• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2024年01月14日

「睡蓮」のレアカラー、銀狐色 芝浦製作所 C-7032 昭和9年頃

2024年となりました。
今年は辰年という事で、私は年男でございます…何回目かは秘密としましょうか(意味はありませんが)。
今年も車とアンティークの当ブログをよろしくお願いいたします。

さて、元日から大地震が起き、支援へ向かわれるはずの海保機と民間機の痛ましい事故と、大変な幕開けとなっていますね…
地震の起きた時は初詣の直後、本殿から社務所へと向いて列に並んでいた最中でした。
当地は仙台ですが、揺れこそ極僅かだったものの携帯へ緊急地震速報が入りました。
大人数の集まる中、各々の携帯が一斉に地震を告げる光景は、私にとっては3.11以前の…確か新潟・中越沖地震以来の事でした。

あの時の居場所はヨドバシ仙台店の旧々店舗。
搬入口と駐車場側出入り口のあった店内南端で、確かPCパーツコーナーだったはずです。
仙台駅東口への通路も単なる屋根付き通路だった時代。
まだ学生も学生だった当時がはっきりと思い出されました。
その後、3.11でも被災経験がありますので、勿論その時の事も…
被災地の皆様や復旧へ尽力される皆様には、少しでも早く日常が戻って来るよう祈るばかりです。


それではこれより下、本ブログは普段通りに参ります。
年明け最初の更新は、実に2か月ぶりとなる扇風機レストア。
機種的にはド定番の芝浦C-7032睡蓮ですが、今回はその色違いバージョンとなります。



入手時です。
この状態では、黒い睡蓮に後からオールペンを掛けたのと見分けがつきません。殆ど。

実際に黒塗装の上から仕上げ塗りをしているので、方法的にはユーザによるオールペンと同じなのがややこしい。
ですがこれは純正塗装。
昭和9年に追加された「銀狐色」仕様と思われます。

読みが「ぎんぎつね」なのか「ぎんこ」なのか、「色」が「いろ」なのか「しょく」なのかは不明。
とりあえず自分は「ぎんこいろ」および「ぎんこしょく」と呼んでいます。
一旦通常仕様と同じく黒塗装されているという点は、三越仕様やC-7060特殊型、C-7067高能率型とも同じです。



決定的な違いはこの羽根。
今はくすんでいますが、真鍮無垢ではないメッキ仕上げ。
芝浦製特別仕様機の定番です。

上に書いた通り、この色は(銀狐色で合っていれば)昭和9年より追加された新色となります。
証拠はこちら…





昭和9年発行のカタログになりますが、文中にそうあります。
古事記にもそう書いてある。嘘です。
特殊型のイラストと解説文の下に書いてあるのが気になりますが、他に標準型(ノーマル睡蓮)のイラストが無いので、この部分に記載されたのではと思われます。

そして本機は、背面ガードの取り付け部に位置決めカットがあり、銘板が日本語になった後のタイプです。
そうでありながら逓信省認定はありませんので、ほぼ昭和9年か10年初頭に絞られるのではないかと思われます。

尚この色、タイトルにはレアカラーと書きましたが、三越仕様や特殊型・高能率型と比べれば現存率が高いようです。
ベースがよく売れたスタンダードな睡蓮ですし、メーカの純正色なので母数が多いのでしょう。
ですが狙って買おうとすると、オールペン機との見分けが難しいのが厄介かもしれません。
せいぜいR~SRといったところでしょうか。
といってもそちらの分野はノータッチなので感覚がわかりませんが…

とは言ったものの、知名度的には一見して分かるレアなタイプよりもかなり低いでしょう。
そもそもカタログを持っているか知っていないと、認知のしようもありませんし…

という事でレストアに入りましょう。
塗装をなるべく傷めない事が今回の注意点になるでしょうね。



まずはこの状態まで来ました。
新春初マイクスタンド。何だそれ。

幸運にもいずれのビスも固着なし。
ガードの袋ナットも珍しくドライバで外せました。
このナットは絶妙に8mmソケットがキツい時があり、大抵は塗装を剥いでしまうのです。
かと言ってマイナスドライバでは舐めるくらいには固いのが普通。
普段は仕方なしにソケットを使うという事。



