【本論】
こと車について言えば、その評価方法の殆どは感応評価なのではないでしょうか。
感応評価とは、主観に基づく印象評価で所謂ドライブインプレッションと呼ばれるもの。
愛車を整備したり新しいパーツをインストールしたりしてその効果を検証するには、その前後の運転で主観的評価をするのが一般的です。
しかし、その評価には時としてプラセボ効果が出てしまう事も否定出来ません。
その曖昧な評価を数値で評価するのが、定量評価です。
昨春、拙車は
エンジンOHと排気系(
エキマニ、
触媒、
マフラー)交換を行いました。
実施後の色々なドライブでは、それなりに効果がみられたものと実感しています。
ただ、それは前述の通り主観による感応評価に過ぎません。
元よりパワーアップを目指してはいませんでしたが、果たして客観的にも拙車は本当に新車時の動力性能に近づいたのでしょうか。
…と言う訳で、拙車の定量評価をすべくシャシーダイナモでパワーチェックを行うことにしたのです。
シャシーダイナモと言うとカリカリにチューニングされたハイスペックマシンがどれだけパワーアップしたかの確認に使用されるのが一般的な認識でしょうか。
今回拙と愛車は、老体なりに数値体力測定を行うべくパワーチェックを受けて見る事にしたのでした。
またシャシーダイナモに乗せて高回転まで回すにはワイヤースポークホイールでは役不足、と言うかホイール性能劣化や寿命短縮になりかねません。
その様な理由から
先日BBS RGに履き替えた次第です。
今回、拙車を載せるシャシーダイナモは、
A PIT オートバックス東雲店の
BOCSH製2ローラータイプ。
当初は晩夏頃に実行する予定でいたのですが、当該シャシーダイナモが修理中とのことで、4ヶ月程待つ事に。
そして先日、予約の上漸く某日計測に至ったのでした。
その日は、平日の午前10時からスタートとの事で、拙宅を7時半頃出発。
平日の通勤ラッシュで首都高速も一般道も大混雑。
たかだか30キロ程度に2時間近くも要してしまいました。
作業予約車駐車スペースに愛車を停め、3階で受付を済ませて呼出を待ちます。
(費用は税込9,900円でした。)
受付に際して、エンジンに何処まで負荷を掛けていいかの確認が…。
エンジン許容回転数やスピードリミッターまで回して良いかの確認、最低地上高が低い場合は計測出来ない旨の了解確認、牽引フックの使用に際してボディ、バンパー等に傷や損傷の可能性など多岐に亘る事前確認と署名を求められたのでした。
まるで「とてつもなく強い負荷を掛けるから壊れるのは覚悟しておいてください」とでも言われている気分。
署名する際は、老体の愛車にここ迄の負荷を掛けるのは良くないのかも…、と一瞬躊躇しました。
とは言え、幾ら何でもお客の車を壊す様な高負荷は掛けない、掛けても一瞬だろうと考えてサインしたのでした。
(拙車の場合、安全を見越して上限7,000rpm、スピードリミットまでOKとしました。)
そして待つ事暫し、いよいよ計測です。
慎重にシャシーダイナモのローラー上に拙車が載せられます。
そして、地上高のクリアランスチェック。
拙車の場合、BILSTEIN Clubman PackとCUSCOのロアアームのおかけでギリギリとのこと。
(別に車高は下げていないのですが…。)
「計測中の車体挙動如何では、ロアアームが当たって損傷するかもしれない」との事前警告がありました。(また此処でも脅かされます)
拙も下を除いたところ、目視で5センチ弱の隙間がある事を確認、遂行する事を判断したのでした。
リアの牽引フックに飛出し防止のハーネスを繋ぎ、フロントの巨大ファン2台を回して計測開始です。
一度軽く回して正確にローラーが回っている事を確認した後、計測スタッフが(4速)フルスロットル。
事前設定の7,000回転まで、勢い良く回します。
測定自体はものの1〜2分で終了。
その殆どは、上限まで回した後の惰性でゆっくり回転が落ちるまでの時間です。
本当に呆気なく測定はあっという間に終了したのでした。
【結論】
この後、暫くして測定スタッフさんが測定シートを見せながら結果を説明してくれました。
今回、拙車の現在の動力性能は…、
122.9PS/6,750rpm,14.8kgm/4,250rpm
という結果に。
NA6CEのカタログ上の動力性能は、
120PS/6,500rpm,14.0kgm/5,500rpm
ですから、概ね本来の動力性能相当(
+2.9PS)、且つトルク(
+0.8kgm)はやや低回転寄り
(-1250rpm)になっている事が分かりました。
以前より申し上げています様にパワーアップを目指したOHではありませんでしたので、この数値は十分過ぎる結果ではないでしょうか。
此等の事から、
感応評価(OH後の実走確認) ≒ 定量評価(パワーチェック)
との裏付けが得られたと納得した拙なのでした。
今回拙車が経験したパワーチェックは、事前に上限回転数やスピードリミッターまで回す可否を設定できます。
また、高回転まで回すのは極一瞬ですので、拙車の様な経年車でも測定可能と考えます。
もし、愛車の体力測定を定量評価しようとされるなら、一つの選択肢になり得ると思ったのでした。
【補促】
パワーチェック終了後、測定してくださったスタッフの方と暫し歓談。
お聞きすれば、ご自身も嘗てはNBを複数台所有されていたとの事。
内1台は、ロータリーエンジンに換装してサーキットで乗り回されていたそうです。
今はやはりFDを複数台所有されているとか。
当然ロードスターへの造詣も深く、30年前の拙車NAがこれだけの動力性能を維持し、それなりに美観を保っている事を愛でて下さいました。
(多分に営業的お世辞です。)
後刻店舗内を徘徊し、数冊の書籍と車用品を買い求め、帰路についたのでした。
帰宅後、再びワイヤースポークホイールに履き直し、拙車は満足気、自慢げ(ドヤ顔)に拙宅の車庫の所定の場所に蹲ったのでした。
【おまけ】
パワーチェック後に記念として測定値を刻印したチェーンタグを頂きました。
キーホルダーか何処かに着けるべきか、はたまた保管すべきか、ちょっと悩んでいる拙なのでした。
長文お読み頂きありがとうございます。
(もう少し画像多めにしたかったのですが、パワーチェックを受ける期待と緊張で画像が少な目になってしまいました。店舗の画像はWebから拝借しました。)
【2022.1.21追記】
燃料について。
拙車は、基本的にレギュラーガソリン。
ハイオクは過去に数える程しか入れた事がありません。
今回のパワーチェックもレギュラーガソリンで臨んだ事を申し添えさせて頂きます。