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2024年02月11日

3つの星と3本の指 コロン商会22型商館時計 明治25年頃

毎度同じような時計ばかりとなりますが、今回も買って参りました。
一応はマーク被りしないように集めており、これもまた初めて手にするものでした。







コロン商会の六芒星印です。
ケース直径58.5mmという大型タイプ。
そして商館時計には珍しい(?)、龍頭が押せないこじ開け式のケースです。
こちらの購入を決めたポイントは…



この機械。
3Finger Bridge、略して3FBと呼ばれるスタイルになっているのです。
主にアメリカ・エルジン社の時計で知られる人気のデザインですが、他社製にも少数見られます。
2番車の押さえが香箱ブリッジに含まれており、3番車以降のブリッジが独立して3本並んでいます。
それが指を揃えたように見えるのが由来です。
スイス製が多い商館時計にもこの通り一部採用例があり、この他にも修理済みを購入した鍵巻きの個体(思えばそれもコロン商会でした)が手元にあります。

また、丸穴・角穴車を覆うカバーも付いており、ハイグレードではなさそうですが洒落たデザインの機械が気に入りました。
好きなだけ機械を眺められる商館時計に合った要素です。
加えて言えば、針の飾り石受けが放射状で太陽か星のようになっており、商館マークの六芒星とデザインやテーマが揃っている点に惚れました。
なのでこの記事も変なタイトルになったのです。


さて、2つ前の時計も同じコロン商会でしたので、商館の概要は割愛いたします。
しかしあちらが一等品を示すと分かっている鶴印だったの対し、こちらは六芒星にCのマーク。
この違いは何でありましょうか。

調べてみると、どうやらこのマークはコロン商会の初期の物だそうです。
六芒星がシンプルなタイプと、こちらのように模様が描き込まれたタイプの2種があったようです。

模様入りの方についてはスイスの書類らしき画像が見つかりましたが、それには別の会社名が書かれていました。
チャールズホルマン社(Ch.Hormann&Co.)です。
コロン商会と関係が深く、商館時計時代には同社のほぼ全ての時計を作っていたとされる名門メーカでした。

時計産業で知られるスイスのニューシャテルにあったメーカで、クロノメータなどには機械にその名が刻まれているものがあるそうです。
また商館時計としても、裏蓋が3重の高級機には、2番目の金属蓋に社名があるようですね。

そしてこれは見当違いかもしれませんが、コロンもチャールズもCから始まる綴りです。
今回の個体にあるマークを調べるとホルマン社の名前が書かれた書類が見つかり、また商館時計の初期には「コロン」とだけ刻まれたマークレスの個体もあります(上記の3FB鍵巻きがそうです)。
そのため…もしかするとこの六芒星マークは、本当はホルマン社のものの可能性は無いでしょうか?
全く的外れな事でしたらスミマセン。

とはいえ、コロン商会が初期に扱った時計の一つであろうというのは推測できます。
それでいてダボ押し式・アンクル脱進機採用ですから、年代は明治25年頃かな…と考えますが如何でしょうか。


※240214追記
ほぼ同じ機械で同じコロン商会(旗印)の個体を、詳しい方が整備されてオクに出てきました。
そこに書かれていて気づいたのですが、丸穴車の真が四角くなっており(且つブリッジ固定である事もあり)、鍵でもゼンマイを巻ける仕様になっています。

更には時刻合わせに龍頭を回す際、回転方向と時刻の進み遅れの関係が通常と逆です。
かなり珍しい、鍵巻きから龍頭巻きへの過渡期の設計と思われます。

自分は単に3FBに惹かれて買ったわけですが、目利きに間違いなかったようです
…ビギナーズラックだったって事でしょう。
言われる前に気づきなさいよ全く。



では本題、分解清掃へ参りましょう。





機械の取り出しとダイヤル外し。
ダイヤルはシングルサンクタイプですが、裏面を見ると一体成型なのが分かりました。
下地の板に窪みを付けた、コスト重視の「シングルサンク風」です。
本当ならば、一段下がったセコンド部分は別パーツとなります。

そして今回もナンバーズマッチ。



裏面です。
当初ゼンマイを巻き上げたままになっていたため、コハゼを浮かせて解こうとしたのですが…
角穴・丸穴車に被るカバーを外さないとそれができませんでした。
そのカバーは丸穴車の逆ネジが固定ネジも兼ねており、即ち丸穴車の固定まで取らないといけませんでした。
そこでうっかり丸穴車を飛ばしてしまい、一気にゼンマイを開放してしまいました。
結果、龍頭が空回りするようになり「あぁ切ってしまったか」と分解を急ぎました。
なので途中の写真がありません…

ちなみに、この機械は最終的に10石とわかりました。
石数は良いとして、テンプのダボ石が真鍮になっており…ロスコフみたいでちょっと残念。細かい部分ですが。
でも動作音がちょっと特徴的になるとか、そんな個性があるかも…組んでみてのお楽しみですね。

そして上記のカバーが大変合理的でして、コハゼとコハゼバネの固定も当該カバーを被せるだけの造りでした。
巻き上げ機構に係る分解が、ブリッジのネジ2本と丸穴車の逆ネジ1本だけで済んでしまうのです。



そして気になっていた香箱さん。
変な場所が切れていないと良いですが…



…おや、アーバから外れていますね。
空回りの原因はこれだったか。
解いた時に勢いで弾けたのかもしれません。
後は端部の折り返しが破損しており、ここだけやり直せば復活できるでしょう。
軽傷で良かった…



全バラ完了しました。
今回も地板に刻印は無し。メーカ不明となります。
しかし初期のコロン商会扱いですので、ホルマン社製の可能性が高いと思われます。



洗浄したら組み立てに入ります。
まずは折れてしまったゼンマイ後端の折り返しを再生。
加熱して曲げるのですが、まだ塩梅を掴んでおらず何度か折ってしまいます。



動作確認。
良い感じでテンプが振れています。



こちらはケース。
いつものように磨きます。





そして風防…前面は傷が、内蓋は油染み(?)が気になります。
ある程度の傷消しが済んだら機械を収めます。







ダイヤルを清掃して組んだら完成。
ケースが非常に奇麗で良い感じ。
前後ともこじ開け式の蓋でありながら、抉った跡がほぼ目立たないのも良い。
裏面も摩耗していないので大事に扱われたのでしょうか。
風防の傷は完全には取り切れませんが、エッジが鈍っただけでも十分かと。
削りすぎて変に歪みが出ても…ですし。そこそこにしておきます。





機械。
ブリッジの線が奇麗に平行しているので、どの角度から見てもカッコいい。
龍頭を上にした姿勢では、60度くらいの斜めラインになります。
グレードが高くなくても「良い」と感じるものの好例でしょう。
テンプ周りをあまり触れずにほぼ素組み状態ですが、緩急針で日差-1分程度まで行けました。



最後に同じコロン商会の鍵巻き式と。
3FBスタイルのコンビです。

しかし折角お洒落な機械なのに、何でこじ開けのケースを使っちゃったのかしら。
出先で機械を眺めようとしても開けにくくて、ちょっともったいない気がします。
チェーンのフォブを小さいウォッチナイフにでもしたい気分。
一応存在はするようですが、都合良く手に入るかどうか…
それまでの間は、これを持ち歩く時にはコジアケも同行させるとか。
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Posted at 2024/02/11 21:35:40

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