裏面です。
電源コードが出荷時から付属するようになったモデルなので、裏蓋に開閉窓はありません。
固定ビスも2本です。



まぁこんなもんかな…ホコリは入っているモノと思っているので、特に驚きもせず。
Gの痕跡も普通に出てきますので、もう驚きません。
ご本人様が居られる事は稀です。



電源線の端末処理からしてもオリジナルでしょう。
そしてモートル配線と同じ色なので、やはり初めから明色塗装の機体だったのだと分かります。



ロータとコイルの埃は然程でもありません。



スムーズに全バラ完了しました。
モートル配線は予想通りバキバキでしたので、惜しいですが交換します。

さて…扇風機レストアはここからが長いのです。
古い油の除去と洗浄、塗装面の清掃と場合によっては磨き、そしてファンの再生。





とりあえずエンドベルから行きましょうか。
塗装が明るい色という事もあり、油汚れが目立ちます。



油の量は結構なものでしたが、意外とすんなり落ちてくれました。
良い色味です。ブルーイッシュシルバー。
この名前ってS13やA31等、日産純正のイメージしか無かったのですが、トヨタとホンダにもあるんですね。
いやだから銀狐色だっての。
60年代のアメ車にも似合いそう。



ゴムブッシュの取り付け部分。
ここだけ下の黒が出ています。ブッシュ取り付け後に塗装したのでしょうね。



続いてモートルケース。
全体的に汚れている感じです。



塗装面の皹は仕方ないながら、汚れは良い感じに落ちました。
ハンドルのフットプリントに塗装が無く、影になる部分が薄かった点からも、組み立て後に上塗りをしたのがわかりました。
上の写真の通り、ゴムブッシュも同色&外した部分が黒でした。
小物を粗方取り付けて、組み立てる直前に塗ったのでしょう。
しかしコイルに塗料が付いていない点から、マスキングはちゃんとやってあったようです。





基台も色が一段明るくなりました。
芝浦の場合、通常版の黒塗装はパーツクリーナで溶けるのですが、その上の銀狐色は耐えてくれるので、汚れが落としやすく助かりました。



で、これ。
一番面倒なギアボックスは…外もコテコテになっとります。
しかし意外なのは、この状態でも手で開けられた事。
今回の油は固化具合が絶妙らしいです。
この量でしっかり固まられていたらやる気を失う。



中身です。まぁ普通ですね。
ドライバで大体を掻き出してから洗浄します。



こんなもんでしょう。
蓋とつまみも奇麗になりました。
塗装が明るい分、どれだけ汚れが落せたかが良く分かるのが良い。



次は芝浦の定番修理ポイント、モートル配線交換。
本当は変えたくない部分ではありますが、須らくバキバキに固まっているので致し方なし。
特にこの個体のように黒以外の色なら猶更残念です。



引き出し部の紐を切って絶縁布を外します。
この時に奇麗に剥がすと、交換後の仕上げにも再利用できてお得。
オリジナル感の演出になります。



線ごとにも絶縁してあるので、それも剥がすとハンダ部が出てきます。
後は線色を間違わぬように順次替えて行くだけ。
オリジナルがあるので、線長も+αで切ればOKの楽な仕事。
芝浦の引き出し線は経験上外しやすく、しっかり熱して引っ張れば大抵スッと抜けてきます。





まぁこんなもんで。
最初に剥がした絶縁布を巻き直し、黒紐で縛るとそれらしくなります。
オリジナルに倣ってコイルの隙間を通していますので、引き出し線のテンション受け役もちゃんと果たしています。

外を通るカバーのエンパイヤチューブですが、、シリコン含侵していないタイプがあれば、何かしらで染色できるのかしら。
細いのは元からあるんですけれども。もしかして知らないだけかしら。



