベルクランクとショックは単体では重いパーツに思えますが
動作に空間を喰うので体積比で考えると軽い部類に入ります。
つまりギアボックスよりは上にレイアウトすべき要素です。

また、ロッカーアーム式はベルクランクがモノコック外に露出して
空気抵抗が増大するのがデメリットですが、このマシンなら問題ない。


上記から、必然的にこの形式になったのでしょう。
奇抜ですがよく考えられた最適解だと思います。

……でもロータリーダンパー使えよと思ってしまう。
たぶん既製品では容量不足なんでしょう。フロント重いから。
あとFRICが搭載されているらしいですが、自分はあまり知識がありません。









ちょっとトリビア。
プルロッドには目に見えない設計上のメリットもあります。
それはサスペンション全体の剛性バランスが取りやすいということです。


プッシュロッドサスペンションを設計する場合、
ショックをきちんと動作させるためにベルクランクの強度は上げたいところです。
たいてい肉厚をたっぷり取ったビレット削り出しで作ります。まず変形しません。

しかしそうすると今度はプッシュロッドがグニャグニャ座屈してしまい
バネレートを上げていったときセッティングが出せなくなります。
突出して剛性の低いロッドがバネとして作用してしまうのです。

でもプッシュロッドを太くするには物理的な制約がありますし
ベルクランクの剛性をロッドに合わせて下げるのも難しい。
結局はロッドの変形分も加味したバネレートになります。
せっかく非線形に設計してもその通りには動作しません。
ここ考えずに設計するとプレゼンで突っ込まれます。


一方、プルロッドではロッドにかかる力は引っ張り力ですから
ちょっと肉厚を上げてやるだけでベルクランクの剛性と釣り合いが取れます。
あるいは高いロッドの剛性に合わせてベルクランクの剛性を少し下げてもよし。
小入力から大入力まで、設計通りにきちんと動くサスペンションを作りやすいです。


このマシンのベルクランクは一見古めかしいスチール製の溶接ですが
おそらくこれは手抜きではなく、それが最適解だからでしょう。たぶん。






で、

容積と空気抵抗以外はメリットの多いこのロッカーアーム式プルロッドですが
学生(自分じゃないよ)が実際作ってみてどうだったのかというと




CAD上ではよく動いたよ☆




とだけ申しておきます……


設計力が伴わないとどんな形式もミソクソ。
豚に真珠でもアダムス使わせてお願い。












以下、まとめ。







Q. 速いか?


うーん。
フロントのミシュランタイヤの出来次第なのかなあ。
1250馬力とダウンフォースを捌いてステアできるタイヤかどうか。

逆に考えると、ボウルビーはミシュランがそういうタイヤを作れると確認して
完成したタイヤの特性に合わせてマシンの設計を開始していると思いますから
おそらくミシュランは未曾有の要求仕様に答えたいい仕事をしたんでしょう。
ミシュランにとっても相当にチャレンジングなプロジェクトだったはずです。
1250馬力のFF用レーシングタイヤなんて俄かには信じられない代物ですが
技術者がキュウべえと契約したのかもしれません。


マシンの挙動については推測しかできませんが
トラクションでは当然ミッドシップに負けると思いますから
ユノディエールと燃費を重視するルマンスペシャルでしょう。
タイヤ的にはテルトル・ルージュが強烈に厳しそうです。

つまり、タイヤが完成していれば速いと思います。
あとはノートラブルなら…それはどのマシンでもそうか。




Q. 次期GT-Rはこのレイアウトになるか?



イヤ無理。

このマシンに限らないけど
現代レーシングカーって空力を中心に
レイアウトからなにからを決めてるから
それをそのまま市販車に採用しても意味ないっす。

このレイアウトはルマンに勝つためだけの奇形です。
市販車でここまで空力特化すると乗用車として成立しませんし
前輪駆動といっても市販車に活用できる技術は皆無だと思います。
(このマシンと同じタイヤを市販するわけにもいかないでしょう)


というか、普通の人が乗って公道を走る車には
もっとずっと優れたレイアウトがあります。
いまのR35GT-Rのレイアウトがそれです。

90年代からの地道な研究で解を見つけてる日産が
不安定アンド一定以上の速度域でしか効果のない
「空力」特化のレイアウトを今更採用するかというと…
最適解を捨ててまでやることじゃないよなあと自分は思います。

公道で400km/h出したいなら別だけど。



Q. このマシンで得た何らかの技術が次期GT-Rに生かされるか?


そういうのはありそうに聞こえますが
実は自分はその可能性も低いと思っています。


まず要素技術として考えられる一つがフライブリッドですが
コレ内部の超真空を保つのが超大変で、市販車に載せるなら
アイドリング中も常に真空ポンプ動かしていないといけないし
放置したら軸の潤滑やら粉塵の混入やらで始動できるかどうか。
だから昔から研究されては民生化できずポシャる繰り返し。
そもそも日産の技術じゃないからパテント料が高そう。


なので、次期GT-Rがハイブリッド化されるとしても電気じゃないかなあ。


トヨタは最初からその辺り(民生化ならキャパシタ有望)を理解して
不利を承知の上でルマンへ参戦したような気がします。
民草の幸せ最優先の三河のマジメちゃんお殿様です。



他の要素技術……思いつかない。
1250馬力に耐えるドライブシャフトくらいか?
これ前輪駆動ということはステアもするわけで凄いな。
シトロエンおじさんが草葉の陰で号泣して喜びそうです。
あとなんか等速ジョイントに人生かけたフランス人もいたけど名前忘れた。









ルマンまでに仕上げろ 今度は1250馬力に耐えられるドラシャだ









こりゃまたハデに ハハハ
OKOK 大丈夫ッ フランスにはホントいい軸受メーカーがありますから
そうそう ドイツ製の工作機械も入れたんですよ








まあ1250馬力出してる時はほぼステアしないから関係ねーか

フライブリッド抜きの800馬力でもビックリだけどな







あとは大馬力FFの制御技術くらい?

でもタイヤも路面の摩擦係数も全然違うから参考になるかどうか。



というか「レーシングカーの技術を市販車に生かした」ってのはよく聞くフレーズですが
個人的にはタイヤと走る場所と扱う人が違う時点でもう別分野の機械だと思っています。

レースカーも市販車もほぼ同じタイヤと状況で走ってた大昔ならいざ知らず
特にここ20年はそれぞれの走る状況と事情に合わせて特化が進みましたから
直接的に活かせる要素(=共通要素)がもうほとんど残ってない。
設計も製造も別々の会社がやるようになっちゃった。




もちろん日産は今後

「このマシンで得た技術を次期GT-Rに生かす」

と宣伝するでしょうが、それはちょっと眉に唾で聞いたほうがいいかなーと思います。
一般公道にユーノディエールはないし、市販車にスリックタイヤは採用できません。
もし次期GT-Rが世界一速くなったなら、それはルマンに勝ったからじゃなくて
日本の部品メーカーのおっちゃんがR35のとき以上に頑張ったからです。

そもそも日産もNISMOも直接作ってないのに何を生かそうってんだ(ry




Q. このマシンは好きか?


心から大好き。
背景の小賢しい思惑はともかく
変態独創的なマシンにはロマンがある!


どうせ次期GT-Rなんて買えないし
狂ったマシンが見れりゃ自分はそれでいいのさ(本音)



Posted at 2015/02/17 17:16:22 | コメント(2) | トラックバック(0) | Automobile tech | クルマ

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