続いてはファンですが、本当ならシルバーメッキのはず。
ですが表側はヤスリ跡が見られますので…ちょっと残念な状態かも。
とりあえず酸化膜を落としてみましょう。





こんな感じでした。表も何とかメッキが残ってる…かなぁ…
くすんだのを落とそうとしたのでしょうけれど、メッキが徒になりましたか。
真鍮無垢なら傷消しもできるのですが…
これは下手に削らない方が良いでしょう。

裏面は奇麗で、オリジナルのクリア塗装も一部残っていました。
それは剥離剤で落としています。





磨いた結果。表は辛うじてメッキが残りました。
何故か1枚だけほぼ無事という不思議…
これ以上やると地金の方が輝いてしまいそうなので、ここまでとしておきます。
裏はなかなかいい感じ。表もこれくらいだったら良かったのに…



続いてはプラグ。
これまたオリジナルと思われるマツダ製。
古い扇風機にポニーキャップタイプのプラグが付いてきても、大抵はどこかで松下製に変えてあるもの。
マツダ製自体が貴重品ですが、こうして新品からペアだっただろうモノは価値にバフがかかる気がします。
まぁ更にバフするんですが。本来の意味で。





(手)バフしました。
ゲームで言うバフ・デバフはこれが語源らしいですが、そっち方面のゲームに疎い私は専ら本来の意味しか知らずにいました。
ちなみにデバフという言葉は金属磨きでは出てきません。当たり前。



碍盤は清掃と接点再生だけでOK。
配線色はオリジナルに倣います。



特殊色だと磨き具合に迷う銘板。



この位かな。どうしても背景が薄くなりますが仕方ない。
細かい部分をどうするかは手掛ける者次第です。



グリースカップは真鍮無垢でした。
三越仕様だとここもメッキでしたが、あれは特注バージョンなので色々と差異があるのでしょう。



ガードのエンブレムは、外周は塗装仕上げだったようです。
「SEW」はメッキがあったかどうか微妙な感じ。
控えめに磨きましょうか。



ここまで戻って来ました。



そして完成です。



リアビューの方が色が目立ちますね。



エンドベルにはどこかの検査封印がありましたが…「電」の意匠なのは読めたものの地域までは分からず。



最後に7017型三越仕様と一緒に。
ノーマル睡蓮の特殊カラー仕上げ、という同士です。
三越は銘板があるのでまだ分かりやすいですが、ぱっと見は通常版と大差ないですので、「知る人ぞ知る」な一台となりましょう。


次回更新は恐らくまた時計になります。
ネタの溜まり具合的に。
ブログ一覧 | アンティーク家電 | 趣味
Posted at 2024/01/14 18:43:29

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

関連記事

掘り出し物だったかも
maccom31さん

フリード・フリード+「CROSST ...
ユタ.さん

メッキクロームからマットブラックへ
Tavito Haseruさん

この記事へのコメント

コメントはありません。

プロフィール

「ホイールマッチングとボディ再生準備、グッズ到着 http://cvw.jp/b/2115746/47717655/
何シテル?   05/12 22:28
菊菱工廠と申します。 工廠なんて言いましても、車いじりは素人でございます。 電装系なら少しは… ナンバープレートでひらがなと数字を覚えたと(親から...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2024/5 >>

   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 

愛車一覧

三菱 エクリプスクロス 三菱 エクリプスクロス
アウトランダーPHEVと迷った結果、偉大な先代、コルトプラスの跡を継ぐこととなりました。 ...
シボレー サバーバン シボレー サバーバン
Super Wagon, Texas Cadillac… それはアメリカで最も長く続くモ ...
三菱 コルトプラス 三菱 コルトプラス
家族の車です。 私が免許を取った際の練習にも活躍しました。よって、免許取得以前からの付き ...
三菱 パジェロ 三菱 パジェロ
荒野の山猫、パジェロの初代後期型でございます。 88年9月MC版、4D56 I/Cター ...
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation